louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「ホリスティック教育(Holistic Education)というモノ」

今回は、「ホリスティック教育(Holistic Education)というモノ」 ということについて少し考えてみます。

ホリスティック教育(Holistic Education)

教育の世界は、「専門性」「詰め込み」「合理性」「機械的等に対するアンチテーゼとして様々なモノ(考え)があります。


デューイオルセンなどの ” 学校と地域、家庭 ” などの環境や状況を整える考えを筆頭に、コルブ「経験学習」等も見方によってはそのような感覚があると思います。


そういったモノの一つに、「ホリスティック教育(Holistic Education)」もあります。


(「ホリスティック教育(Holistic Education))


個々の人間を全体的に捉え、知識だけでなく、感情、身体、精神、社会的側面などを総合的に育成する教育哲学や教育アプローチ。

学習者の全人格を発展させることを目指し、知識や技能の習得だけでなく、人間関係、自己理解、倫理観、創造性、感性など、多面的な成長を重視。


・全人教育

知識の伝達だけでなく、感情や精神、身体の発達も重要視し、バランスの取れた人間を育てる。


・個別化

学習者一人ひとりの個性やニーズに応じた教育を行う。


・関係性

学習者と教師、学習者同士の人間関係を重視し、コミュニティとしての学びを促進する。


・創造性

創造的な思考や問題解決能力を育む。


・統合

異なる学問分野や経験を結びつけて学びの全体像を理解する。


柔軟で包括的なアプローチを提供。

目的は、学習者が自己実現を果たし、社会に積極的に貢献できるようになること。


ということのようです。


具体的な方略・アプローチとしては、


・プロジェクト学習(PBL)

学習者が関心を持つテーマや問題に対して、実際にプロジェクトを企画・実行することで、実践的な知識とスキルを身につけ、学習が現実世界との関連性を持ち、深い理解が促される。


・体験学習

フィールドワーク、インターンシップ、ボランティア活動など、教室外での実際の経験を通じて学び、理論と実践の統合をはかる。


・協同学習

グループでの協力を通じての学習。学習者は互いに教え合い、助け合いながら問題を解決し、コミュニケーション能力やチームワークを育む。


感情教育

感情の認識と表現、感情のコントロールといった感情面の発達を重視し、感情教育プログラムや心の健康に関するワークショップなどを行う。


・芸術教育

音楽、美術、演劇などの芸術活動を通じて、創造性や感性を養う。芸術活動は自己表現の手段としても非常に重要。


・マインドフルネスと瞑想

マインドフルネスや瞑想の実践を取り入れることで、集中力やストレス管理能力を高め、内面的な平和と自己理解を深める。


・持続可能性教育

環境教育や持続可能な発展に関する教育を通じて、地球環境や社会の持続可能性についての意識を高める。


・全人的評価

テストや試験だけでなく、ポートフォリオ、プロジェクトの発表、自己評価、ピア評価など、多様な評価方法を用いて学習者の成長を総合的に評価する。


・ナラティブ・アプローチ

学習者自身の経験や物語を共有することで、自分の学びや成長を振り返り、自己理解を深める。


確かに、学習者の ” 心 ” の問題は、「教育」においてとても重要な部分であり、「専門性」「合理性」を求める以前に、


” 学習者の学ぶ気持ちが無いと、教育も学習も成立しない ”


という大前提はあります。

そういうことを考える教育者、哲学者、教育研究家などは星の数ほどいて、そういった人たちの一部で、「ホリスティック教育」は支持されていますね?


しかし、「人間」という個々が強烈に複雑な ” 生体 ” において、知識や技能の習得だけでなく、人間関係、自己理解、倫理観、創造性、感性といった「人格形成」が本当に ” 教育 ” できるものだろうか? という疑問はどうしても生まれてきます。


「人間同士だから」とか、「人は一人では生きていけない」などというキャッチコピーにより世に憚る「コミュケーション重視」「コミュ力強化」みたいなトレンドで、何か人や社会は変わったでしょうか?

 

外面的な対応は、確かに繕うことはできるでしょうが、「全人」とか「人格」というモノがその人に占める「精神世界」の部分が大きいとするなら、個々が違い、さらに複雑であるそういった ” 世界を教育して変えていく ”  ことなど可能なのか?

と考えると、どうしてもネガティブにならざるをえません。

 

「つながりの教育」「全体性を目指す教育」である「ホリスティック教育」は、目標を達成したかどうかの評価はありません。

当たり前ですが、評価の出ないモノは評価のしようがありません、、、、


それが  ” 自然科学 ” というコトではなく、” 哲学 ” ” 信仰 ” という分野の意味であるのであれば、ある程度同意できます(宗教的な概念は受け入れられませんが、、、)。

「嫌な人」より「いい人」の方が良いに決まっていますから・・・


精神的な病気に苦しむ人たちへの助けとなる ” 治療 ” としてのホリスティックな方略は若干 ” 自然科学 ” の範疇にあるのかもしれませんが、、、