今回は、”「学習できる企業人」と「学習できない企業人」を分ける1つのファクター ” というテーマで考えてみます。
「学習」することが生活の中心にある「学生」と違って、業務が中心にある「企業人」が「学習」することは普通に考えて容易なことではありません。
最近では、「リスキリング」などという意味不明のトレンドによって、業務とは直接関係のない「学習」に目を向けさせるような ” 愚策 ” も横行していて、更に混沌としていますが、、、。
何度も記しますが、
「学習」することは、基本的には「学習者自身」の問題
です。
しかし、そんな「学習」を容易に、もしくは誘導、時には脅したり騙したりして行わせることが「企業内教育」の役割です。
「学習」により「知識・スキル」を習得すればその会社の業績に貢献できることは明らかです(証明できない教育担当がほとんどであり、それ故、企業における「教育」の立場は限りなく弱いのですが、、、)。
と、愚痴(?)はこれくらいにして、「学習できる企業人」と「学習できない企業人」を分けるファクターにはどのようなことがあるのかと考えると、
学習できる企業人は、自分の能力や知識は努力と経験を通じて成長できると信じ、固定マインドセット(Fixed Mindset)を持つ人は、自分の能力は固定されており、変わらないと考えがち。
・自己反省とフィードバックの活用
学習できる企業人は、自分の行動や結果に対して定期的に反省し、他人からのフィードバックを積極的に取り入れ、改善点を見つけ出し、次の行動に活かす。
・好奇心と探究心
新しい知識やスキルに対する強い興味を持ち、自ら学び続ける姿勢が重要で、新しい情報を求めて常に学び続ける傾向。
・自己管理能力
学習できる企業人は、自分の時間やリソースを効率的に管理し、学習のための時間を確保することができ、計画性や優先順位の設定が可能。
・オープンなコミュニケーション
他者と効果的にコミュニケーションを取り、異なる視点や意見を受け入れる能力があることも重要で。オープンなコミュニケーションは、学びの機会を広げる手助けになる。
・適応力と柔軟性
変化に対して柔軟に対応し、新しい状況や環境に適応する能力が高い人は、学習の機会を逃さない。適応力の高い人は、新しい課題や状況に対しても前向きに取り組むことができる。
といったようなことがよく語られます、
確かにマインド面の指摘は、悪く言うと
「証明できない」から言える
ことだとは思うのです。
可能性があることは否定できませんが、それを証明する術は限られてきます。
だからといって、そのようなことを考えることが「全くのムダであるのか?」と言われると、
” 勿論そうではない ”
と考えます。
これまで、「学習動機の2要因モデル」、ARCS(「注意喚起(Attention)」「関連性(Relevance)」「自信(Confidence)」「満足感(Satisfaction)」)や「フォグ行動モデル」など、マインド系の理論や方略については若干ネガティブな立場をとり、現在もそれは変わりませんが、” 全くのムダではない ” とは考えています。
今回考えている、”「学習できる企業人」と「学習できない企業人」を分ける1つのファクター ” も、ある意味 ” マインド ” の部分も大きいので、「証明」はできませんが、、、、
それは何かというと、
” ルーティン:routine ”
” ルーティンワーク:routine work ”
です。
企業では ” ルーティン・ワーク ” は軽く、時には馬鹿にされたりもします。
しかし、
” ルーティン・ワーク ” を的確に行える人は、「学習できる企業人」に成りえる可能性が高い、、、、
のではないかと考えています。
決まりきった仕事を、いつもの手順で、確実にこなすということは、通常企業内での評価にはあまり影響しません。それは、アイディア、創造性、イノベーションなどを神とする無能な上司や経営者の考えのためです。
だから、「出すぎた杭は打たれない、、、」のようなことを語る人が多いのだと思います(出すぎた杭は打たれないかわりに、抜かれますが、、)。
仕事とは切り離して ” ルーティン ” を考えると、つまりは ” 習慣 ” ということになります。
「学習」を「習慣」にすることの重要性はこれまで何度も記してきましたが、普段の家での生活における ” 習慣 ” ではなく、
業務として、ある意味強制された状況の ” ルーティン・ワークという習慣 ” の ” ルーティンの1つに ” に「学習」を組み入れる
ことは、
「学習できる企業人」を ” 判別する ”1つの方略
だと思うのです。
” グーグルの20%ルール(業務時間の20%を担当業務以外に充てられる)” というのが以前話題になり、安易にそれをマネする企業も多く出てきたことがありました(多分、もうほとんどのマネした企業はやめているでしょう、、)が、
そうではなくて、
” ルーティン ” に「学習」を組み入れることの方が企業にとっては余程有効
だと思うのです。具体的には、
” 業務としてのルーティン・ワーク ” に毎日10分でも20分でもいいので、「学習すること」を提示して” 仕事 ” として行ってもらう、、
というようなことです。
勿論、その「学習目標、方略、評価」を” 真正にデザインすること ” が、大前提にはなりますが、、、、。
” ルーティン・ワークしかやってないから、、” という低評価の人が、実は「学習できる企業人」として業績に大きく貢献できる人かもしれません。