「人間中心主義」と「教育」の関連から少し考えてみます。
「人間中心主義」というと、「人間性心理学」のカール・ロジャースのことが浮かびますね?
カウンセリングで有名なカール・ロジャースの「療法」の概念としては、
(無条件の肯定的関心)
カウンセラーはクライアントを全面的に受け入れ、評価や判断をしない。
(共感的理解)
カウンセラーはクライアントの経験や感情を理解し、それを反映する。
(本質的関与)
カウンセラーは真実であり、自己を隠さずにクライアントとの関係を築く。
これらの要素を通じて、クライアントの「自己理解」、「自己受容」、「自己信頼」を高めることを目的としていました。
ロジャースは、人間は基本的に「善」であり、「自己実現」と「成長の可能性」を持っていると信じ、この自己実現のプロセスを促進し、個々の人間が自分自身と他人、世界との関係を最善に生きる方法を見つけるのを助けることに焦点を当てていると考えました(この点は、、少し楽観的過ぎる気もしますが)。
とはいえ、これって、ほとんど「教育」ですよね?
実際にロジャースは、心理学、カウンセリングから「教育」についても考えを展開しました。
・ 教師は学習者を尊重し、無条件の肯定的関心を示すべき。学習者は自己評価と自己信頼を向上させることができる。
・ 教師は共感的理解を示すべき。学習者の視点を理解し、その経験や感情を反映することが重要。
・ 教師は本質的関与を持つべき。自己を隠さず、学習者と真実の関係を築くことが求められる。
また、
・ 教師は課題を設定せず、学習者にそれを任せ、教師は学習者が自分でやる課題の進行を補助するという”非指示的な授業”を提唱。
・ 人間は、学びたいという内発的な欲望を持ってはいるが、その人に何かを直接教えることは不可能であり、寧ろ、人は他者を促すことしかできない。
「自己主導型学習(self-directed learning; SDL)」そのものですね!
まさに、「学習者中心の教育」アプローチです。
ロジャースの「教育概念」は、
「教えない教育」の原点
といってもいいのではないでしょうか?
「教えないない教育」は、その内容を学ぶことなく、「何もしなくていいんだ!」「俺たちの仕事が無くなる」、、、といった、日本企業の教育担当者理の不尽な抵抗によって、あっさり消えてしましました、、、、(いい加減にしてほしい!)
それはそうと、とロジャースの「教育」に対する考えは、
「個々の学習スタイルへの対応」、「学習者の事前知識と経験の理解」、「間違いからの学習」、「モチベーションの維持」、「知識の適用」という「真正な教育」を網羅しています!
しかし、ロジャースは「心理学」での知名度が高すぎて、あまり「教育」の世界では有名にはならなかったですね、、、?
それより、最近では「ビジネストレンド」だった(!)
・「傾聴」
・「コーチング」
・「1on1」
なんていうコンテキストの中で名前をよく聞きましたね?
「教えない教育」、「傾聴」、「コーチング」、「1on1」も、”使う側”の勉強不足と適当な運用で、あっさりと「トレンド」で終わってしましましたが、、、
「人間中心主義」というのは、「教育」にとって最も基本的な概念だと思うのです。