今日は、職場では「やる気がない」とか、「向上心がない」とかで済まされることが多い「学習性無力感」と、「マイクロマネジメント」についての考察です。
(学習性無力感:Learned helplessness)
「自分の行動が結果を伴わないことを何度も経験していくうちに、やがて何をしても無意味だと思うようになっていき、たとえ結果を変えられるような場面でも自分から行動を起こさない状態」のこと。
長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象。
「何をやっても無駄だ」という認知を形成した場合に、学習に基づく無力感が生じ、それはうつ病に類似した症状を呈する。
1967年にマーティン・セリグマンらのオペラント条件づけによる動物実験での観察に基づいて提唱され、1980年代にはうつ病の無力感モデルを形成した。
ということです。
この言葉は、学校だけでなく企業の教育や人事にかかわる人なら結構知っているのではないでしょうか?
ただ、一般的には、「学習性無力感」に対処するということはあまりされておらず、大企業などのカウンセラーがいるようなところでは、実際の状況を知らないカウンセラーが適当に文献からの助言をそのまましたりしますね?
「学習性無力感」を克服するために職場でよくとられる方略としては、
・目標設定
明確で達成可能な目標を設定することで、自分の行動が結果につながることを実感させる。成功体験。
・フィードバック
能力を認められ、改善点を具体的に知ることで、自己効力感を高める。
・メンターの設定
経験豊富な他者からの支援やアドバイスは、新たな視点を提供し、自己効力感を高めるため、メンターメンティ制度を導入。
・継続的な学習
新たなスキルや知識を学ぶことは、自己成長の感覚を得ることができ、自己効力感を高める。
・自己肯定感の強化
自分自身の価値を認識し、自己肯定感を高めることも、学習性無力感を克服する。
などですね?
「自己効力感」「自己肯定感」、、、、、、あまり好きなコトバではありません、、、、
また、「学習性無力感」の起源(?)は、
「セリグマンが行った最初の実験では、犬が軽い電気ショックから逃れることができない状況を作り出し。その後、犬がショックから逃れることができる状況に変えたにも関わらず、犬は逃げようとせず、ショックを受け入れる行動を示した。これは、犬が自分の行動が結果に影響を及ぼさないと学習した結果と解釈された。」
ということで、「ストレス」等の類似性はあるにしても、「感情」を有した人間にそのまま当てはまるのかなぁ? という疑問はあります。
まぁ、学術的なことはいつものようにアカデミアに任せて、
実際の職場では、上記のような方略が「過度に」とられたり、心優しい(?)リーダーの「マイクロマネジメント」によって、
最終的には「退職」や「夜逃げ(?)」のような状況になることが多々ありますよね?
(ブラック企業だけでなく、ホワイト企業からも人々はドロップアウトするという事実が語られなさすぎる気がします。)
私的には、「学習性無力感」の対処に限らず、心優しい(?)リーダーの「マイクロマネジメント」ほどムダ、有害であることは無いと普段から思っています。
たとえ新入社員であったとしても、彼ら彼女らは20数年生きてきて、様々なことを経験してきています。そういった人たちに、「手取り足取り」で、小学生のように対処するリーダーの多いこと、、、、、
高額で無益な「研修」では、「ほうれんそう」、、、なんてことから始めたりする場合もあります、、、、、ね?
これはきっと、日本企業の「文化」なんでしょう?
個人的には、ノルマを達成できるならガイドを示して、放置するのがいいと思っているので、「マイクロマネジメント」をする人とは同じ空気を吸いたくない、、、のです、、、(極端ですが)。
「学習性無力感」は、人間の心理における抑うつ症状、不安、ストレス、モチベーションの減退などが原因とされていますが、勿論、それは個々人によってすべて違います。
その原因をそれぞれ突き止めて、対処方法を考えるなどということはとうてい不可能ですね?
「足場架け」や「軽度のアドバイス」や「ガイドラインの提示」のようなことは必要だとは思いますが、正直なところ、学校でも企業でも完全に対処することは難しいと感じます。
ただ、企業人、サラリーマンについては、やはり、「マイクロマネジメント」をやめて、「まずは昇給、昇格をさせる」という手はあります。
「ちゃんと働いてないのに、そんなことできるわけないだろ!」
とのお怒りはわかります。
しかし、その社員を活かしたいと考えるなら、そういう方略も十分に考慮されるべきだということです。
もしかすると、「損して得取れ」になるかもしれません(保証はしませんが)?