louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「ピア・ラーニング(Peer Learning)」の再考察

今回は、「ピア・ラーニング(Peer Learning)」について少しだけ考えてみたいと思います。


研修やアクティブラーニングのコンテキストでよく行われる「ピア・ラーニング」ですが、対象者や学習目標によっては非常に効果的な場合がある一方で、単なる時間のムダとなる場合もあります。


根本的に、「協働」があまり好きではない性格なので、「ピア・ラーニング」にはネガティブな感覚があるのですが、高度な学習内容等になると、やはり自分一人では解決できないことも多く出てきます。 

そんな時に、「ピア・ラーニング」で気づきや解決方法を見出す場合もあります。

ピア・ラーニング

(ピア・ラーニング)


・ピア(peer:仲間)と学ぶ(learn)。

・対話をとおして学習者同士が互いの力を発揮し協力して学ぶ学習方法。

・人と人とが互いに力を出し協力して創造的な活動を行う。

・学習者が2人以上で学ぶ形式

・ヴァンダービルド大学のピア支援学習方法(PeerAssisted Learning Strategies : PALS)は、2人1組のペアによる読解と算数・数学の学び合いの方法論。 

 

(ピア・ラーニングの形態)


・ペアワーク

2人1組で課題を解いたり、ディスカッションを行ったりする。互いの考えを共有し、理解を深めることができる。


・グループワーク

複数人でグループを作り、共同で課題に取り組む。それぞれの意見や視点を出し合いながら、結論を導き出す。


・ピアレビュー

他の人が作成したものをレビューする。他の人の視点から見て自分が気付かなかった部分を見つけることができる。


・ピアチュータリング

互いに教え合う。教えることで自分自身の理解も深まるとともに、学び手もより深い理解を得ることができる。


・ピアディスカッション

特定のトピックについてディスカッションを行う。聞くだけでなく、自分の意見を言うことで理解を深めることができる。


ピアラーニングメリットデメリット

 

(メリット)


・相互理解

学習者同士が互いの視点を共有することで、深い理解が得られる。


・チームワーク

グループでの学習を通じて、協調性やコミュニケーションスキルを向上させることができる。


・自己主導学習

自分の学習を自分でコントロールすることができ、自己主導の学習スキルを育てることができる。


・教えることで学ぶ

教えることで自分自身の理解も深まる。


・多様性

他の人の視点や意見を聞くことで、様々な視点を持つことができる。


(デメリット)


・不均等な貢献

グループ内での学習において、貢献度が均等でない場合がある。一部の学習者が大部分の作業を担当し、他の学習者がそれほど貢献しない場合もある。


・学習の進行速度

一部の学習者が他の学習者よりも速く学ぶ場合、学習の進行速度が遅くなる可能性がある。


・誤った情報の共有

学習者が誤った情報を共有し、それが広まる可能性がある。


・学習環境

全員が積極的に参加し、互いを尊重する環境を作る必要がある。一部の学習者が落ち着かない環境で学習を進めることになる可能性がある。


ということです。


アクティブラーニングの普及のおかげで「ピア・ラーニング」については多くの意見や議論、実験が行われています。


研究においては、


”ピア・グループ内でメンバー間に能力差が大きければ大きいほど成果が高い”


能力の高いメンバーと低いメンバーでペアを作り、ペア内でピア・ラーニングの機会を与えることがチームの生産性向上に有益である”


というのが主流のようです。


しかし、

 

本当にそうでしょうか? 

 

と思うのです。


「ピア・ラーニング」に限らず、複数で行う「学習」においては、基本として、


「前提知識の有無」

「各人のレベルを合わせる」


ということがあります。

 

「教育」が失敗する第一の原因は、「学習」する「レディネス」が整っていない

 

ということです。

 

それなのに、「ピア・ラーニング」研究においては ” 能力の高い人と低い人をペア、もしくはグループにする ” ことが有効とされています。

 

これは、どう考えてもおかしいですよね?

 

「知識を持っている人が、他人に教えることによって更に学習が深まる」

というのは、例の ” ラーニングピラミッドの都市伝説 ” ですし、

 

「能力の低い人は、能力の高い人の説明を理解できない」

場合が、圧倒的に多いですよね?

 

企業でも学校でも「ピア・ラーニング」を行う場合、TA(ティーチング・アシスタント)的な人をそれぞれのグループに配置して、その人が主導して行われることが多いですね?

そして、その能力の高い人が ” ご講演 ” して終了、、、となるといった「ピア・ラーニング」を何度も見てきました。

こういうことをグループで行う必要はあるでしょうか?

 

聴いてるだけの人は、何も理解できず ” フリーライド ” しているだけ、、、でどこがアクティブラーニングでしょう?


「ピア・ラーニング」を行うのなら、


” 同じくらいの知識レベルの人たち ” 


で、というのが基本だと考えます。


因みに、以前受講した「熊大IDの公開講座では、

 

1.一人で内容を書き出す

2.ペアになってそれぞれの内容を言い合う

3.グループでディスカッション

4.自分の内容を書き直す

 

という形式でやっています(今もそうかはわかりませんが)ね?

 

「課題」や「テスト合格」といった ” 事前でのレベル合わせ ” が行われているので、流石だなぁ、、、と思いましたが、それでも実際には各人のレベルは大きく違っていて2,3のディスカッションが ” 職場の愚痴 ” ” 雑談 ” になってしまうこともありました。

 

ということもあって、今も「ピア・ラーニング」「グループ学習」「協働」という類のモノにはネガティブな感覚があるのです。