今回は、「PPDACは重要だけれど、肝心のデータが・・・」というテーマで考えてみます。
日本では、主に” 統計 ” や ” データ分析 ” の分野でよく使われるフレームである「PPDAC」を、テストケースとして学校教育に取り入れようという試みがたまに行われることがあります。
”PDCA ”ではなく、”PPDAC ” のフレームです。
同じような名称なのでややこしいですね?
”PDCA ” については誰もが知っているでしょうが、とりあえずその違いは、
「PDCA(Plan-Do-Check-Act)」
一般的なビジネスプロセスやプロジェクトマネジメントに広く用いられる方法で、計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善(Act)の4つのステップ。継続的な改善を目指すもので、元は品質管理などの分野から始まり、ビジネス全般のマネジメントや様々なビジネスの分野でよく使用される。
「PPDAC(Problem-Plan-Data-Analysis-Conclusion)」
特に統計的な問題解決やデータ分析のプロセスを表すもので、問題(Problem)、計画(Plan)、データ収集(Data)、分析(Analysis)、結論(Conclusion)の5つのステップからなる。統計的な手法を用いてデータから情報を引き出し、問題解決に役立てることを目指す。
” PPDAC ” は、問題・課題をいきなり解決することを目指すのではなく、
「データをもとに、問題・課題自体を解析・分析する」
というフレームワークです。
(一般的なPPDACサイクル)
P(Problem:問題)
解決すべき課題を設定し、課題達成のための指標を定める。達成できたかどうかが判断できるよう、指標は定量的な数値にする必要がある。
P(Plan:計画)
指標を達成するために必要な調査を行います。指標に影響を与える要因は何か仮説を立て、解決のために必要なデータを収集・分析するための計画を立てる。
D(Data:データ収集)
データの取得方法、正確性、信頼性を意識して、データや統計資料を収集する。すでにある過去データを使う場合もあれば、新たに収集する場合もある。
A(Analysis:分析)
「D」で得たデータを基に分析し、課題解決につながるヒントを探す。理解しやすくするため分析結果を表やグラフでわかりやすく表現することも有効。
C(Conclusion:結論)
「A」の分析結果を基に最初の仮説に対する解釈を講じ、施策・改善策へと落とし込む。
(教育分野におけるPPDACサイクル)
Problem(問題)
学習者の学習難易度、教育プログラムの効果、教師の教授法など、解決や改善を目指す教育上の問題を定義。
Plan(計画)
問題解決に向けた計画を立てる。データの収集方法、分析手法、評価基準などを明確にする。
Data(データ)
テスト結果、アンケート、出席率、学習時間など、計画に基づいてデータを収集。
Analysis(分析)
収集したデータを分析。学習者の成績の傾向、教育プログラムの効果、教師の教授法の影響などを調査。
Conclusion(結論)
分析結果から結論を導き出し、問題解決につながるアクションを決定。新たな問題が見つかった場合は、再度問題定義のステップに戻る。
ということです。
「教育」の分野では「探究学習」などの機会に行われることが多いですね?
” PPDAC ” 自体は、データを元に問題・課題の分析を行うという非常に論理的な手法であり、本来はどの分野であろうと使えるフレームワークだと思います。
統計や数学、データサイエンスの分野では”必須”だと考えてもいいでしょう。
「教育」においても、「学習者」や「環境」「現状」「評価」等の分析を ” PPDAC ” で行うことは ” 第一歩 ” になります。
しかし、解析・分析する肝心の ”データ”自体が無い。
あったとしても非常にいい加減な ”データ ” しか無い。
という「現実」があります。
これは以前にも記しましたが、学校教育、企業内教育、社会人教育で大事に蓄積されている ” データ ” の9割以上は ” ゴミ ” です。
真正な「学習目標」も、真正な「方略」も、真正な「形成的評価」も、真正な「総括的評価」も無い状況で、デタラメなデータを元に ”PPDAC ”をいくらやっても問題・課題のの解析・分析などできるはずがありません。
例え「AI」が今の10倍進化して、自動で解析・分析ができるようになったとしても同じです。
元データがデタラメなんですから・・・
まともな「教育デザイン」の無い世界で、教育業界は、
「コレのブームは去ったから、次はアレ」
「再度、リスキリングを押していこう」
「心理学で何かネタはないか?」
「もう哲学の分野からでもいいよ」
などと、実のない(けれどもお金になる)トレンドを生みだし続けるという構図です。
まずは、まともなデータが残せるための、まともな「教育デザイン」をしましょうよ、、、という話です。