louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「ジグソー法(The Jigsaw Method)」というものがありましたね?

今回は、その昔、アクティブラーニングが流行った頃によく取り入れられた手法である「ジグソー法(The Jigsaw Method)」について考えてみます。

 

(ジグソー法(The Jigsaw Method))


・教育方法の一つで、特にグループワークやチームワークを通じて学習する際に用いられる。この手法は、エリオット・アロンソンによって1970年代に開発された。

 

・基本的な考え方は、全体の情報を個々の部分に分割し、各学生が一部分を学習した後で、それぞれが持っている情報を共有し、全体の理解を深めるというもの。

 

・この方法は、ジグソーパズルのように、一つ一つのピースが組み合わさって全体像が完成することからその名前が付けられた。


(ジグソー法の手順)


1.教師が、学習する内容をいくつかの部分に分割する(ジグソーピース)。

 

2.小グループ(ジグソーグループ)を作る。グループの人数は、ジグソーピースの数と同じにする。


3.各学生は、ジグソーピースの一つを割り当てられ、それを専門的に学習する(エキスパートグループ)。


4.エキスパートグループで学習した後、学生は元のジグソーグループに戻り、他のメンバーに自分が学んだことを教える。


5.全体の内容を理解するために、全員が情報を統合する。

ジグソー法

また、メタ認知の研究などで有名な三宅なほみさんがモディファイした「知識構成型ジグソー法」というのもあります。


(知識構成型ジグソー法の手順)


1.事前準備で、教師は、授業の柱となるテーマについて、3~4つの知識を組み合わせて解くことができる「問い」を設定。その問いを解くために必要な資料を、知識のパートごとに分けて準備。

 

2.問いを受け取った生徒は、まず1人で答えを考える。


3.同じ資料を読み合うグループを作る。資料を読んで話し合い、そのパートの理解を深める(エキスパート活動)。


4.違う資料を読んだ人が1人ずつとなるようグループを組み替え、先ほどのエキスパート活動でわかった内容を説明し合う。元の資料を知っているのは自分1人だけのため、自分の考えを自分の言葉で伝えることが必要となる。同時に他のメンバーからの説明も聞き、理解を深める。それぞれの知識を組み合わせ、問いに対する答えを出す(ジグソー活動)。


5.グループごとに、答えとその根拠をクラスで発表。互いの答えと根拠を検討し、その違いを通して、自分なりのまとめ方を吟味する(クロストーク)。

 

6.もう一度1人で、最初の問いに向き合い、答えを考える。


アロンソの狙いが、「人種の融合など児童生徒の関わり合いの促進」にあったのに対し、「知識構成型ジグソー法」の狙いは「関わり合いを通して一人一人が学びを深めること」にあり、手法としても、明確な問いを設定して、学習の前後で問いに対する回答を二回求めるなどの特徴を持つ。


ということのようで、


ジグソー法 => 知識習得

知識構成型ジグソー法 => 知識習得&問題解決


で、どちらかというと、通常の(ジグソー法)をやられている人の方が多いように思います。


(ジグソー法のメリットとデメリット)


(メリット)


・協調学習

ジグソー法はチームワークや協力を必要とするため、学生は協調性を学び、他人と協力して作業を遂行する能力を向上させることができる。


・自己効力感の向上

自分が学んだことを他のメンバーに教えるという過程は、自己効力感を向上させ、自信をつけるのに役立つ。


・深い理解

それぞれの学生が特定のトピックを深く理解する必要があり、そのトピックについて深い理解を得ることができる。


・コミュニケーションスキル

学生は自分の理解を他人に伝えるために、効果的なコミュニケーションスキルを学ぶ。


(デメリット)


・準備時間

効果的に行うには、教師が学習内容を適切に分割し、それぞれの部分が全体の理解に寄与するようにする必要がある。かなりの時間と労力を必要とする。


・適切なグループ分け

適切なグループ分けに依存する。全ての学生が積極的に参加しないと、一部の学生が他の学生の分まで負担することになり、学習効果が下がる可能性がある。


・学生の理解度のバラつき

一部の学生が特定のトピックを深く理解できなかった場合、全体の理解に影響を及ぼす可能性がある。


フリーライダー問題

一部の学生が自分の役割を果たさず、他の学生の努力に依存するという問題が生じる可能性がある。

 

私的には、「協働」だとか、「協調学習」「コミュケーション」がそれほど「学習」に効果があるとは考えていないのですが、通常の「ご講演座学」を行うよりは、このようなアクティブラーニングを行うことの方が十分マシだとは思います。


しかし、「教える側」は、かなりの準備が必要なので、ブームが去るにつれアクティブラーニングをだんだんとやらなくなってきてはいますね?


基本的に、PBLにしてもジグソー法にしても ” グループ ” で行う学習が最も効果的であるケースもあります。

それは、


学習者全員が知識・スキル的に ” 非常に優秀 ” である場合


です。


ジグソー法は、複数の人の知識・スキルを合わせて学習を行うため、専門的な知識の習得違った方向からのアプローチによる気づきなどで高度な知識の習得が期待されますが、一人でもそのレベルに達していない人がいると、効果・効率が極端に落ちることは勿論ですが、下手をすると間違った知識を得てしまうことになる危険性もありますね?


大学の研究室、ゼミ、超エリート高校などに適している方略のような気がします。

そのため、知識もスキルもバラバラな学校教育、企業内教育で行うことにあまり大きな意義を見出せないのです。