louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「学習環境」を整えるということ ~ REALs ~

REAL (Rich Environments for Authentic Learning)、もしくは、REALs という考えがあります。


実世界の状況を反映した ”リッチな学習環境を提供する教育的アプローチ” の一つです。

ロープレ、ケーススタディ、プロジェクトベースの学習など、実際のビジネス環境を模倣した学習などの文脈で語られます。


今回は、この「学習環境」を整える、ということについて考えてみます。


「教育・学習」のデザインを行う際、これまでの環境(例えばLMSや社内での集合研修、ペーパーテスト等)で、デザインを作成してしまう場合がかなり多いと思います。


この教育は、LMS、あれは集合、そして1on1で、、、、などと、前任者や過去の踏襲ということをやってしまいがちです。

 

確かに、前例があれば日本企業では失敗しても非難されませんし、自分自身は何も考えなくていいですから、、、、ね?


しかし、元来、教授デザインというのは、0ベースで考えていくものです。

その際には、当然、学習環境もデザインの1パーツになります。

 

そして、REAL (Rich Environments for Authentic Learning)という考えが生み出されました。

 

と書くと、インストラクショナルデザイン以降の考えにように思いますが、
REALのアプローチは、ジャン・ピアジェ、レフ・ヴィゴツキージョン・デューイなどの思考や実績に大きく影響を受けていますので、考え自体はそれほど新しいものではないですね。


REALの特徴としては、下記のようなことが言われています。


・実世界のコンテキスト

学習は、実世界の状況や問題に関連して行われる。学習者は学んだことを現実の世界にどのように適用するかを理解するのに役立つ。


・多様なリソース

学習者は、書籍、インターネット、専門家の意見など、様々なリソースから情報を集めま、情報収集や研究のスキルを磨くことができる。


・コラボレーション

学習者はグループで働き、問題解決のために協力しあう。コミュニケーションやチームワークのスキルを磨くことができる。


・リフレクション

学習者は自分の学習経験や結果についてリフレクションし、自己評価を行う。これにより、自己認識や評価のスキルを磨くことができる。


・自律性

学習者は自分自身の学習を管理し、自分の学習目標を設定する。自律性や自己効力感を育むことができる。


自分の抱えている問題や、状況を容易にイメージできるデータや環境を整えれば、「学習効果」が上がる、、、というようなことですね?

 

まぁ、これもREALだけでなく、方略モデル形成的評価などのトータルデザインがあって、はじめて有効ですが、、、


また、デメリットとしては、


・構造とガイダンスの欠如

一部の学習者にとって、自己管理型の学習は難しく、より構造化された環境や明確な指示を必要とする。


・不均等な学習結果

学習者の能力や熱意によって、学習結果に大きなバラつきが生じる可能性がある。


・評価の難しさ

従来の評価方法では、学習者の学習過程や高次元のスキルを適切に評価するのが難しい。


・時間とリソースの制約

実世界の問題を解決するためのプロジェクトは、時間とリソースを大量に必要とする場合がある。


のような感じです。


私的には、「学習環境」を整えるということは、イメージやモチベーションといった心理的な部分だけでなく、「理論と実践」の融合をシミュレートできるということが非常に重要なので、REALには昔から関心がありました。

学習環境 REAL?

例えば、社外の高額研修に参加して、全く自分の環境と違うテーマ、思考、ロープレ、グループワーク、、などをしても、ほとんど意味がないと思っています。

 

通常、社外の研修では、ある程度汎用的なテーマを主催者が設定し進行していきます。勿論、すべてがムダというわけではありませんが、

永遠に使える名言である、、

「自分ごと、、として考える」

ということができるかというと、まぁムリですね?


しかし、研修とは、それぞれ違う環境の、多様な学習者を相手にするのですから、仕方がないと思います。


「自分ごと」にするために、自分の仕事の問題解決を研修で行う場合もあります。

その際、問題だけは現実味があります。

 

しかし、知識も状況もすべて違う人たちが集まって意見を言ったところで得られるものなど、、、、まず無いと思っていいでしょう?

 

全く頓珍漢なアドバイスや、内容を説明するだけで時間が終わったり、、、というのは自分の会社や部署、チームでやったとしても経験した人は多いと思います。

 

そういったムダなモノを「反面教師」と捉えて自分の思考をブラッシュアップすることもできるかもしれませんが、、、、


また、IT関連企業が提供する、でっかいゴーグルをつけたVR(Virtual Reality)なんていうのもありますね?

 

正直なところ、、、笑うしかないというか、、、、

 

ゴーグルをつけた自分の姿をイメージするだけで、悲しすぎます。


では、どうすればREAL (Rich Environments for Authentic Learning)が作成できるでしょうか?

 

非常に難しいとしか言えませんが、

 

やはり、自分の業務での問題点を同じチームで共有し、各人向けの「学習環境」を作るしかないと思います。

 

同じ業務を行っている人たちなら、それほど大きくテーマが変わることもないですし、少しのモディファイで対応できる場合も多いのではないかと考えています。

 

勿論、それを考えデザインするのはインストラクショナルデザイナーです。

 

当事者や、SME、もしくはコンサル等が考えるのでは上手くいかないでしょうね?

 

「学習環境」を整えるデザインを行うのも、インストラクショナルデザイナーの仕事です。