まず、今日は
「実行機能:遂行機能(Executive Function)」
について記します。
発達障害や脳のワーキングメモリ関連で語られることが多く、あまりに当たり前のことで「教育・学習」の分野ではそれほど頻繁に出てくるコトバではないのですが、共通する部分が多いので、少しだけ考えてみました。
(実行機能)
個々の行動や意思決定を統制し、調整するための高次脳機能のことを指す。主に前頭葉とその接続部位によって制御されている。
人間が目標を達成するために必要な行動を計画し、その行動を始動し、継続し、そして必要に応じてその行動を修正するためには、実行機能が欠かせない。
脳機能のことなので、まぁ、そんな感じなんだろう、、、としか思えませんが、これも、「仕事」「教育・学習」に限らず、定型のフロー及び要素があるので、浅くみておきます。
(実行機能の能力)として、
・計画能力: 目標に向かってどのように行動すべきかを計画する能力。
・始動能力: 計画した行動を実際に始動する能力。
・継続能力: 始動した行動を続ける能力。
・抑制能力: 不適切な行動や反応を抑制する能力。
・切り替え能力: 状況に応じて考え方や行動を切り替える能力。
・ワーキングメモリ: 必要な情報を一時的に保持し、それを操作する能力。
どうでしょう? PDCA や ADDIE と一緒ですね?
「教育・学習」の理論や考え方は、他分野の様々な要素を取り入れていることが、ここでもわかりますね?
というか、何にせよ「目標を達成する」には、こういった考えしかない、、、ということです。
「実行機能」が直接「教育・学習」に影響することで言えば、
・情報を理解し、問題を解決し、新しい知識を獲得するための基盤となる能力。
・ワーキングメモリは新しい情報を一時的に保持し、それを操作する能力であり、学習の中心的な役割を果たす。
・抑制能力は、学習者がインストラクションに注意を払い続けるのを助け、また不適切な行動を抑制するのに重要。
・計画能力や切り替え能力は、学習者が複数のタスクを効果的に管理し、時間を適切に配分するのに役立つ。
・宿題をするために必要な時間を計算したり、テスト勉強のためのスケジュールを立てたりする際に特に重要となる。
そして、この「実行能力」の発達によいとされている方略が、あの「モンテッソーリ教育」ですね。
「モンテッソーリ教育」は有名なので名称くらいは聞いたことがあるでしょう?
あの将棋の藤井さんも受けていた、、、らしいです。
教師(大人)の価値観で一方的に教え込もうとするのではなく、子どもの興味や発達段階を正しく理解し、子どもが触ってみたい、やってみたいと思う環境を適切に用意し、その環境と子どもを「提示」などによって結びつけ、子どもの自発的活動を促す。
「自己教育」や「自己啓発」を中心とし、子どもたちは自分自身で学び、自分自身で成長する能力を持つ。そのため、子どもたち一人一人の自由な意志や興味、能力を尊重し、それに基づいた教育を行う。
教育環境の整備も重要な概念で、子どもたちが自由に探求できる環境を提供する。教室は子どもたちの身の丈に合った家具で整えられ、教材も自由に手に取って使うことができる。
ここまでだと、まさに「理想的な教育」ですね?
本来、「自由に学ばせること」が一番いいのです(何も考えなければ)。
しかし、やはり現在の世界においては、デメリットが多いのも事実です。
(デメリット)
・基準や評価が曖昧
子どもたちが自分自身で学び、自由に探求することを尊重。そのため、一般的な学校教育のような明確な評価基準やテストが存在しない場合が多く、その進行度合いや成果を明確に評価しにくいという問題がある。
・一般の教育システムへの移行難易度
モンテッソーリ教育を受けてきた子どもが、一般的な教育システムの学校に転校する場合、教育方法や学習環境の違いから適応に苦労する。
・費用
モンテッソーリ教育を提供する学校や施設は、特別な教材を使ったり、より小規模なクラスを維持したりするため、一般の学校に比べて費用が高い。
・教師の資質
モンテッソーリ教育を適切に提供するには、その理念を理解し、子どもたちの自主性を尊重する教師が必要。しかし、適切な教育を受けた教師を見つけるのは難しい場合がある。
・学習の範囲
モンテッソーリ教育では子どもの興味に基づく学びが重視されるため、一部の科目やテーマが欠ける可能性がある。子どもが興味を持たないテーマについて学ぶ機会が少なくなる可能性がある。
世の中の「学校構造」「社会構造」「貧富の差」「受験構造」などが無ければ、相当いい考えだとは思います。
こういった「構造(システム)」を変えないと、
「理想」はいつまでも「理想」で終わってしまう
のです。
一気に変えてしまう方法があればいいのですが、残念ながらそういうものは無く、適切なレバレッジを刺激して、少しずつ「構造」の中の関連性やループを変えるという前提で、「教育・学習」の理論やインストラクショナルデザイン、、、はあります。
また、モンテッソーリ教育は、
・ 0-3歳:乳児期
・ 3-6歳:幼児期
・ 6-12歳:小学生期
・12-18歳:青年期
と年齢で教育内容を決めているので、これはどうも受けいれがたい感じです。
同じ年齢なら同じ人なのか?
いやいや、みんな違いますよね、、、、
ここは「モンテッソーリ教育」の残念なところだと思います。
とはいえ、幼いころからモンテッソーリ教育のようなものを受けていれば、「実行機能」の能力を高めるということは、内容から考えても何となく理解できます。
現実的には、「小学校に行くまではモンテッソーリ教育を、、、」というのが、今のところの解決策なのかもしれません。