今日は、「反転授業」が失敗してしまう理由についての考察です。
「反転授業」はすでにトレンドからポピュラーになっていると思いますので、詳しくは説明しませんが、一応の定義としては下記のような教育形態をいいます。
(反転授業)
「授業で学習し、自宅で復習する」という流れを反転させ、「自宅で予習し、授業では疑問点や理解できなかったことをサポートしてもらう」という流れにするもの。
企業研修であれば、社員は自宅で予習した後、集合研修を受講する。
ということですね。
この手法は、「学習」においては「理想的」だと思っています。全世界の「学校の授業」や「企業内教育」「研修」がこの形態でやればいいとまで考えてしまいます。
なぜなら、学習者は「学習」するし、教授側は「疑問点」を解消するようにサポートするのですから、まさに「教育」のあるべき姿ですね、、、?
From Sage on the Stage to Guide on the Side(壇上の賢人から、寄り添う案内人へ)
ですよね?
また、教育関連業者(特にLMS業者)や、そういった連中と利害関係のある一部アカデミアの宣伝活動により、
「反転授業」=「LMS等を使って学習」
という概念が植え付けられていますが、いやいや、LMSなんて全く必須ではありませんし、紙のテキストでも、スマホのChatGPTでも、Google先生でも十分です。
(暇な先生や講師は、LMSのコンテンツを作ってもいいですが、、、)
学ぶのにベターな手段を選択すればいいだけのことです。
実は、この点も「理想的」なわけです。
従来の授業、企業内教育、研修を”ちゃんとした「反転授業」”の形式に変えれば100%学力は上がるし、成果は出せるようになるでしょう!
が、
が、
そんなに上手くいかないのが世の常です。
「反転授業をしたけど、成績が下がってしまった、、、」
とか、
「ほんとに効果があるのかわからない」
なんてことをいう人たちが多発しましたね?
まぁ、「いい加減な反転授業」をしていれば、失敗するのは当たり前です。
では、本題に行きましょう!
「反転授業」が失敗してしまう理由の”2大原因”を下記のことだと思っています。
(原因1)
*授業、研修において「先生様」が「教えてしまう(ご講演座学してしまう)」
「壇上の賢人から、寄り添う案内人へ」のはずが「壇上の賢人から、壇上の賢人へ」になってしまうことが非常に多いということです。
「先生様」は「教える」ことが大好きですから、、、、
「疑問点」「理解できなかったところ」を学習者が「学べる」ようにサポート(ヒント、足場架け)してあげるのが「先生様」の役目なのですが、99%の「先生様」は「教えて」しまいます(これは、個別指導をウリにしている塾の講師も同じですね、、、)。
この「教える」「ご講演座学」によって、学習者は「どうせ授業で教えてくれる」という認識をし、「学ぶ」という行為を放棄します。
(原因2)
*ディスカッション、グループワーク、プロジェクト学習、発表
「反転教育」の起源(?)がピア・インストラクション (peer instruction) のマズールにあるということも原因かもしれませんが、一時ブームだった「アクティブラーニング」のように、授業、研修の場を、アウトプット、議論、協働の時間にしてしまうということです。
「学習」においてのコミュケーションやアウトプットが過大評価されすぎだと思っています(例のいい加減なラーニング・ピラミッドの影響大ですね?)。
勿論、他の学習者との意見交換によって得られる事案が全くないとは言いませんが、授業、研修という限られた時間の中では、あまりにもムダが多すぎるし、当然のようにフリーライドする人たちが多く出てきます。
あといくつかの失敗する原因をあげることはできますが、とりあえずはこの2つをクリアしないと、いつまでたっても「反転授業」は成功しないし、成功しないので広まることはないでしょう。
私的に、ちゃんとした「反転授業」とは、
・学習者が「学ぶ」方略、ツールは何でもいい
・「先生様」は「教えない(「ご講演座学をしない」」
・グループワークや発表はしない
・「先生様」は個人ごと(全員に)に足場架けをする
・形成的評価と総括的評価を行う
と考えています。