louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

スターンバーグのダイナミックテスト ~ 学習の可能性評価 ~

今日は、ロバート・スターンバーグ(Robert J. Sternberg)エレナ・グリゴレンコ(Elena L. Grigorenko)「ダイナミックテスト(Dynamic Testing)」についての考察です。


プログラミングの「動的ソフトウェアテスト」の話ではありません。あくまで「教育」のお話です。

Dynamic Testing

(ダイナミックテスト)

 

・「教育評価法」の一つ。

 

・個々の学習者が新しい情報をどのように学び、その学習をどのように利用して問題解決に取り組むかを評価するもの。

 

・「事前テスト」 - 「インストラクション」- 「事後テスト」というサイクル。

 

・学習者がテストを受け、その結果をもとに教師が指導を行う。その後、再度テストを受けることで学習の効果を評価する。

 

・このプロセスを繰り返すことで、学習者の「学習能力」「問題解決能力」、そしてその「進歩」を評価することができる。

 

・学習者の「潜在能力」を引き出し、その成長を促すことを目指している。また、このテストは伝統的な標準化テストとは異なり、学習者の現状の知識や技能だけでなく「学習の過程やその能力」も評価する。これにより、教師は学習者の「学習スタイル」や「強み」、「弱み」をより深く理解することができ、それに基づいた教育を提供することが可能となる。


ということです。

 

<基本的なプロセス>

 

1.事前テスト:

まず、学習者がテストを受けることで、その時点での学習者の知識や理解度を評価する。

2.個別のインストラクション:

テスト結果をもとに、教師が学習者に対して指導を行う。これは、新たな情報の提供、誤解の解消、学習戦略の提案など、学習者のニーズに応じた様々な形をとる。

3.事後テスト:

指導後、再度同じテストを受ける。これにより、指導が学習者の理解度やパフォーマンスにどのように影響したかを評価する。

1~3のプロセスを何度も繰り返す。


このプロセスだけみると、以前紹介した「TOTEモデル」と同じように思われるかもしれません(TOTEは「Test-Operate-Test-Exit」の略で、目標を設定し(Test)、その目標に向けた行動を起こし(Operate)、再度目標が達成されたかを評価する(Test)。目標が達成されていればプロセスを終了し(Exit)、達成されていなければ再度行動を起こす(Operate)というサイクル


が、


「ダイナミックテスト」=「学習・習得の可能性を測定」

 

「TOTEモデル」=「当該インストラクションの完全習得」


なので、評価する内容が違います。


また、TOTEモデルは、「事前テスト」で合格なら、「インストラクション」は不要なので、そこで終了です。

しかし、ダイナミックテストは、「事前テスト」で合格でも、その後の「指導」、「事後テスト」を受けることになります。


ダイナミックテストは、学習者の潜在能力や学習過程、成長を評価するための教育評価法なので、学習者が新しい情報をどのように学び、それをどのように利用して問題解決に取り組むかを評価する、、、、


つまり、


・学習者の成長

・学習者の学習可能性

・学習者の学習方略作成能力


のようなことを評価するので、極端に言えば、テストの点数はあまり関係がないということですね。


たしかに、こういう授業や研修ができればいいと思いますし、学習者個々の学習適正や、能力を測ることもできるでしょうね、、、、、。


ただ、やはりというか、弱点が多いのも事実です。


(時間とリソース)

ダイナミックテストは一般的に、従来のテストよりも時間とリソースを多く必要とする。テスト、フィードバック、再テストのサイクルを各学習者に対して行うため、教師の負担が増える可能性がある。

(標準化の難しさ)

ダイナミックテストは個々の学習者の学習過程と成長を評価するため、一律の基準で評価することが難しい場合がある。これにより、評価の公正性や客観性が問われることがある。

(フィードバックの質)

教師が学習者に与えるフィードバックの質が、テスト結果に大きく影響する。しかし、適切なフィードバックを提供するためには、教師が十分な専門知識と経験を持っている必要がある。

(長期的な効果の不明確さ)

ダイナミックテストは即時の学習効果を評価するのに有用ですが、長期的な学習効果や知識の定着を評価するのは難しい場合がある。

 

スターンバーグエレナ・グリゴレンコの考えは、流石に素晴らしいと思いますが、やはり「研究」をすぐに「実践」に結び付けるのは難しいですね、、、

 

ただ、企業での教育や人材育成、成果評価、採用評価なんかにはコンピテンシーの一面として用いられればいいようにも思います。