アカデミアの先生にはわからないこと(研究と実践の乖離)の Part.2です。
アカデミアでの研究や理論、モデルなどは、深く詳細に考えられ、非常に素晴らしいと思ってます。 だから、わからない事案の時、判断を迷った時などには、理論に立ち戻ったり、先生に尋ねたりします(そういう人間関係を事前に築いていおく必要がありますが)。
しかし、アカデミアの先生のご提言、アドバイスをそのまま企業内教育の方略やデザインに適用すると、ほぼ間違いなく立ち行かなくなります。
前回も記しましたが、アカデミアの先生は、企業内の環境、状況、関係性、力点等がわからないからです。
そういった内容を理解して! というのは、根本的に間違っています。そして、企業側はこの事実を理解していません。
大学の高名な先生だから、すべてお見通しで、完全な回答を得られると思ってしまうのが企業というものなのです。
それと同様に、いや、それより酷い状況を招くのは、いわゆる「教育コンサルタント会社」に任せることです。
人材育成の重要さを理解していない日本の場合、「教育コンサルタント会社」というのは単独ではほとんど存在せず、一般には「研修」業者、「LMS」業者やなどが兼業というか、わかったつもりでコンサルを行います。
こういう会社に任せると、何も成果は出ず、お金だけ取られてお終い! ということになります。だって、実際に学習デザインを作成したこともなければ、適当な事例を持ってきて、「〇×会社ではこのような事例があります!」という提案をするだけなのですから、、、
「事例大国」の日本企業は、それでコロッと騙されてしまいます!
こういった悪徳(コンサルの本人たちは別に騙そうと思ってやってるわけではないのですが、結果としては)業者にひっかかって、更に日本の「企業内教育」は経営層から「経費」として認定されていきます。
それはそうと、テーマの「アカデミアの先生」に戻りましょう。
・アカデミアの先生のおっしゃること、理論は正しい(これはそうです!)
↓
・教育担当者がその方略を、そのまま実行(何も考えず!)
↓
・結果は思わしくない(当たりまえ!)
↓
・終了
というフローをたどった企業を何社も知っています。
一つ言っておきたい重要なことは、
「すべてのインストラクション(教育)は、すべて違う!」
ということです。
なんか哲学みたいな感じで、今一つの表現ですが、ほんとにそうなんです。同じインストラクションなんてないのです。それぞれ、学習者も教育内容も学習目標も目的も環境も違うのです。そこに、一般的なモデルや理論を当てはめようとする企業内教育担当の誤解なのです。
特に、企業では教育担当は閑職なので、SME(Subject Matter Expert)内容領域専門家も兼ねている場合がほとんどで、片手間に教育を学んで、すべてがわかったと思っているからです。
学校教育では、文科省からのお達し通りに進める必要があるので(それも完全に間違ってますが)、一度明確なデザインをつくればそれほど変える必要はないでしょうが、企業の教育内容は、日々かわり、新しいことだらけです。それを一度うまくいったからといって同じデザイン、同じ方略で実施するので失敗します。
アカデミアの先生たちには、そのあたりのことをもっと大きな声で明確に言っていただく必要があると思います(まぁ、ご自分の研究でそれどころではないと思いますが)。
上記の公開講座の入門編、応用編には数年前に参加(コロナがまだない時代だったので対面での講座でした)しましたが、是非こういう機会に発信していただいたいと思っています。
ということで、次回は Part.3で「共同研究」について話そうと思います。