louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「GROWモデル」の対象者について

今回は、スターバックスなどが社内教育制度に取り入れて有名になった「GROWモデル」について少し考えてみます。


GROWモデルは、1980年代にビジネスコーチとして知られるジョン・ウィットモアによって考案。競技スポーツの経験から、ビジネスコーチングの手法として考えられたものです。


「Coaching for Performance」で紹介され、世界中のビジネスや教育の現場で広く用いられるようになりましたね?

GROWモデル

まぁ、これまで紹介してきた「目標達成のため」のいくつものモデルとの大きな差はないのですが、一応、名称くらいは知っておいても損はないかと思います。


(GROWモデル)

コーチングや目標設定に用いられるフレームワークで、Goal(目標)、Reality(現状)、Options(選択肢)、Will(意志)の4つのステップから成り立っている。


・Goal(目標)

具体的な目標を設定。目標はSMART(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)であるべき。


・Reality(現状)

現在の状況を評価。自分がどこにいて、何が問題であるかを理解することが重要です。現状を正確に理解することで、目標達成のために何をすべきかが明確になる。


・Options(選択肢)

可能な選択肢や行動を考える。目標達成のためのさまざまな戦略や手段を考え、それぞれの利点と欠点を評価する。


・Will(意志)

具体的な行動計画を作成し、それを実行する意志を確認。選択したオプションに対するコミットメントを確立し、それを達成するためのステップを明確にする。


どうでしょう? 各内容についてはインストラクショナルデザインでも、その他のビジネスフレームワークでも同じようなことですね?


例の「理想」と「現状」の「ギャップ」を埋める、、、というやつです。


しかし、結構問題なのはフロー(流れ)です。


Goal(目標)→Reality(現状)→Options(選択肢)→(意志)


元々が、パーソナルなコーチングからの発想でしょうから、「目標」が決まっていて、、、ということなのでしょうが、これでは一般的な企業内教育や研修には向かないように思うのです。


通常は、まず


・「現状」と「なぜそうなっているのか?」を分析して、

    ↓

・さて、では「どうなりたいか?」


というプロセスを辿ります。


しかし、


大谷選手が「年間60本のホームランを打ちたい」


というGoal(目標)から始まるのがGROWモデルということです。

いかにもスポーツコーチ的発想です。


インストラクショナルデザインでも、「理想(Goal)」から始める人がたまにいますが、これでは上手くいきませんよね?


分析(Analysis)には「目標」「理想」も当然含まれますが、「現状」の確認と、その環境や状況の分析がまずは最初です。


「目標」が最初から決まっていたり、わかっているのなら、

それほど楽なインストラクションはありませんよね?


このあたりは何でも「問題」「問題」と言っていた、「問題解決」の大ブームの影響も大きいと思います。


GROWモデルは、

コーチン

・コンサル業務

くらいで成り立つ方略ではないかと思います。


この方略を、チームマネジメント、自己啓発、個人の成長、業務遂行などが目的の「企業内教育」や「研修」に取り入れるのは相当なムリがあるように思います。


GROWモデルに適している ” 対象者 ” は、


・自己改善やパーソナルデベロップメントに興味がある人

自己洞察力を深め、自分自身の目標や選択肢を明確にするためのフレームワーク。自己改善やパーソナルデベロップメントに興味がある人に適している。


・明確な目標を持っている人

目標設定を重視。明確な目標を持っている人、または目標を設定するための手助けが必要な人に適している。


・自己責任を持つことができる人

自己責任を持つことが重要。自分の行動や選択に対する責任を持つことができる人に適している。


・オープンマインドな人

自分の現状や選択肢を深く探求するためには、オープンマインドで新しい視点や考え方に対して開かれている人が適している。


・時間をかけて問題解決をしたい人

一定の時間と労力が必要。時間をかけてじっくりと問題解決をしたい人に適している。


ということです。


この ”対象者” に該当する人が企業内にどれだけいるでしょうか?

殆どいないでしょうね?


第一に、コーチンというのは、企業経営者トップアスリートムービースター、、、くらいにしか必要はないと思いますし、

 

適当なコーチング研修」を受けて企業の教育担当者が行うようなものではないと思うのです。

 

最近では、個別指導をウリにするでも、「〇△式コーチング」などと宣伝していますが、、、、やれやれという感じです。

 

まぁ、GROWモデル、、、という名称くらいは記憶しておいてもいいかもしれませんが、、、