louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「評価の三角形(Assessment triangle)」について

今回は、「評価の三角形(Assessment triangle)」について少し考えてみます。


「教育・学習」において「評価」が一番重要だということは誰でもわかることです。

しかし、実際には真正な「評価」を行わず、というより元から「評価」を御座なりにしている「教育・学習」が多々あります。


「教育・学習」というのは、

 

「メーガーの3つの質問」に具体的に答えることができるのかどうか? 

 

ということだと考えています。


(メーガーの3つの質問)


「目標」: Where am I going? (どこへ行くのか?)


「評価」: How do I know when I get there? (たどりついたかどうかをどうやって知るのか?)


「方略」: How do I get there? (どうやってそこへ行くのか?)


「教育・学習」の現場において、この3つの中で、一番優先されているのは、間違いなく「方略」ですね?

 

様々なモデル、フレーム、メソッド、方法、方略が大昔から考えられ、実践されています。

これは学校教育、企業内教育、生涯教育、、、どの分野でも同じ状況です。


なぜ「教育・学習」が失敗するか?

なぜ「教育・学習」の成果が出ないか?


というと、”「目標」「評価」” をあまりにも軽視する(というより考えていない)傾向があるからだと思います。


「目標」については、” インストラクションの「学習目標」をまともに作れる人がいない ”・・・と以前記しましたが、「評価」も全く同じです。


勿論、「メーガーの3つの質問」さえ知らない人たちが「教育」をやっているのですから、仕方がないことなのだとは思います、、、、。

評価の三角形(Assessment triangle)

さて、今回は、「評価の三角形(Assessment triangle)」です。


(評価の三角形(Assessment triangle))


James Pellegrino らが提唱した、評価に必要な3つの要素。

 

「認知」「観察」「解釈」は、教育や学習の評価過程において重要な役割を果たす。

 

・認知

学習者が情報を理解し、記憶し、新たな情報と結びつけるプロセスを指す。認知は学習者が知識を取り入れ、それを自分自身のものにするための基礎となるステップ。

・観察

教師や評価者が学習者の行動や表現を見て、そのパフォーマンスを評価するプロセスを指す。観察は、学習者が知識をどのように適用しているかを理解するための重要な手段。

・解釈

観察された行動や表現を分析し、それが何を意味するのかを理解するプロセスを指す。解釈は、学習者の理解度や進歩を評価し、今後の学習の方向性を決定するために必要。

教育や学習の評価を包括的に行うためのフレームワーク


(評価の三角形を使用するメリットデメリット


(メリット)


・包括的な評価

「認知」「観察」「解釈」の3つの要素を用いることで、学習者の理解度や能力を多角的に評価することができる。一面的な評価に偏ることなく、学習者の全体的なパフォーマンスを把握することができる。


・効果的なフィードバック

フレームワークを用いることで、教師や評価者は学習者の強みや弱みを明確に理解し、それに基づいた具体的なフィードバックを提供することが可能になる。


・学習者の自己理解

学習者自身もこのフレームワークを通じて、自分の学習プロセスや進歩を理解することができる。自己評価や自己改善のための具体的な指針を得ることができる。


(デメリット)


・時間と労力

この評価方法は、一方向のテストや評価に比べて時間と労力がかかる可能性がある。「観察」や「解釈」のプロセスは、教師や評価者が個々の学習者に対して十分な注意が必要になる。


・主観性

「観察」や「解釈」のプロセスは、教師や評価者の主観が影響を及ぼす可能性がある。評価の公平性や一貫性を確保するための対策が必要。


・評価の難易度

「解釈」の段階では、学習者の行動や表現が何を示しているのかを理解することが難しい場合がある。教師や評価者の専門知識や経験を必要とする。


ということです。


「評価の三角形」「メーガーの3つの質問」と同じように、具体的な内容というよりは、その概念を示したものですね?

 

つまり、「目標」が具体的に明記されて初めて、この概念が意味を持つということです。

いい加減な「学習目標」を作って、「評価」は「認知」「観察」「解釈」の要素だといわれても、ピンとこないかもしれませんね?


「目標」=「評価」と考えても、実は問題ないと考えています。


また、「評価の三角形」「総括的評価」よりも「形成的評価」のツールとして使用する方がいいともいわれています。

 

私的な感想としては、確かに「総括的評価」をするには具体性が必要なので、このような概念を持ち込むことは難しいように思います。


「形成的評価」の1機能として、フィードバックや、方向修正するのに役立つ考えであると考えます。


「メーガーの3つの質問」を理解できる人には、この「評価の三角形」に反応できるのではないでしょうか・・・