もう20年以上前に、「ロジカルシンキング(論理的思考)」というトレンドがありました。
そして、「ロジカルシンキング」はトレンドからポピュラーなものに進化しました。
今でも、多くの企業で新人教育や管理職教育などで「ロジカルシンキング研修」なんていうものがおこなわれているのではないでしょうか?
私も何度か「ロジカルシンキング研修」なるものを受講させられたことがあります。
無論、「ロジカルシンキング」自体に何の文句もありませんし、考え方や理論はわりと真正なものだと思っています。
「インストラクショナルデザイン」や「教育・学習の理論」もまさに「ロジカルシンキング」がベースにあります。
ところが、巷でおこなわれている「ロジカルシンキング研修」、、、
「なんだこりゃ?」と思っています。
1人数万を払ってまで、、、、
さて、「ロジカルシンキング研修」を受講して学習、記憶、スキル習得したことで、「残っているもの」は何でしょう?
一般的には「ロジカルシンキング研修」というと、下記のようなことを学習(?)しますね、、
(帰納法)
多くの実例の中から共通点をみつけて結論を導き出す考え方。
(演繹法)
一般論やルールと観察事項を結び付けて結論付ける方法。
(弁証法)
肯定されている事柄に対して否定する案を提示する考え方。
(ピラミッドストラクチャー)
ピラミッド状のフレームワーク。もっとも重要な結論や主張を頂点に置き、その下に根拠を配置していく。
(ロジックツリー)
課題や問題をツリー型に分解するフレームワーク
・要素分解ツリー:問題の全体を捉えて、要素や部分に分解する
・原因究明ツリー:問題を引き起こしている原因を究明する
・問題解決ツリー:問題に対する解決策・改善策を洗い出す
(MECE(ミーシー))
「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」。
ある事柄を重なりなく、しかも漏れのない部分の集合体として捉えること。
(So What?/Why So?)
結局どういうことか、なぜそういうことが言えるのか。
「ロジカルシンキング研修」で何時間も拘束されて得られることは非常に少なく、あまりにも”コストパフォーマンスが悪い”と考えています。
なぜなら、、上記に上げた7つの項目など、「読めば」10分もあれば普通に理解できますよね?
これを何時間もかけて講師様、先生様が何十枚ものスライドを使って「ご講演座学」という最悪の形式で行うわけです。
正直なところ、「ロジカルシンキング」を学ばせたいのであれば、「ロジカルシンキング」について書かれた本を1冊渡してあげればすむことです。
「いやいや、座学だけでなく、実際にフレームを使った演習なんかもあって、、、」
などという人もいるでしょう。
それ、、ほんとに必要でしたか?
実際の現場で同じ状況がありますか?
また、長時間の「ご講演座学」による弊害(?)で、結局覚えていることは「MECE」だけだったりするわけです(「ピラミッドストラクチャー」も言葉が魅力的なので記憶していることが多いですね、、、)。
そして、会議などで発言の機会を得ると、
と蝉が鳴くように連呼するようになります(私的に「MECE蝉」と呼んでいます)。
「MECE」は「マッキンゼー」という名のもとに一躍大スターになりましたよね?
どこのコンサルにあっても「MECE蝉」の鳴き声がいつも聞こえて、勘弁してほしいと思うことが多々あります。
昔、一緒にプロジェクトをやったコンサルは、たった1時間の会議の中で30回以上も「MECE」を連呼して、、、、、
「それこそMECEじゃないですよ、、、」
とは言いませんでしたが、以後付き合いをやめました。
MECEだけでなく、「ロジカルシンキング研修」を受けた人は、下らない「フレームワーク」に全てあてはめるという単純思考に陥りがちで、時間とお金と労力のムダを大量生産します(これは、ADDIEを全面に出していたインストラクショナルデザイン浸透作戦の失敗にもあてはまります)。
せっかく「ロジカルシンキング研修」を受けたのに、「ロジカル」に考えられないという本末転倒、、、の結果を招いていると思うのです。
「ロジカルシンキング(logical thinking)研修」&「ご講演座学」&「MECE」
ときたら、、、useless things、、、だと思っています。