louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

メリルの「IDの第一原理(First Principles of Instruction)」 ~ きほんのき? ~

原点回帰、今更ですが、、ということで、

 

インストラクショナルデザインの基本中の基本である、

「メリルのIDの第一原理」

について考えてみます。

私的には、「メーガーの3つの質問」の方が好きなのですが、、、


「IDの第一原理(First Principles of Instruction)」で、よく言われるのが、


「効果的な学習環境を実現するために必要な要素」

 

ですが、

何となく曖昧な感じなので、


「よりよいインストラクションを作るための基本」というか、


”何を””どのように”学ばせ、”足場架け・アドバイスを与え、”応用”できるように、習得した知識やスキルを”使わせて”みて、”リフレクション”させる

といった感じでしょうか?


「原理」というよりは、どちらかというと「モデル」「手法」「方略」ですよね?


「学習者主体」なのか「教える側主体」なのか?

という考えの中では、当然「教える側主体」の考えです。

IDは「教える側」が知るべき知識・スキルですから、、、ね。

しかし、何のために? 

 

と考えると、前にも記しましたが、「主人公」は「学習者」なので、「学習者主体の教育」ではあるわけです。

メリルかメーガーか? それが問題だ

(IDの第一原理)

1. Problem→Task-Centered
2. Activation
3. Demonstration
4. Application
5. Integration


1 問題(Problem)課題中心(Task-Centered)

「現実的に起こりそうな問題(課題)に挑戦する」


2 活性化(Activation)

「既知の知識を動員する」


3 例示(Demonstration)

「語るのではなく具体例を見せる。Tell meではなく,Show me」


4 応用(Application)

「応用する機会がある」


5 統合(Integration)

「現場で活用しリフレクションできる機会を作る」


ということです。

 

 

まずは、1の「現実的に起こりそうな問題(課題)に挑戦する」というのは、

 

「試験に合格したければ、試験問題を解く」というようなストレートな内容ですね?

 

足し算、引き算、掛け算、割り算を習ったばかりの小学生がいきなり微分積分を学ぶというのは、意味がないですね、、、?

そんな感じですかね?

ただ、何が学習者にとって”現実的”か? という見極めは通常のインストラクションにおいては重視されない場合もあります。

 

小学生にとってほとんどの場合は微分積分というのは「現実的ではない」でしょうが、中には「現実的」な場合の天才もいるわけですから、、

 

当初は、Problemでしたが、現在はTask-Centeredとなっているようです。

 

そうですね「問題解決」は新たな「問題」を提示しますし、「課題中心型インストラクション:Task-Centered Instruction)」に変更したのは正解でしょうね!

 

世の中、何でもかんでも「問題解決」ばかりで、どんどん「問題」が出てきてますからね。


2の「既知の知識を動員する」については、

 

「前提知識」構成主義的」「メタ認知的」な考えですかね?

 

”動員する”とか”総動員”というコトバは、インストラクショナルデザインでよく使われるのですが、一般的には、

 

「知っている知識を使って、それでも、わからない場合は、自分が知らないということを認知し新たに学習する、、、」

みたいな表現の方がわかりやすいかもしれません。


3の「語るのではなく具体例を見せる。Tell meではなく,Show me」というのは、

 

これがこうだからこうなる、、、ということを教えるのではなく、同じような問題を解いてみたり、スキルであればやって見せる、といったことです。

 

私的には、これは「足場架け」だと理解しているのですが、Show me で「教える側」が問題を解いてしまったら意味が無いですね?

認知的徒弟制(Cognitive Apprenticeship)みたいなものだろうと思います。

「師匠の背中を見て学べ、、、」

とか、、。


4「応用する機会がある」は、

これは”知的技能”ですね、、たぶん。

1x1=2

という”かけ算”という知識を習得したら、

2x3=

ができるかやらせてみる、、、みたいな。

九九のように単純に個々を「記憶」させるのではなく、式等を別の数値、スキルを違った状況で使えるようにするということです。


5「現場で活用し振リフレクションできる機会を作る」は、

 

学んだ知識、スキルが実際の現場や試験でできるかどうかの機会を与え、上手くいけばそれでいいし、失敗してしまったりご回答した場合には、なぜか? ということを考えさせる、ということです。

 

「教える側」がこのような5つの要素を含んだインストラクションをデザインして実施すれば、「学習者」はやがて”自ら学ぶ”ようになる、、、

 

ということなのでしょう。


ただ、この「IDの第一原理(First Principles of Instruction)」がなんとなく今一つに思えるのは、「モデル」「方法」「方略」であるようにも捉えられるし、ポリシーやベーシックな思考にも捉えられる点です。


「モデル」にしては、曖昧過ぎますし、

「ポリシーや思考」にしては、具体的過ぎる

ように感じるのです。


インストラクショナルデザインを学ぶ人の中で、


「メリルのIDの第一原理」が一番大事!


という派閥(?)と、


「メーガーの3つの質問」だけでいい!


という派閥(?)がありますね(本当か?)。


私は、圧倒的に「メーガーの3つの質問」派です。


① Where am I going? (どこへ行くのか?)

② How do I know when I get there? (たどりついたかどうかをどうやって知るのか?)

③ How do I get there? (どうやってそこへ行くのか?)


勿論、「メリルのIDの第一原理」がダメだということではないのですが、、、