今日は再度、
「なぜ”インストラクショナルデザイン”が日本で普及しないか?」
ということについて考えてみます。
理由・原因は、もちろんいくつもあります。
今回は、理論やモデルの弱点等については考えずに、”外的な要因”を取り上げます。
・「研究(アカデミア)」と「実践(現場)」のギャップ
・教育に対する国、国民の思考(一億総教育評論家、わかったつもり)
・推進方略の失敗(ADDIEから入る、ARCS)
・リーダー、推進者の不在(熊大インストラクショナルデザインの崩壊)
・教育関連企業の胆略的方策
・インストラクショナルデザインを批判する人たち
・インストラクショナルデザインを推進しようとする人たち
まだまだありますが、
最後の2要因である
「インストラクショナルデザインを批判する人たち」
と、
「インストラクショナルデザインを推進しようとする人たち」
について記します。
まずは、
「インストラクショナルデザインを批判する人たち」
です。
学校にも、企業にも、研究者にも、、一定数こういう人たちがいます。
年齢、経験関係なくいます。
そして、学習者の支援として「インストラクショナルデザイン」の考えやモデルを取り入れて、やっと軌道に乗りかけた頃、こういう人たちが現れます。
(最初は何も文句は言わないんです、、、だから余計に厄介)
まぁ、ビジネスでも人間関係でも何でもそうですね?
「そもそも、、、」
とか、
「それって、アナタの感想ですよね?」
とか、
「同業界での事例は?」
みたいな感じです。
そういった人たちは、様々な弱点をネット等から探し、強調・誇張して、
「インストラクショナルデザインなんてダメだ!」
と言い出します。
彼らの言う「インストラクショナルデザイン」のダメなところ(弱点)とは、
1.柔軟性の欠如
インストラクショナルデザインは通常、特定の教育目標に基づいて設計される。その結果、学習者が教育目標から逸脱したり、独自の学習経験を追求したりする余地がない。
2.モチベーションの問題
インストラクショナルデザインが学習者の内発的な動機付けを十分に考慮していない場合、学習者の参加意欲や学習成果に影響を及ぼす可能性がある。
3.時間とリソース
効果的なインストラクショナルデザインを作成するには、大量の時間とリソースが必要となる。これは特に、教材を頻繁に更新する必要がある場合や、大量の学習者に対応する必要がある場合に問題となる。
4.個々の学習者のニーズに対応できない
全ての学習者が同じ速度で学ぶわけではないが、インストラクショナルデザインは一般的に全ての学習者に同じ教材を提供する。
5.技術的なスキル
効果的なインストラクショナルデザインを作成するには、一般的には教育理論だけでなく、マルチメディア、ウェブデザイン、プログラミングなどの技術的なスキルも必要とされる。これらのスキルを持つ教育者はまだ少ない。
大体こんな感じで、特に1,2,3を強調しますね。
「柔軟性の欠如」?
>いやいや、学習目標があってのデザインであり、方略ですから、そこから外れるのは意味が違うでしょ? ゴールのない広場で自分の好きなように走れっていうようなことですね、、、? それが目標ならそういうデザインを考えればいいだけの話です。
「モチベーションの問題」?
>学校の場合は、学びたくない人は学ばなくていい話です。企業の場合は仕事としてお金をもらって学ぶのですからモチベーションは必要ありません。従来の「ご講演座学」を聞くモチベーションは何でしょう?
「時間とリソース」?
>「効果」「効率」の比率を考えればすむことですね?
また、アカデミアと一度組んで業績を上げられなかった教育関連業者なども「インストラクショナルデザイン」を批判しますね?
こういう業者の役員にこれまで何人か会いました。
どういうことなのか聞いてみると、
「大学や先生にお金を出しただけで、こちらには何も利益がなかった」
と、、、。
んんん、まぁ営利企業だからなぁ、、と思いながら、「インストラクショナルデザイン」について確認してみると、
何も、、、知らない、、、
何も、、、学んでいない、、、
ADDIEというコトバだけ、、、知ってる、、、
ということがわかり、付き合いをやめました。
これこそ時間とお金のムダですからね。
とにかく、自分が学ばずに適当にデメリットだけをすべてのように語るのがこういった人たちです。
彼らが存在する弊害はあまりに大きいですね、、、、。
次に、「インストラクショナルデザインを推進しようとする人たち」です。
「??? 推進しようとする人が問題?」
と思うでしょう?
実は、この弊害もかなり大きいのです。
なぜなら、「失敗」して「インストラクショナルデザインはダメだ」ということになってしまうからです。
原因は、
・インストラクショナルデザインをちゃんと学んでいない
・フレキシブルな思考、対応、行動ができない
が多いですね。
このような人たちが、インストラクショナルデザインを推進しようとすると、間違いなく「失敗」します。
学校でも企業でも、通常は一度「失敗」すると挽回する機会はまず再度まわってはきません。
「失敗から学ぶ」なんてことは ”幻”か、”ユートピア”でのお話です。
これまで、”カタチだけ”インストラクショナルデザインを学んで、目の前の問題に対応できずに、インストラクショナルデザインの普及を阻んできた人を何人も見てきました。
インストラクション、学習(内容、状況、環境、対象者)など同じものはまずないのに、
・モデルに拘り(特にADDIE)
・形成的評価でデザイン修正もせず
・非定型、ハプニングが起こると無視
みたいなことで沈んでいくのです。
そして責められると、今度はインストラクショナルデザインを批判したりするようになり、次のターゲットを探して、コーチングだの、ファシリテーションだの、行動科学、キャリアデザインだのに走ってしまいます。
また、教育コンサル業の人たちにも、こういうのが非常に多いですね?
〇大の大学院で「インストラクショナルデザイン」を学びました、、というコンサルもたまにいますが、話してみると、理論やモデルについてはさすがによく理解してますが、
やはり、
・フレキシブルな思考、対応、行動ができない
人が多いですね。
いや、コンサルにARCSとか言われても、、、、って感じです。