louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「社会的学習理論(Social Learning Theory)」について

今回は、「社会的学習理論(Social Learning Theory)」について少し考えてみます。


「自己効力感(Self-efficacy)」で有名な、バンデューラらが提唱した理論ですね?


「自己効力感」については、以前にも何度か記していますが、「学習」のモチベーションを上げることに大いに寄与しますが、「思いこみ「客観性の欠如」にも繋がる場合があるので、どちらかというとメタ認知的な考えの方が正論ではあるように思うのですが、、、、


それはそれとして、


「社会的学習理論」です。グループダイナミックス(Group Dynamics)にも近い考えではありますが、グループダイナミックスは、” 集団としての力学 ” がメインに考えられているので少しだけ違います。

社会的学習理論(Social Learning Theory)

(社会的学習理論)


・学習過程と社会的行動における理論であり、人は他者を観察し模倣することによっても新しい行動を獲得できるとする。

・行動は強化によってのみ決定されるとする伝統的な行動理論を拡張し、学習者における様々な内的過程の役割に重点を置いた理論。

・学習とは社会環境で行われる認知過程である。

・伝統的な行動理論とは異なり、行動の再現や直接的な強化が伴わない観察や指示のみからでも学習が起こりうるとしている。

・行動の観察のみならず、他者が強化された(賞罰を受ける)ことを観察した際にも、代理強化(vicarious reinforcement)と呼ばれるプロセスを経て学習が起こると考える。 

・特定の行動に対して常に好子が与えられていれば、その行動はほぼ確実に続けられることになる。逆に、特定の行動に絶えず嫌子が与えられ続ければ、その行動はほぼ確実に止められることになる。

・自分が直接体験した事柄ではなくても、他者の体験を観察・模倣すること(モデリング)で学習できる。


(社会的学習理論における学習プロセス)


(1)観察対象に注意を向ける(注意)

(2)対象の行動内容を記憶に保持する(保持)

(3)対象の行動を模倣する(運動再生)

(4)行動に対するモチベーションが高まる(強化と動機付け)


(社会的学習理論を教育に適用するメリットデメリット


(メリット)


ロールモデルとなる存在から学ぶため、実際の行動を直接観察し、模倣することができる。

・抽象的な概念を理解するだけでなく、具体的な行動も学ぶことができる。

・他人の成功や失敗から学ぶことができるため、自身で全ての経験を積む必要がなく、効率的に学ぶことが可能。

・観察・模倣することにより、単に知識を蓄えるだけでなく、社会的なルールや規範、価値観も学ぶことができる。


(デメリット)


ロールモデルの行動が不適切であった場合、それを学んでしまう可能性がある。

・教師が不適切な行動をした場合、それを模倣する生徒も出てしまう可能性がある。

・観察による学習だけでは、深い理解や独自の思考を育むことが難しい場合がある。

・個々の学習者の能力や環境によっては、模倣する対象やその結果が正しく理解できない場合がある。


ということです。


バンデューラが行った「ボボ人形実験(Bobo doll experiment)」はとても有名ですね?


(ボボ人形実験(Bobo doll experiment))

 

・大人がボボ人形に対して特定のシナリオに従った「モデル行動」を行い、子供らに観察させる。

・その後、観察したモデル行動ごとに子供の行動がどのように変化するかを観察し比較する。

・「攻撃的モデル」のシナリオでは、大人たちは、ボボ人形を叩く、パンチする、おもちゃの木槌を使って人形を打つなどした。すると、攻撃的モデルを観察した子供は、そうでない子供よりも、ボボ人形に対して明らかに攻撃的になった。


という実験ですね。これは多くの人が、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?( スタンフォード監獄実験  ” や  ” マシュマロ・テスト ” ほどではないかもしれませんが・・・)


「社会的学習理論」については、


”模倣する”

”マネる”

 

ということが「学習」にとって非常に重要であるとされていますが、たしかにその通りだと思います。


子供が母国語を覚えるのも、最初は親や兄弟のコトバを観察し、” マネる ” ことで非常に速いスピードで進歩します。

小学生が足し算、引き算を学習するのも、まずは先生が黒板に書いた「1+1=2」を ” マネる ” ことから始まりますね?


また、違った例で考えると、

 

「会社で誰も学んでいない分野の知識を学習して、あるプロジェクトで、その知識が大いに役立ち、評価され、昇進した人を観察して、自分も新たな分野の学習を始める・・・」

 

みたいなことも、ある意味「社会的学習理論」に沿った考えだと思います。


心理的な内容は個人によってかなりの差があると思うので、こういった心理学での説がすべて正論ではないということは間違いないのですが、

 

「学習」にとって、

 

”観察する”

”模倣する(マネる)”

 

というのは、非常に重要なファクターだと思います。


勿論、” マネ ” だけで終わってしまってはダメですが、最初は ” マネる ” ことから多くのことが始まるのですね、、、、