知的技能について、再考してみます。
学習成果の分類には上記のように、研究者によって名称こそ違いますが、ほぼ確定されています。
大雑把にとらえれば、「記憶」「応用」「創造」といったところでしょうか?
今回の「知的技能」は、ガニェの「応用」にあたります。
・ブルームでは「理解」
・アンダーソンでは「手続的知識」
・メリルでは「一般則を用いる」
・ライゲルースでは「技能を適用する」
認知領域の学習にとっては、何度も記していますが、下記の図のように「記憶」をベースに「応用」をできるようになることが重要です。
これは、数学のテスト同様に、常に 1+1= を問うだけでなく、1+2= も2+3= も問われるからです。
企業の仕事では、全く同じ状況などありません、クライアントも違いますし、話す内容、要望、価格、、、etc、、、
では、もう少し「応用」について掘り下げましょう!
(応用)
・ルールや概念、状況によって、知識(記憶)を活用できる能力のこと
・ある約束事を未知の例に応用する能力
・暗記(記憶)ではない
ということで、「下位分類」には、
・弁別(discrimination)
・具体的概念(concrete concept)
・定義された概念(defined concept)
・ルールと原理(rule and principle)
・問題解決 (problem-solving)
目標行動を表す言葉としては、
・区別する
・確認する
・分類する
・例証する
・生成する
となります。
具体的な知的技能の評価問題の例を作ってみたので、考えてみてください!
<説明や練習で使っていない例を用いて>・・・前提
・かけ算の計算をするときに、覚えた九九を使って2ケタのかけ算を解く
・運転するときに、交通標識をみて車の進め方を判断する
・歴史の勉強をするときに、同じ年号で起こった出来事の因果関係を説明する
・上司に対する報告の型を使って、報告内容をまとめる
・同僚との雑談で、覚えた4種類の質問を適切なタイミングで相手に振る
・会議で発言するときの型を使って、発言内容をまとめる
つまり、「考える」ということです!
「記憶」を頭から引き出すだけでなく、「記憶」と「記憶」を掛け合わせて、「考える」ということが、「応用」つまり「知的技能」ということです。
企業内教育で行われる研修や e-Learningの評価テストで出されるものは、ほとんどが「記憶」つまりガニェでいえば「言語情報」の問いです。
なぜか?
それは、「知的技能」の問いを作ることがめんどうだからです。
この「めんどう」を避けているのが企業内教育です。だから「成果」がでないのです。
確かに、「知的技能」の問いをつくることは「めんどう」で、「考える」必要があります。しかし、「記憶」を訊ねた後に、その「記憶」を「応用」できるかどうかを訊ねてみましょうね?
それだけで、少しはこれまでの状況と変わってきます。