louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

研修や授業の後半は「RSQC2」を行う!

研修や授業を行う方の中には知っているかもしれませんが、アクティブラーニングや、自己調整学習の文脈で語られた「RSQC2」という方略があります。

 

この方略を、研修や授業の後半に多くの時間を取って実施すれば、単なる「伝達」「聞き流し」にならない可能性も高いので、考えてみます。


また、この方略は自分だけで行う「学習」においても重要だと思います。


(RSQC2)

 

1.Recall(思い出す)

学習者は学んだ情報を思い出す。レビューや再評価を通じて行われる。


2.Summarize(要約する)

学習者は新たに学んだ情報を自分なりに要約し、自分の言葉で説明する。これは理解度を確認するのに有効。


3.Question(質問する)

学習者は新たに学んだ情報について自分自身に質問を投げかける。これにより、理解の深度が増す。


4.Connect(つなげる)

学習者は新たに学んだ情報を既存の知識とつなげる。これにより、情報の統合と理解が深まる。


5.Comment(コメントする)

学習者は新たに学んだことについての意見や感想を述べる。学んだことを他人に説明することも含まれる。


リフレクション復習という意味合いが高いので、当たり前だと思いがちですが、人間の記憶など5分前のことでさえほとんどアヤフヤなので、このテクニックを毎回行うことは重要です。

RSQC2

また、1~5までをすべて、手書きでノートや紙にアウトプットするというのは、自己評価及び、メタ認知の大きな利点となります。


具体的な例としては、


1.Recall(思い出す)

今回のインストラクションで学んだことを、すべて書き出します


2.Summarize(要約する)

1で書き出したものをポイントにわけて要約し、それぞれの関係性などをまとめます。この際、重要なのは「自分のコトバ」で説明するということです。


3.Question(質問する)

2でまとめたポイントや内容を確認し、なぜそれがポイントなのか? 自分の持っている知識との関連性などについての「問い」を書きます。


4.Connect(つなげる)

3の「問い」に対する自分の「回答」を書き、更に関係性について考え、新たな視点を見つけようとします。


5.Comment(コメントする)

最後に、今受けたインストラクションで学んだことを具体的に、また、全体的な感想や問題点、意見等を講師、教師に伝える文章を書きます。個人学習の場合は、自分に向けてプレゼンする内容を書きます。


「RSQC2」を行うメリットデメリットは、


(メリット)


・深い理解

自分自身で情報を要約したり、質問したり、つなげたりすることで、知識を深く理解することができる。


・知識の統合

新たな知識を既存の知識とつなげることで、全体の知識体系を理解しやすくなる。


・自己反省の機会

自己質問やコメントを通じて、自分自身の理解度や学習の進行状況を評価する機会となる。


・自分自身の学習方法を見つける

学習者が情報を自分の言葉で説明することを強調しているため、自分自身にとって最も効果的な学習方法を見つけることができるようになる。


(デメリット)


・時間がかかる

情報を深く理解するための手法なので、一見すると時間がかかる。しかし、これは長期的に見れば学習効率を向上させるとも言える。


・自己評価が難しい

自分自身で学習の進行状況を評価する必要があるため、自己評価が難しい人にとっては難易度が高い。


・ガイダンスが必要

初めて行う場合、適切な要約、質問、コメントの作成方法などについてのガイダンスが必要となる場合がある。


ということです。


「RSQC2」は、研修や授業の際に、前回の振り返りと称して行われることもありますが、それではあまり効果があるとは思えません

 

あくまで、研修、授業の中に組み込まれるべきです。

 

例えば、研修で、3つの内容を60分ずつやるのなら、

・40分インストラクション + 20分「RSQC2」
・40分インストラクション + 20分「RSQC2」
・40分インストラクション + 20分「RSQC2」

授業90分なら、

・60分インストラクション + 30分「RSQC2」

 

とすれば、「学習効果」は間違いなく上がりますね?


「60分のインストラクションを40分にするなんてムリ」

「90分ずっと教えたい!」

なんていう声が聞こえてきそうですが、

 

「効果のない」研修や授業をやるよりは、「効果のある」研修や授業をやるべきでしょう?

 

こういう発想ができないのは、「教える側」がいつまでも主体で、偉いと思い込んでいるからです。

 

「教える側」の評価は、「学習者」がどれだけ「学習」し、知識やスキルを習得できたか? 

 

ということです。

 

”カリスマ塾講師”も、”最優秀教師”も、”伝説の教育担当” も、全く必要ではありません。

 

どんな塾講師や、教師、教育担当が実施しても「学習者」が「学習」できるデザインを目指すことが重要ですね?

 

そういったデザインができれば、昨今のような「教師不足」、、、などと話題にならないはずですね、、、、?