今日のテーマは、「GIGAスクール構想」についてです。
「GIGAスクール構想」とは、
「児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想」
GIGA(Global and Innovation Gateway for All)
「Society 5.0 時代を生きる子ども達にとって、教育におけるICTを基盤とした先端技術の活用は必須。VUCAの時代を生き抜くには従来の一斉教育だけではなく、多様な子ども達を誰一人取り残すことのない、個別最適化された創造性を育む教育の実現が重要であり、ICT教育で次世代の人材を育てる必要がある。これらを持続的に実現させる構想」
だそうです。
・誰一人取り残すことなく
・公正に個別最適化
・創造性を育む
・ICT教育
・持続的に
これだけ聞くと、ものすごく効果があり、効率的な「教育・学習」のデザインに思えますよね?
では、現実に目を向けてみましょう!
大々的に打ち上げたこの「構想」ですが、国が最も重視していたことは「教育」や「学習」ではなく、「ICT」だったということです。
全国の学校で、1人1台のPCやタブレットを配って、、、、結局のところは、コンピューターメーカーが大儲けすればいい、、というだけの「構想」だと思います。
実際、ものすごくスペックの低いPCやタブレットをありえないくらいの高額で購入していますね?
実際、この「構想」が始まってもう何年もたっていますが、「教育・学習」の「成果」はでているでしょうか?
聞こえてくる声は、
「教師の負担が増えて、、」
とか、
「ICTの知識がない教師の代わりに専門職を採用したけど、、」
とか、
「PCのスペックが低すぎて、何もロクに動かない」
とか、
「PCを持って帰ることができないので、プログラミングさえできない」
なんていうICT系のネガティヴなものばかりです。
この「構想」で、
「個別最適化の教育ができるようになった」
とか、
「創造性を育むことが可能になった」
なんていう声は聞いたことがありません。
そりゃそうです、この「構想」の唯一の目的は、
「1人1台のPCやタブレットを配る」
ことですから。
その目的は、達成できているでしょうね、、、、
・誰一人取り残すことなく
・個別最適化
・創造性を育む
この3つの項目は、少なくとも達成されていないと感じます。
・PCやタブレットを配ることで、なぜ「誰一人取り残すこと」がないのか?
・PCやタブレットを配ることで、なぜ「個別最適化」になるのか?
・PCやタブレットを配ることで、なぜ「創造性を育む」のか?
ICTと「教育・学習」は元々それほど親密な関係はないものですから。
勿論、ICTを使用した「教育・学習」が効果・効率に優れていいる場合はあります。ただ、それは、時と場合、状況、環境、対象者により変わります。
ICT(PC、タブレット、e-Learning、LMS、、、)は、単なる「ツール」だということがわかっていない人、もしくは企業が考えたあまりにもお粗末な「構想」だと思います。
この「構想」に参加しているアカデミアの教育専門家はいるのでしょうか?
まぁ、この国で「教育・学習」というものが、この程度にしか考えられていないということがよくわかる事例ではありますが、、、情けない限りです。
でも、きっと「ASSUREモデル」等でアカデミアが係わってはいるんでしょうね?
最後に、「ASSUREモデル」を紹介して終わります。
「ASSUREモデル(Heinich, et al. 2002)」(IDプロセスモデル)
A:Analysis learners(対象者分析)
S:State objectives(到達目標設定)
S:Select methods, media, and materials(手段、メディア、教材の選択)、
U:Utilize media and materials(メディア、教材の利用)
R:Require learner participation(学習者の参加を促す)
E:Evaluate and revise(評価改訂)