louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「なぜ学ばないのか?」 企業内教育の根本的課題(「学びたいこと」と「学ばせたいこと」のギャップ)

今日は、タイトルどおり企業内教育の根本的課題である

 

「なぜ学ばないのか?」

 

というテーマで記します。

 

これまで何度も、企業での学習は「仕事」である! と書いてきました。

そうです、これは学校教育と違って「義務」なんです。

本来は、「学ばなければならない」ものです。

 

仕事をしない社員は、普通の会社なら減給やクビになりますよね?

ところが、企業内教育や研修では、参加するだけで全く学ばなくても減給になったり、降格、クビになることはまずありません。

 

例えば、営業職で、一年間売上が「0(ゼロ)」の人を雇い続ける会社があるでしょうか? まぁ、「コネ」や「様々なシガラミ」でそういうことも無いとは言えませんが、大概はクビになるか部署をかえるかしますよね?

 

このことは、逆に言えば、「会社側が、「教育」や「学習」に期待していない」ということです。

 

日本企業の経営者のほとんどが、雑誌や新聞のインタビューなんかでは、「人材育成が大事」だとか、「人を育てることが私の使命」みたいなことを言いますが、その実は、「教育」「学習」については「学ばない」し、まったく興味がないのです。

 

もちろん、このような状況になっているのは、残念ながらあまり「有能な人がトップに立たないという日本企業の伝統、構造」もありますが、教育担当部門や人事部門が「教育・学習」の「成果」を提示できていないということが大きいと思います。

 

「成果」のアピールやROIでの数値化などについては、以前のブログに記載しているので、今日はそういったことの「前の前」のことについて考えてみます。

 

「前の前」なら、「前」は何か? というと、それは「インストラクションのデザイン」です。このことについては、当ブログのメインテーマなので今回は置いておいて、「前の前」、つまり、

 

「学びたいこと」と「学ばせたいこと」のギャップ

 

をどうすればいいか? というお話です。

 

人は、、、と大げさに言いますが、

人は自分の聞きたい言葉しか聞かない

「人は自分の聞きたい言葉しか聞かない」というゲーテ(?)の説は正論だと思います。

人間の欲求、心理、、、、で、

 

「自分が必要とすることしか学ばない」

 

ということが、根本なのです。

 

だから「Just in Time(JIT)」=「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」が必要なのです!

 

ところが、学習者側の「学びたいこと」と教授側の「学ばせたいこと」が合致することはほとんどといってありません

この根本課題をクリアしなければ、その後の「インストラクションのデザイン」をどれだけ考え抜いたとしても、期待するような「成果」は出ないと考えた方がいいでしょう。

 

ところが、

「いや、会社側がコレを学べ! というのがおかしいのか?」

とか、

「製品の基本知識も無くて売上があがるのか?」

とか、

「うちの会社の社員なら、こんなことは知っていて当然だ!」

みたいな話になりますね?

 

いや、確かにそういうことはわかっています。あくまで「仕事」なのだから本来はちゃんと「学んで」習得しなければならないのです。

 

しかし、「学ばない」のです

 

「魚を獲りたい漁師が、レーダーも魚群も確認せず、やみくもに海に向かって網を投げ入れている」ような状況で「何も獲れない」んです。

 

となると、個人によって様々なデータを調査分類をして、必要ならヒアリングをして、、、、個人ごとに学習内容を作らないとダメ、、、ですね?

そうです、それが正解です!

 

「そんな手間のかかることができるか!」

「いい加減にしろ!」

「バカなの?」

という罵声が聞こえてきます、、、、、

 

いやいや、各人が社用PCを持ち、様々なシステムが導入されている状況で、そんなことさえできないなら「教育・学習」なんて諦めればいいのです。


Aさん:顧客から〇〇について詳しく説明するように求められている

Bさん:ネットワークの遅延原因がわからず業務が滞っている

Cさん:EXCELのマクロを使えば残業しなくていいのに、、、

Aさん、Bさん、Cさんに「学ばせたい」ことは共通ですか?

 

Dさん:来週の訪問の為に、製品△△の副作用についてすべて知っておきたい

Eさん:来月の学会発表に備えて、伝わりやすいスライド配置は無いものか?

Dさん、Eさんに「学ばせたい」ことは共通ですか?


「いや、上から今月はコレを教育しろといわれてるから、、、」

「知ってて損は無いから、、、」

ということでカリキュラムを組み、デザインを考え、実施するから、誰も「学ばない」んです。

 

「学びたいこと」を学ばせる、という発想が無いこと、それが現状の企業内教育の悲劇です。

 

これは、全く自由にしろということではありません。ピンポイントで教育を提供しないと無意味になる場合が多いということです。

会社の業務を遂行することですから、全くのはずれ教育内容はないと思います。しかし、「学びたいこと」と「学ばせたいこと」のギャップを埋めないことには今よりよくなることは無いと思った方がいいですね。

 

トヨタ社員の家に行って、ホンダの車を買ってくれ! といってもムダでしょ?