louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

2022-01-01から1年間の記事一覧

e-Learning が失敗する理由 ~ I think, therefore I am. ~

e-Learning が失敗する理由について記します。 まず1つは、e-Learningソフト(LMS)を販売している業者が、教育・学習というものをまったく学んでいないこと。 前にも記しましたが、LMS業者(SIer,専門業者ともに)は単なるシステム屋です! LMS業者の仕…

VUCA時代のインストラクション~あした天気になあれ~

VUCA(「Volatility(ボラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」「Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)」)って、数年前からよく言われましたよね! これまたビジネストレン…

TCI(Task-Centered Instruction):課題中心型インストラクションのススメ

企業内教育には、PBL(Problem-based Learning)ではなく、TCI(課題中心型インストラクション)の方が有効ではないか? ということを前回に記しました。 では、TCI(課題中心型インストラクション)とは何でしょう? 簡単に説明すると下記のような感じで…

PBL(Problem-based Learning)は有効なのか?

今日はPBL(Problem-based Learning)は有効なのか? ということについて考察を記します。 因みに、一般的によく言われるPBLは下記の2つがあります。ややこしいですね? (2つのPBL) (Problem-based Learning) 1960年代にアメリカやカナダの医学・薬…

知的技能(intellectual skills)の再考 ~Long Distance Call~

知的技能について、再考してみます。 学習目標分類の比較 学習成果の分類には上記のように、研究者によって名称こそ違いますが、ほぼ確定されています。 大雑把にとらえれば、「記憶」「応用」「創造」といったところでしょうか? 今回の「知的技能」は、ガ…

アカデミアの先生にはわからないこと(研究と実践の乖離)3

アカデミアの先生にはわからないこと(研究と実践の乖離)の最後に、共同研究に感じた内容を記します。共同研究の内容についてはまたの機会に、、、 数年前、仲のいいアカデミアの先生と「共同研究」を行いました。「共同研究」とはいっても、ほとんどはこち…

アカデミアの先生にはわからないこと(研究と実践の乖離)2

アカデミアの先生にはわからないこと(研究と実践の乖離)の Part.2です。 アカデミアでの研究や理論、モデルなどは、深く詳細に考えられ、非常に素晴らしいと思ってます。 だから、わからない事案の時、判断を迷った時などには、理論に立ち戻ったり、先生…

アカデミアの先生にはわからないこと(研究と実践の乖離)1

教育や学習の理論を学ぶには、様々な方法があります。 企業人においては下記の5つくらいの方法があるかと思います。 1.書籍で学ぶ 2.ネットで情報収集し学ぶ(e-Learning含む) 3.大学に入る 4.公開講座で学ぶ 5.共同研究で学ぶ 私の場合は、3の…

「Learning Analytics」 という幻想・・・

何年か前に、「Learning Analytics」 ということが流行りました。 一部のLMS業者は専用のソフトウェアを売り出したりしましたね。 ちょうど、ロジカルシンキングなんていうのが企業の中でどうにか取り入れだされた頃だったと記憶しています。 それと同時期に…

「テストから作る」という方略と「テスト効果(Testing effect)」

「テストから作る」という方略について、 これは、たしか鈴木先生の本にもあったと思うのですが(?)、「学習目標」を作れない人々(企業内教育担当者)のために、とりあえずこうやってみて、後々、真正な「学習目標」がたてられるようになればいいな、、、…

「言語情報のテスト」と「知的技能のテスト」~人は考える~

「言語情報のテスト」と「知的技能のテスト」について少し記します。 学習評価をする場合、これはとても重要なことなのですが、ほとんどの場合あまり認識されません。 ガニェのところで「学習成果の5分類」で記しましたが、 ・言語情報・知的技能・認知的方…

アンドラゴジー(Andoragogy)ってなんか・・・~ アウレーリウス ~

アンドラゴジー(Andoragogy)と ペタゴジー(Pedagogy)って、一時よく聞きましたよね? これも、教育業界においては数ある「トレンド」の一つです。 アンドラゴジー(Andoragogy):ギリシャ語の成人(aner)と指導(agogus)を組み合わせた造語 ペタゴジ…

SCC ( Story Centered Curriculum )は新人教育に最適ですよ! って思うんだが・・・

SCC ( Story Centered Curriculum ) をご存知でしょうか? (ストーリー中心型カリキュラム)については、下記の書籍でご確認してください! ストーリー中心型カリキュラムの理論と実践―オンライン大学院の挑戦とその舞台裏 で、終わってしまってもいいんで…

「CBE(Competency-Based Education)」~チェンジ・ザ・ワールド~

「CBE(Competency-Based Education)」というのは、これもまた少し前に教育人材育成業界(?)で「トレンド」になった「コンピテンシー」をベースにした教育のことです。 実は、これは非常に難しい。でも、そういった難しいことを避けていては目標には到…

Adaptive Learning と One-Size-Fits-All(それで自由になったのかい)

Adaptive Learning は一般に「適応学習」とよばれます。 「適応学習」は、学習者ひとりひとりのレベル・能力・特性に 合わせた学びを提供する学習スタイル です。PSIと近い考え方ですが、近年は「適応」という言葉が気に入られたのか、割とポピュラーになっ…

もうそろそろ「PSI( Personalized System of Instruction )~ 個別化教授システム ~」をやってもいいんじゃない?

