様々な場面で、「エキスパートインタビュー」が行われています。
ノーベル賞受賞者や、その道の第一人者を招いて「ご講演」の後に行われたり、もっと身近なものでは、業績を上げた社員をピックアップして、その話を聞くなんてことがありますね?
勿論、エキスパートの話を聞くことすべてが「ムダ」だとは思いません。
しかし、これを「学び」に転換できると考えている人たちが多すぎるように思えてならないのです。
企業においては、毎年その分野でいい成績(?)をあげた人を「人事部」がピックアップして、「エキスパートインタビュー」を行い、その内容を社内広報紙やホームページに載せたり、LMSで強制受講、、、なんてことが行われています。
「エキスパート」から「学べ!」というわけです。
ということで、今日は「エキスパートインタビュー」について少し記します。
(エキスパートインタビュー)
特定の分野や領域の専門家にインタビューすることで、その分野についての深い理解や知識を得るための教育手法の一つ。学習者が直接的な情報源から情報を得ることを可能にし、深い洞察力を得るのに役立つ。
期待される「教育効果」としては、
・リアルワールドの知識
学習者にリアルワールドの経験と知識を提供。教科書や講義だけでは得られない情報をもたらす。
・深い理解
専門家から直接学ぶことで、学習者は特定のトピックについてより深い理解を得ることができる。
・批判的思考
専門家との対話は、学習者が質問を考え、考えを提案し、情報を評価する機会を提供する。批判的思考スキルを育てる。
・モチベーション
専門家から学ぶことは、学習者がその分野に対する興味を持つ可能性を高める。
などがありますね?
ノーベル賞受賞者などへの高度な「エキスパートインタビュー」なら、単なる「ご講演」と同じで、大して「害」は無いようにも思えます。
しかし、多く実践されている、同じ職場で働く成績優秀者の「エキスパートインタビュー」などは、到底「学び」につながるとは思えません。
その3大原因は、
「隠匿」と「バイアス」と「嫉妬(心理)」です。
・隠匿
エキスパートでも誰でも、自分にとって不都合な事は、決してインタビューでは語らない。
・バイアス
インタビューされる側の様々な「バイアス」を排除できる機会は少なく、誤った情報を得てしまう可能性がある。
・嫉妬(心理)
同じ職務を行っている人の場合、心理的に嫉妬や反発が生まれる。
といったことが考えられますね?
第一、いい成績や成果を上げた「本当の方略や理由」などをありのまま語る人がいるでしょうか?
また、その内容が役に立つ全く同じ状況、環境の人がいるでしょうか?
ところが、企業(人事部等)はそういったことがわかりません。わかっている人もいるでしょうが、慣習としてやめることができません、、、。
中には、事前対策として、
・明確な目的や目標目標を事前に設定する
・事前調査を十分に行う
・適切な質問を準備する
・アクティブリスニングを心がける
といったことを、わざわざ事前に準備させたり、その後にアンケートを強制するような場合もあります。
こういった「エキスパートインタビュー」では、人材育成、企業内教育、研修などの常套句である「気づき」が得られると考えて、費用と時間をかけて行っているのでしょうが、、、、、、
「気づき」という曖昧な概念も、もちろん得られることにこしたことはありませんが、そんなモノより、明確な「学び」の方が1万倍も重要だし、実際に効果があると考えます。
時間、費用の「ムダ」でしかない「エキスパートインタビュー」ってやってないでしょうか?