今回は、「レジリエンス(resilience)」と「教育」について考えてみます。
(レジリエンス)とは、
人や組織が困難や逆境、ストレスなどに直面したときに、それを乗り越え、適応し、さらには成長する能力。
心身の健康、精神力、柔軟性、問題解決能力、社会的なつながりなどが含まれる。
「レジリエンス」は誰もが持っている能力であり、これを強化することで人はより生きやすくなるそうです。
生きにくい現代では重宝しそうですね?
困難な状況に直面したときに、それに対処し、ストレスを軽減し、自身を回復させる力を高める、、、、、
んんん、、、何か少し怪しくなってきました。
「組織レジリエンス」は、組織のリーダーシップ、組織文化、従業員の能力、組織の構造などが影響を与えるそうで、これはまぁ、そうかなぁとも思います。
少し前に「教育・学習」の領域でも「レジリエンス」は話題になりました。
「学習者のレジリエンス」を高めるために、困難を乗り越えるためのスキルを教えたり、ポジティブな人間関係を築くための支援をしたり、、安全で支援的な環境を提供する、、、みたいなことが「教育デザイン」において多くの人たちが提言していました。
また、非常にいい加減な説で、
「レジリエンス」の高さが社会的な成功と関係があり、教育などによって「レジリエンス」を高められる側面がある
みたいなモノも出てきて、信じた人も多かったと思います。
かなり、眉唾モノの「レジリエンス」ですが、少し詳しく見ていきましょう。
(レジリエンスを構成するとされる主な要因)
・環境
学習者以外の要因によるもので、本人の努力で変えることは難しい内容。
・内的要因
個人の気質にかかわる部分。
・獲得要因
非認知能力やコンピテンス、教育や訓練で獲得する。
「環境」と「獲得要因」は、「教育・学習」に関連しています。
そして、「教育」において「レジリエンス」を高めるとされる方略には、
・ポジティブな関係の構築
教師や親、同級生との良好な人間関係は、学習者のレジリエンスを高める重要な要素。学習者に対する信頼と尊重、適切なフィードバックや励まし、親身になって話を聞くといったことが含まれる。
・問題解決スキルの教育
学習者に対して、困難な状況に直面したときの対処法を教えることも重要。問題解決の戦略、自己規制の技術、ストレスマネジメントの方法などが含まれる。
・自己効力感の育成
学習者が自分の能力を信じ、自分自身の人生をコントロールできるという感覚を持つことは、レジリエンスを高める。育成するためには、学習者に適切な責任を与え、成功体験を積み重ねさせることが有効。
・安全な学習環境の提供
安心して学べる環境は、学習者のレジリエンスを高めることに寄与する。学習者が自分自身を表現し、試行錯誤できるような環境を提供することが含まれる。
・社会的な支援の提供
学校や家庭、職場だけでなく、コミュニティ全体で学習者を支えることも大切。地域の資源やサービスを活用し、学習者が困難を乗り越えるための支援を提供することが重要。
どうでしょう?
インストラクショナルデザインやジョン・デューイのデューイ・スクール、経験学習、、、ヴィゴツキー、、、バンデューラ、、、
様々な内容が含まれていますね?
ただ、少しだけ思うのは、これは何度も記していて、常にそう思っているのですが、
「レジリエンス」自体、
「困難」や「壁」に当たった場合に有効なコンピテンシー
ですね、、、、
何となく、ネガティヴ前提の思考はあまり好きではないのと、、、
絶対的に根本的なことを言えば、
「レジリエンス」は目に見えません、、、
というか、
「評価」ができない
ですね?
「評価」のできないモノは、、、、、ほとんど「哲学」です。
勿論、誰もが「困難」や「逆境」、「ストレス」などに直面し、「失敗」するでしょう、、、それはそのとおりです。
また、「困難」や「逆境」、「ストレス」がほぼ前提の「教育・学習」も確かにあります。
特に、「企業内教育」などは、「困難」や「逆境」、「ストレス」だらけでしょう、、、
しかし、「教育・学習」においては、そうならないようにデザインすることが第一ではないか? と思うのです。
というと、ARCS(「注意喚起(Attention)」「関連性(Relevance)」「自信(Confidence)」「満足感(Satisfaction)」)なんて連想されますが、個人的には ARCS はあまり機能しないと考えていますし、
そうではなくて、
スムーズな、学習者の強い意思に基づいた「教育デザイン」と「学習」が必要ではないかと考えています。
特にどのようなモデルが、、、ということはないのですが、、