「PSI( Personalized System of Instruction )~ 個別化教授システム ~」は、アメリカのフレッド・ケラーによって考案された授業の方法で、アメリカの大学のいくつかで取り入れられています。 フレッド・ケラー PSI その特徴は、 第一に、周到に作られた…

「形成的評価(Formative Evaluation)の重要性」~今日から歩く道をかえてみよう~

「形成的評価(Formative Evaluation)」について少し、、、 教育プロセスには3つ評価があって、以下のようになります。 1.「診断的評価」 2.「形成的評価」 3.「総括的評価」 「診断的評価」とは、 前もって学習者の実態を把握し,それに合わせた指…

「アンケート」を「評価」になんてしてないよね? よね?

教育や研修の後に、必ずといっていいほど「アンケート」ってありますよね? 日本企業の教育研修担当者たちは、「アンケート」を「評価」として扱ってる人がほとんどです。 いやいや、「アンケート」は決して教育、学習、研修の「評価」ではありません! 「ア…

AI , DX 時代への学習データ準備(明日のために靴を磨こう)

AI , DX 時代への学習データ準備(明日のために靴を磨こう) 時代とともに、技術は進歩し、思考や理論も新しくなります。教育においては、 「工業時代」:「教える」「情報時代」:「学ぶ」 ということが言われ、学習者中心、学習者主体の教育がいいのだとア…

IDではなく、「垂れ流しの e-Learningしか勝たん」日本の企業内教育

「垂れ流しの e-Learning」って、いつごろから言われてるか? 多分、20数年前に日本にe-Learningが入ってきてからすぐのことだと思います。 しかし、その「垂れ流し」をやめようとしない、、、というか、前にも記していますが、教育担当者どころか、経営層…

記憶のお話(アインシュタインの電話帳)

「記憶」のお話です。 企業の教育では、「言語情報」と「知的技能」がメインということを記しました。 もちろん、その他の学習成果目標も必要なのですが、もっとも基礎的な学習においてはその2つが重要です。 「言語情報」=記憶 「知的技能」=応用 と、と…

真正な「学習目標」を立てられない人々

インストラクションにおいて、真正な「学習目標」が一番重要と記しました。 「えっ? 学習目標なんて簡単じゃない!」 って、言う人は100%の割合で、「真正な学習目標」が立てられません。 大雑把に言うと、 「学習目標」 = 「事後テスト」 「事後テストの…

企業内教育におけるコロナ禍(ニューノーマルはどこ行った?)~LMS業者の無能ぶり~

今日は少し趣向を変えて、この約3年間におこった企業の教育事情について記します。 コロナが流行り始めたころ、下のような発表をしました。 ニューノーマル コロナはe-Learningや企業内教育にとって、状況を正に変えられる「最後のチャンス」だったわけです…

完全習得学習が必要なんですよ!

完全習得学習、マスタリーラーニングはブルームやその弟子たちによって提唱されました。 TOTEモデルで、EXITできるということは、そのインストラクションの内容を完全習得したということです(もちろん、真正な学習目標、テスト問題がつくれればの話で、この…

TOTEモデルについて

今回は「TOTEモデル」について少し。 TOTEモデル >Test(テスト)- Operate(操作)- Test(テスト)- Exit(退出) 図で表すとこんな感じです。 TOTEモデル もともとは、心理学の実験から生まれたモデルらしいのですが、教育という分野はいろんな分野から…

ガニェについて2

ガニェの学習成果の5分類の続きです。 前回、「言語情報」と「知的技能」が企業内教育にとって主であるということを記しました。 つまり、記憶と応用がまずの目標であることは間違いないでしょう。 ところが、実際の企業内教育で、各インストラクションを受…

ガニェについて

日本の教育界(?)では、なんとなく、ガニェ派とブルーム派があるように感じます。 ブルームは有名な「タキソノミー」や「完全習得学習」があり、こちらもすごく大事なので後々触れたいと思いますが、熊大に近い(別に熊大卒ということではないですが、共同…

「学習目標」と「目的」を混同している人が9割!

教育、学習において、もっとも重要なことは「学習目標」だと思います! しかし、この「目標」というのを理解することが、学校教育を教育と認識しているひとには非常に難しいのです。 まず第一に、「目標」と「目的」を混同している人が9割といってもいいで…

企業内教育を変えるレバレッジは何処にあるか?

垂れ流しのe-Learning、睡眠学習の研修、アンケートがすべての企業内教育。 そういうところを変えていかないと、はっきり言ってお金と時間の無駄。 日本企業において教育や研修は、経営者からすると「経費」以外のなにものでもありません。 そりゃそうです、…

KKDと新KKDについて(日本企業はいまだに昭和)

日本企業の教育では、 ・ 全ての学習者が同じ時間に同じ教材で学んでいる。 ・ 進度は全体の”中間層”に合わせ、ゆっくりと学習するタイプの学習者たちは全てを理解することなく次の内容に進んでいる。 ・ テストは他者と比べ相対的に評価を決めている。 これ…