今回は、「RTI (Response To Intervention) モデル」について考えてみます。
通常は、「学習障害」の判断やその対応についての理論だと考えられていますが、この理論は、レベル別の教育や、PSI「個別化教授システム(Personalized System of Instruction)」を段階的に進める方略とも言えます。
学習者の学習困難を早期に認識し、支援を提供することで、学習目標を達成できるようにするという、本来の「教育」に基づいていると言えるのではないでしょうか?
(RTI (Response To Intervention) モデル)
学習上のつまずきが見られる子供に対して、徐々に指導・支援を行ってその反応を測ることにより、どのような支援が必要なのか(もしくは必要ではないのか)を客観的に判断していく診断モデルのこと。
学生の学習困難を早期に発見し、個々の学生のニーズに対応した教育的介入を提供するためのアプローチ。特に学習障害が疑われる場合に有用で、学習障害を持つ学生が特別教育サービスを必要とするかどうかを判断する手段。
つまずきの早期発見と適切な支援
(RTIの3レベル)
・ユニバーサル・スクリーニングと基本的な学習支援
全ての生徒が受ける一般的な教育とスクリーニング。学習に問題がある生徒を発見し、基本的な学習支援を提供。
・小グループでの集中的な介入
スクリーニングや一般的な教育プログラムで十分な進歩が見られない生徒に対して、より集中的な学習支援を提供。通常、小グループ設定で行われる。
・個別の集中的介入
レベル2の介入でも十分な進歩が見られない生徒に対して、より個別化された教育計画を作成し、1対1の指導を提供。
(RTI)のメリットとデメリットは、
(メリット)
・早期介入
早期に学習困難を発見し、適切な支援を提供することを可能にする。問題が大きくなる前に対処することができる。
・個別化
学習者の個々のニーズに合わせてカスタマイズされた教育的支援を提供することを可能にする。学習者が学習に成功する可能性が高まる。
・データ主導
データ主導のアプローチであり、学習者の進歩を定期的に監視し、その結果に基づいて介入を調整する。効果的な教育的介入を確実に提供することができる。
(デメリット)
・時間とリソースの要求
RTIは効果的に実施するためには、教師や学校スタッフの時間、労力、リソースが大量に必要。他の教育的優先事項からリソースが削がれる可能性があるす。
・適切なトレーニングの欠如
RTIを効果的に実施するためには、教師や学校スタッフが適切なトレーニングを受ける必要がある。十分なトレーニングが提供されない場合、RTIの効果は限定的になる可能性がある。
・特別教育サービスへのアクセスの遅延
RTIプロセスは、学習者が特別教育サービスを受ける前に、一連の介入を経ることを必要とする。特別教育の必要性が明らかな学習者でも、サービスを受けるまでに時間がかかる可能性がある。
プロセスとしては、
「診断テスト」
↓
「レベル別」
↓
「個別」
といった感じですね?
学校教育や企業内教育の殆どは「診断」もせず、「前提知識」の確認もせず、全員が同じ知識・スキルを持っていると仮定して教育を行います。
それが「平等」であり、それが「教育」だと思い込んでいるからです。
何度も記していますが、「教育の平等性」というのは、各学習者に対して「それぞれの、必要な教育を、必要な時に」提供することです。
全員集合 → 起立 → 礼 → ご講演座学
ではないわけです!
「特別支援教育」や「インクルーシブ教育」や「ギフテッド教育」では当たり前のコトが、通常の教育では行われないというのが問題なわけです。
教育は学習者の支援であり、ご講演座学を行うことではない
のです。
学校でも企業でも、「RTI (Response To Intervention) 」を一度考える必要があるのではないかと思うのですが、、、、