louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「経営学者」による「教育」の捉え方 ~ expert,master,professional ~

最近は「専門家」というコトバの意味が少し安くなってしまっていますが、今日は「専門家」は自分の「専門」で頑張ってほしい、、「餅は餅屋」というお話です。

 

『創造する経営(Management in Small Doses)』で有名な経営学ラッセル・エイコフは晩年に「逆転の教育: 理想の学びをデザインする」という著書で「教育」について考えています。

経営学者の考える「教育」

彼は、「システム思考のパイオニア「問題解決のアインシュタインとか言われて、専門である「経営学」で名を馳せた人ですが、、、、、


余裕のある人、偉い人(?)は、結構人生の最後に「教育」について一言いいたくてしょうがないという傾向にある気がします、、(ほんとか?)

 

ではまず、エイコフの専門である「システム思考」について見てみると、有名な理論に、「変化のための4つの方針」があります。


(変化のための4つの方針)


1.システム全体を理解する

組織は一部の総和以上のものとして考えるべき。問題を解決するためには、その一部ではなく、組織全体を理解することが重要。


2.目的を明確にする

組織の目的は、その行動と方向性を決定する。目的が明確であれば、それに基づいて適切な戦略を選択し、効果的な変化を促進することができる。


3.変化は連続的である

変化は一度に起こるものではなく、連続的なプロセスである。組織は継続的な改善と学習に取り組むべき。


4.フィードバックを活用する

組織は、システムのパフォーマンスを監視し、フィードバックを活用して改善を図るべき。組織は目標に向かって進化し、変化に対応する能力を高めることができる。


ということで、組織が変化に対応し、競争力を維持し、成功を達成するための重要点を考え、「システム思考」を展開しました。


「4つの方針」は何も間違っておらず、そりゃそうです、、としか言えませんが、個人的には「システム思考」と言えば、ピーター・センゲなので、エイコフセンゲの「システム思考」の違いを少し記します。


ラッセル・エイコフの「システム思考」)

システム全体を理解し、その一部を分析することよりも全体像を重視する思考法。エイコフは「分析的思考」(部分を理解することで全体を理解しようとする)に対する反論としてシステム思考を提唱。彼のアプローチでは、問題が発生した場合、個々の要素を修正するのではなく、システム全体としての機能を見直し、全体の構造やプロセスを改善することを重視。


(ピーター・センゲの「システム思考」)

「学習する組織」の概念の一部として提唱。センゲは、個々の構成要素ではなく、それらが相互にどのように影響を与え合うかを理解することを強調します。彼のシステム思考は、パターンやトレンドを認識し、問題の根本原因を特定することに焦点を当てている。フィードバックループ(因果関係のサイクル)の理解を強調。


エイコフ:全体の構造やプロセスの改善に焦点

センゲ:問題の根本原因を特定し、学習する組織の観点からシステムの理解を深めることを重視。


と考えると、やはりセンゲに「教育」「学習」を語ってほしいですね(?)

 

センゲディシプリンとして「個人が学ぶ(自己マスタリー)」の重要性を考えていますが、「教育」についてはあまり語っていないと思います(違うかもしれないけれど、、、)。

 

さて、問題のエイコフの「教育」観(?)です。


「逆転の教育: 理想の学びをデザインする」


1.システム思考の適用

教育もまたシステムの一部であり、その構成要素(生徒、教師、管理者、カリキュラムなど)だけでなく、これらがどのように相互作用するかを考慮する必要があると主張。


2.教育の目的

教育の真の目的は、生徒を社会の有益な一員にすることであり、そのためには生徒が自己を理解し、自己を表現し、自己を最大限に発揮する能力を育むことが重要。


3.学習と教育の区別

学習と教育は別のものであると説明しています。学習は個々人の責任であり、内発的なものであるのに対し、教育は他者からの影響を通じて行われるもの。

 

4.学びの再設計

現代の学校制度が個々の生徒の能力や興味を十分に引き出すことができていないと指摘し、生徒一人一人が自分自身の学び方をデザインできる教育システムを提案。


5.コミュニティの役割

教育は学校だけの責任ではなく、コミュニティ全体が関与すべきだと主張。コミュニティ全体が教育に参加することで、生徒が社会的スキルと倫理的価値観を身につけることができると説明。

 

2の「社会の有益な一員にする」なんていかにも経営学者」が言いそうなことで、今の日本企業の経営者が学校に望む内容と同じですね、、、(閉口)。

 

また、3で「学習」と「教育」は違うということについては、考えがあまりに浅くて、「学習」を支援するのが「教育」だということが理解されていない気がします。

「学習」が自己責任ですむなら、教師や講師、教育担当者など不要ですね?


4はケラーのPSI、インストラクショナルデザイン5はジョン・デューイですね、、、、


経営学では本当に凄い人だったんでしょうが、、、、できれば自分の専門分野を全うしてほしかったと思うのは私だけでしょうか?


同様に、日本企業の経営者たちは、大学教育に口出ししない方が「いい人材」が入ってくると思った方がいいですね、、、、

 

採用についても、短期間のインターンとかで、その人の何がわかるというんでしょう?