louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「ツァイガルニク効果とオヴシアンキーナー効果」を”教育方略”に盛り込んではいけない!

いくつかの教育関連の研修(高額)や、何冊かのビジネス書などで、「ツァイガルニク効果」「オヴシアンキーナー効果」を教育や仕事に使いましょう! 

 

みたいなことが拡散されていたりするので、そのことについて少し記します。


この二つの効果は、かなり覚えにくい単語(人名だから、、)なので、一度聞いただけではなかなか覚えられないですね、、、、

 

では、簡単に説明します。


(ツァイガルニク効果(Zeigarnik effect))

未完で中断したことは完成したものよりよく覚えている現象

心理学者Bluma Zeigarnikにちなんで名付けられたツァイガルニク効果は、心理学では、中断された活動がより容易に思い出される可能性があるときに発生するとされる。人々が完了したタスクよりも未完了または中断されたタスクをよく覚えている可能性がある。


【ツァイガルニク効果のメリット】

・未完了の作業に対する記憶が強化されるため、忘れずに作業を遂行することが可能になる。

・作業の中断が記憶力を高めるため、学習や情報の処理に利用することができる。

マーケティングや広告において、未完了の状態を作り出すことで消費者の関心を引きつけることが可能。

・プロジェクト管理においても、ツァイガルニク効果を利用して進行状況を可視化すれば、進捗を確認しやすくなる。

・効率的なタスク管理やスケジューリングを助け、生産性を向上させることが可能。

【ツァイガルニク効果のデメリット】

・未完了の作業が頭から離れず、ストレスや不安を感じることがある。

・他の重要な作業や情報を忘れる可能性がある。

・完了していない作業に固執しすぎて新たな作業に取り組めないことがある。
・未完了の作業に過度に集中しすぎて、他の重要な作業を怠る可能性がある。
・情報過多になりやすく、集中力を散漫にする可能性がある。

 


(オヴシアンキーナー効果(Ovsiankina effect))

未完成で中断した作業を(なんのインセンティブがない場合でさえ) やりたくなってしまう効果。

中断された行動がまだ達成されていないときに、中断された行動を再び拾い上げる傾向のこと。 これは、その研究者であるマリア・オヴシアンキーナー( Maria Ovsiankina)にちなんで名付けられた。

この効果は、中断されたタスクは、インセンティブがなくても、「準必要」として評価されることを示している。タスクを再び引き受けようと入り込む思考が生まれるとされる。


【オヴシアンキーナー効果メリット】

・中断された作業への強い動機付けが生まれ、作業を完了するためのエネルギーが生まれる。

・仕事や学習などで中断が必要な場合でも、それを再開しやすくなる。

・作業の中断が新たな視点やアイデアを生むきっかけになることもある。

・中断された作業に対する執着心が、それを忘れずに続けることを可能にする。

・自己効力感を高め、自己肯定感を強化する効果があるとも言われている。

【オヴシアンキーナー効果デメリット】

・一つの作業に固執しすぎてしまうと、他の重要な作業を見落とす可能性がある。

・中断された作業に対する過度のストレスや不安を感じることがある。

・未完了の作業が多すぎると、全てを完了させるための圧力を感じることがある。

・強迫観念的に作業を完了させようとすると、その作業のクオリティが低下する可能性がある。

・あまりにも中断が多いと、全体の進行が遅くなったり、生産性が低下する可能性もある。


どうでしょう?

ツァイガルニク効果、オヴシアンキーナー効果

「こういったことを教育方略に入れると、学習効果があります、、、、」


なんていう研修講師の戯言を簡単に信じる人たちがわりといます。


そして、研修では「中途半端」なところで中断、、、、休憩、、


その後、

 

「どうですか? 先ほど途中でやめたことで、その内容についてとても詳しく覚えているでしょう?」

 

みたいな”暗示”をするわけです。


ビジネスにおいての「かけひき」や「心理戦」には、少しは使えるかもしれませんね?

あまりいい方法とは思えませんが、ある程度は効果があるかも、、、?


ただ、正直に言うと、


こんなことを「教育方略」として取り入れるなんて「ナンセンス」です!


「ツァイガルニク効果とオヴシアンキーナー効果」が意味が無い、とは言いません。
未完で中断した事柄については、心理として記憶に残るという考えも多分間違ってはいないと思います。


しかし、それは例えば研究者が「たった一つの」重要なことだけを考えたり、タスクとしている場合には、もしかすると効果があるかもしれません。

というくらいの話だと思います。


様々な内容の学習を行う通常の場合「ツァイガルニク効果とオヴシアンキーナー効果」は、間違いなくマイナスに働きます


状況と環境、学習内容、学習目標などを全く考えずに、「ツァイガルニク効果とオヴシアンキーナー効果」を取り入れましょう!

 

なんてことをいう研修(高額)ビジネス書は無視して、確実な学習目標の達成ができるデザインを考えましょう。