「テストから作る」という方略について、
これは、たしか鈴木先生の本にもあったと思うのですが(?)、「学習目標」を作れない人々(企業内教育担当者)のために、とりあえずこうやってみて、後々、真正な「学習目標」がたてられるようになればいいな、、、という実践向き(?)の方略です。
フローとしては、下記のようになります。
1.教育内容が決まる
2.習得してもらいたいポイントだけを洗い出す
3.テストを作る(2.のポイントを問う)
4.学習目標に変換(チェックリストで確認)
5.コンテンツを作る
つまり、「学習コンテンツを作る前」に、習得してもらいたいポイントだけを洗い出し、次に、テストを作る(ポイントを問う)ということです。
ほとんどの企業内教育のコンテンツ作成者は、教育内容が指示されると、まず最初に「コンテンツを作る」ことから始めます。「学習目標」も「ほんとうに習得してほしいポイント」も洗い出さずに、、、、、
だから、永遠の「垂れ流しの e-Learningコンテンツ」を作ってしまうのです!
それを少しでも“マシ”なものにしようという方略が「テストから作る」ということです。
真正なテストが作成できれば、「テスト効果(Testing effect)」の恩恵を得ることができます!
学習の評価はテストによって得られるため、テストはとても重要だと考えています。その点でにおいて、私は「公文式」を非常に高く評価しています。
「テスト効果(Testing effect)」というのは、単に情報を聞いたり書いたりするのに比べ、テストを繰り返すことで情報を思い出す(検索する)行為の結果として記憶が強化される、ということです。
教科書を10回読むより、テストを3回受ける方がよほど記憶に残るし、何がわかっていて何がわかっていないかという「メタ認知」にも有効です。
企業内教育も学校の教育も、「まずは説明動画、資料、教科書」を徹底的に「記憶」しろ! というところから始まります。
必要ではない些細な事まで、重要なポイントと同じレベルで覚えさせようとします。
それが根本的に間違っているのです。
よって、私が推奨している学習方法は、
「一度(教科書や説明動画、資料で)学習し、テストを何度も繰り返す!」
という方略です。
もちろん、テストは満点になるまで繰り返さないと意味がありません。
これは「完全習得学習」のところでも何度も記しました。
とにかく、だまされたと思って(だましていませんが)、テスト効果を使ってみてください。間違いなく、これまでの垂れ流しよりは効果があります。