louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「マルザーノのタキソノミー」について ~ New Taxonomy of Educational Objectives ~

今日は、「ロバート・マルザーノのタキソノミー」について少し考えてみます。


ロバート・マルザーノ「New Taxonomy of Educational Objectives」という書籍で、教育的な目標を理解し、分析し、組織するための新しいフレームワークを提案しています(日本語版は「教育目標をデザインする」というタイトルで、北大路書房から出版されています)。

マルザーノのタキソノミー

これは、有名な「ブルームのタキソノミー(教育目標の分類体系)」を現代に合わせて改訂したものと言われていますが、、、、、まぁ、ブルームを研究して、ここをこうすればもっとよくなる、、、なんて考えた結果でしょう、、、。

 

こういう人がもっとたくさんでてきたら、世の中は今より良くなるはずなんですが、、、

 

ただ、私的にはガニェ派(?)なので、あまりブルームの分類については気にしていなかったのですが(「完全習得学習」「形成的評価」等については、勿論学びました)。


とりあえず(今更ですが)、まずは「ブルームのタキソノミー」について簡単に記します。

ガニェ的には、「学習成果の分類」です。


マルザーノ「教育目標の分類」となっていますが、、、、、「学習成果」の方がいいように思います。


「Education」より 「Learning」でしょ、、、と!(ガニェ派なので、、、)

 

(ブルームのタキソノミー)


1.認知(知識や理解などの知的操作を含む)

  >知識、理解、応用、分析、総合、評価

 

2.精神運動(技能や習慣などの身体的操作を含む)

  >模倣、巧妙化、精密化、分節化、自然化

 

3.感情(態度や価値観などの感情的操作を含む)

  >受け入れ、反応、位置づけ、組織、個性化

 

詳しくは、ネットで検索してください、超有名なのでいくらでも見つかります。

 

では、マルザーノのタキソノミーをはどうかというと、


(マルザーノのタキソノミー)


1.自己システム

  >学習者の意識と自尊心、学習者が新しい情報を受け入れる意欲と動機付けに影響を与える。

  >自己の学習目標や自己効力感について自己管理や自己反省を行わせる。評価方法としては、自己評価や同僚評価を用いる。


2.認識システム

  >学習者が情報を認識し、理解し、記憶する。情報の処理、整理、保存が含まれる。
  >事実や概念を決定や実験などの実践的な状況に適用させる。評価方法としては、シミュレーションやプロジェクトを用いる。


3.メタ認知システム

  >学習者が自己調整し、自分の学習を計画し、監視し、評価する。

  >自己の学習過程や成果について自己監視や自己調整を行わせる。評価方法としては、ポートフォリオや学習日誌を用いる。


マルザーノは、「教育目標のレベルに応じて、教育活動や評価方法を具体的に示した」というのと、より人間の精神性、、というか、内部(?)に切り入ったというのがブルームとの違いでしょうか?


ブルームの説を進化させた、、、と言われれば、そんな気もします。


また、マルザーノの研究の大きなテーマとしては、当然のことながら


「学習者の理解を深め、批判的思考スキルを発展させるか?」


ということがあります。


そこで、下記のようなことを力説していますが、、、、


(学習目標の明確化)

学習目標を明確にし、それを学習者に明確に伝えることの重要性を強調。学習者が何を学び、どう学ぶかを理解するのを助け、学習の方向性と目的を提供する。


(学習者との関連性の構築)

学習が学習者の個人的な経験や興味に関連づけられると、その学習が強化されると提唱。

 

(批判的思考の促進)

学習者が情報を分析し、評価し、応用する能力を発展させることを重視。問題解決スキルと高次思考スキルを強化するため。


(フィードバックと評価)

定期的なフィードバックと評価が学習者の学習を向上させるために重要であると強調。学習者が自分自身の学習を理解し、改善する。


(環境の管理)

効果的な環境管理が学習者の学習結果に大きな影響を与えると主張。教授者が安全で積極的な学習環境を作り出すための戦略を提供。

 

まぁ、・・・・・

当然、とても重要なことなんですが、こういうのはインストラクショナルデザインを学べば誰もが思いつくことですね?


IDの基本中の基本ですね、、、。


マルザーノの提案は、アメリのいくつかの企業内教育にも取り入れられているようで、それはそれで素晴らしいことですね(日本企業じゃ絶対にありえない、、、)。

 

研究所とかも立ち上げてかなり宣伝したのでしょうが、こういった会社や研究者が日本では全く出てこないというのが、残念でなりません。

 

いい加減な教育系コンサル(知識も実践も低レベルな、、、)しかないようなこの国の現状では、どうしてもネガティブになってしまします。


とはいえ、「New Taxonomy of Educational Objectives」みたいな本がこの国でも翻訳されているということは、未来への小さな救い、、、かもしれません。

北大路書房は、、、結構いい仕事してます。