louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

TOTE (Test Operation Test Exit) モデル 再考 ~ Finding problems is harder than solving them ~

「TOTEモデルについて」は、以前記していますが、今回はこのモデルの問題点について再考してみます。


(TOTEモデル)とは、

 

 >Test(テスト)- Operate(操作)- Test(テスト)- Exit(退出)


まずゴールが達成できているかチェック、できていない場合は、操作を行い、再度チェックしOKであれば、終了する、というものです。


これは「心理学」で考えられた手法です。

心理学のTOTE-MODEL


それを「教育方略」としてインストラクショナルデザインは取り入れました。

 

正直なところ、ADDIEやSAM等のプロセスモデルより、もっともっと注目されていいモデルですし、インストラクショナルデザインを普及させるにはこのモデルを中心に展開するべきだった(もう過去形ですが)と思います。

 

インストラクショナルデザインでは、心理学のTOTEモデルの前に、

 

・「前提テスト」で準備不足者を排除

 

ということを通常行います。


これが心理学と「教育」との違う点ですね。

TOTE-MODEL

心理学の場合のOperate(操作)は、「学ぶ」ことだけではないので「前提知識」の有無を問わない場合が多いですが、「教育」の場合は、そのインストラクションを受けた後、知識やスキルが習得できているか? ということ(評価)が重要になるため、Operate(操作)できない状況を避けるためにこうなっています。


その後、「事前テスト」研修する必要がない人を除き、「事後テスト」でその習熟度を測り、できなかった人はできるようになるまでOperate(操作)と「事後テスト」を合格まで繰り返すという方略です。


「前提テスト」をする前に「診断テスト」を行ってレベル分けをすることも重要ですが、日本の学校、企業の場合では「平等」の名のもとにあまりインストラクション前の「診断テスト」は行われていないのが現状です(ほんとはコレが重要なんですけどね?)。

 

さて、今日の再考ポイントは、「事後テスト」で合格できなかった人、つまりExit(退出)できずに永遠にループしてしまう人へのアプローチです。

 

以前のブログには「e-Learningでやるなら、そう面倒なことでもない」と記しましたが、実際にはそこまでやる学校、企業はあまり(ほとんど)ありません。

 

敢えて上げれば、いつも例に出している公文式「カーン・アカデミー」くらいだと思います(この2つは、「そういうもの」だとしてあたりまえにやっているところが凄いですね!)。

 

通常は、「事後テスト」で合格できなくても、そのままExit(退出)させるか、再度「同じテスト(問題)」を行って、知識やスキルを習得できていなくてもExit(退出)させるということをやっています。

 

これはインストラクションを行う側の「怠慢」なのは間違いないことですが、環境や状況を考えれば「実施困難」なことも理解できます。


では、どうすればいいのか?

 

この答えは「アカデミア」では決してでません。

 

理論としては、再度「学習」し、新たな「事後テスト(同じ問題ではない)」を行って、ということを繰り返すということでしょう?

 

しかし、「現場」ではこんなことをやれる余裕も時間もお金もありません

 

アカデミアには「現場」の感覚はありませんから、、、


では、こうしたらいい! という確実な答えは残念ながら持っていません。

 

それゆえに、再考してみました。

 

一つの方略としては、「事後テスト」を合格できなかった人もとりあえずExit(退出)させ、その人たちだけに次の月に同じことをさせるということです。


これが「e-Learningでやるなら、そう面倒なことでもない」と記した理由です。

 

F2Fの研修とかでは難しいでしょうが、e-Learning なら、対象者の上司に確認を取るくらいで実施可能でしょう?

 

これなら、同じ問題ではない(問う内容は同じ)「事後テスト」を作るだけなので、インストラクションを行う側の負担もそれほど大きくはないですね?

 

次の月も合格できなかったら?

 

その時は、その次の月も同じことをやるだけです。

 

企業においては、さすがに2回目、3回目と繰り返すたびに不合格者は減っていき少数になります。

 

例えば、3回も不合格になった人、、、、「前提知識」があるにも関わらずこのインストラクションの内容を習得できない人は、

 

「学んでいない・・・・」

 

ということです。

 

この場合は、これ以上繰り返しても「学ばない」ので、Googleの下位1割へのアプローチと同じことをやらざるを得ないと思います。

 

企業での「教育・学習」は「仕事」であり、「給料」をもらってやっていることなので、、、、いたしかたありません。

 

TOTEモデルについては、今後も考えていきたいと思っています。