louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「自己主導型学習(self-directed learning; SDL)」と「放置教育」

以前、「自己調整学習(Self-Regulated Learning)」について記しましたが、アカデミア界(?)では、その上(先?)に自己主導型学習(self-directed learning; SDL)」があるとされています。


同じ学習ですが、「自己調整学習(Self-Regulated Learning)」「自己主導型学習(self-directed learning; SDL)」は全く違うものです。


「自己調整学習(Self-Regulated Learning)」というのは、学ぶ内容、目標等を教授側から与えられる、もしくは必然的な関門(受験等)があることがわかっており、それに対処する学習です。


しかし、「自己主導型学習(self-directed learning; SDL)」は、その名の通り自分が主導して、何を学ぶか? というところから始まる学習です。

 

(自己主導型学習)

一般的に、学習者が自らの学習目標を策定・追求し、学習プロセスや結果を評価する能力と態度。"何を学ぶか?"という学習の方向性を自分で決める。


のことです。


ユネスコトビン等、多くの理論、研究がありますが、有名なところでは、マルカム・ノールズでしょうか、、、?

自己主導型学習

ノールズ成人教育、アンドラジーの分野で認知されている学者で、自己主導型学習の理論を提唱しました。

 

まぁ、「何を学ぶか?」を自分で決めるのですから、成人を対象にするのはわかります。

ほんとうは、中学・高校でもそうすればいいと思いますが、「受験構造」「教えたい先生」「学習指導要領」などがありハードル(というより地上100mくらいの壁)は相当高いですね、、、。


ノールズ自己主導型学習の理論は、

学習者自身が自分の学習を計画し、実行し、評価するという考え方を中心に据えています。学習者が自分自身の学習ニーズを理解し、それに応じて学習活動を選択し、学習結果を評価する能力を持つことが重要。


学習の段階は下記の4つです。


1.学習ニーズの認識

学習者が自分自身の学習ニーズ、つまり何を学ぶべきかを理解することから始まる。


2.学習目標の設定

学習者は自分自身の学習ニーズに基づいて具体的な学習目標を設定する。


3.学習資源と方法の選択

学習者は自分自身の学習目標を達成するために必要な学習資源と方法を選択する。


4.学習結果の評価

学習者は自分自身の学習結果を評価し、学習目標が達成されたかどうかを確認する。


ノールズ自己主導型学習の理論は、学習者が自分自身の学習に積極的に参加し、自己効力感を高め自己調整能力を育てることを促進する。教育者が学習者を指導するだけでなく、学習者自身が自分で学び、考え、理解する力を育てることを目指します。


「学習」という点でとらえれば、間違ったことは全く無い理論です。


ただ、これは少し前の流行りである「探究学習」とは趣が違います。


「探究学習」は、「何を学べ!」ということから始まっているので、「自己調整学習」と同じような方向性です。


つまり、「自己主導型学習」は、


「学びたいことを、学びたいように、自分で学び、結果も自分の責任」


というような感じでしょうか?

 

(ネガティブな側面)としては、


1.学習者の自己評価能力に依存

学習者の自己評価能力に大きく依存する。自己評価能力が未熟な学習者は、自己主導型学習をうまく進めることが難しい場合がある。


2.誤った学習方法の可能性

指導者の監督や指導が少ないため、学習者が誤った学習方法を採用してしまう可能性がある。これは学習の効率や効果に影響を及ぼす可能性がある。


3.学習者のモチベーションに依存

学習者のモチベーションに大きく依存する。モチベーションが低い学習者は、自己主導型学習をうまく進めることが難し。


4.孤立感

一人で学習することが多くなるため、孤立感を感じることがある。これは学習へのモチベーションを低下させる可能性がある。


などがありますが、

 

ここで「失敗から学ぶ」とかいう言い訳(!)も発生しそうです。
(これも前に記しましたが、「失敗から学ぶ」なんてことは迷信で、「失敗しない」方がいいに決まっていますし、失敗しない方法を考えることが一番大事です。21世紀のエジソンやテスラになれる確率を考えてみればわかりますよね?)

 

では、この「自己主導型学習」に対する「教育」のポジションはどうでしょう?


通常の真正な「教育」では、”サポート”、”足場架け”、”ナッジ”、、、なんてことが考えられますが、「自己主導型学習」の場合、”何を学びたいか?”から学習者が決めるので、それに対応できる「教育側」の人は殆どいないでしょうね?


ということで、「自己主導型学習」に対するアプローチとしては「放置」という教育方略をとるのがいいのでは、、、、?

 

と、本気で思っています。


「おいおい! それでは自分の仕事を放棄してるじゃないか!」


という声が聞こえてきますね?


でもね、いい加減なアドバイス、的外れのフィードバック、、なんかをするより「放置」の方が、まだ学習者の為になると考えます、、、、。


対象も、目標も、方略も、評価も、自分自身で行うのだから、それでいいんじゃないかなぁ~、、、と(いい加減過ぎますが、実際いい加減です)


それが「自己主導型学習」に対する私の答え、、、のように今は思っています。


ただ、今の世の中にはある程度専門的な知識を与えてくれるネットChatGPTみたいなツールがありますから、、、、、


まぁ、しかし、「自己主導型学習」「企業内教育」に適用するのは相当難しそうですね?

昔の「飛ぶ鳥を落とす勢いのGoogleみたいな余裕が有り余っている会社じゃなきゃ無理ですね、、?