louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

学習は「レディネス(Readiness)」がすべてといっても過言ではない(?)

今回は、” 学習は「レディネス(Readiness)」がすべてといっても過言ではない(?) ”  というテーマで考えてみます。

学習は「レディネス(Readiness)」がすべて

(レディネス:Readiness)


学習のために必要な準備状態を意味する心理学用語。

学習の前提となる知識や経験、環境などが整っている状態を指しており「心身の準備性」ともいわれる。

レディネスがある学習者は自ら興味を持って学習を進められる。

心理学者であるエドワード・L・ソーンダイクが提唱した言葉。 

人はなにかを学ぶときに心や身体が整った状態で学ぶと、知識や技術をより効果的に習得することが可能となる。

前提となる知識や経験など。

学習者が新しい知識やスキルを効果的に学ぶための準備が整っている状態。


(レディネスの分類)


・認知的レディネス

学習者が新しい概念や情報を理解するために必要な前提知識やスキルを持っていること。


・感情的レディネス

学習者が学習に対してポジティブな態度やモチベーションを持っていること(自信や興味、好奇心)。


・社会的レディネス

学習者が学習環境や他の学習者との関係性において適応できること(グループワークやディスカッションに参加する能力など)。


・身体的レディネス

学習者が健康であり、学習に必要なエネルギーや集中力を持っていること(十分な睡眠や栄養が取れていることなど)。


(レディネスを高めるアプローチ)


・学習者の背景や前提知識を評価し、必要に応じて補習や基礎的な内容の提供を行う。


・学習内容を学習者にとって関連性のあるものとし、興味を引き出す工夫をする。


・学習者が安心して学べる環境を整え、社会的なサポートを提供する。


・身体的な健康を促進するための情報提供やサポートを行う。


というようなことです。


この考えは、もう100年以上も前に提唱されたモノですが、いまだに生き残っているということは「真理」なのだと考えています。

 

” レディネス ” については、” ソーンダイクの「trial and error」 ~ Halo, Law of effect, Readiness ~ ” でも少しだけ触れましたが、学習だけでなく仕事においても当然重要であり、これまでは、


” 学習は「レディネス(Readiness)」がすべてといっても過言ではない ”


と考えられ、当然私もそう思っていました。


しかし、「4C/IDモデル」「精緻化理論」といったTCI(Task-Centered Instruction:課題中心型インストラクション)が出てきてからは、若干風向きが変わったようにも思います。


つまり、

 

” レディネス ” がなくても、「学習」は可能、、、

 

というのは少し言い過ぎですが、


” 全体を見渡して、やれるところからやる ” ようなTCI的なアプローチでは、” レディネス ” が整っていなくてもJIT(ジャスト・イン・タイム)で学ぶことができる


ため、” レディネス ” は必須ではない、、、という議論が出てきました。


確かに昔に比べて変化のスピードが速い現代では、その方が受け入れられるとは思いますし、実際のところ企業などの教育や研修では ” レディネス ” を軽視するような流れがあることも事実です。


(優秀な)インストラクショナルデザイナー「4C/IDモデル」「精緻化理論」などを使って、緻密にデザインした教育や研修ならそれでもいいとは思うのですが、

殆どの場合、単に ” レディネス ”は必須ではない・・・ということだけに注目した「手抜きの教育・研修」になってるのではないでしょうか?

 

特に未だに「TCIなど聞いたことがない」、「IDはADDIE、つまりPDCAでしょ?」、「問題解決能力が必要だ!」、「ロジカルシンキングを学べ」・・・とか言っているようなこの国の状況では、


悲しいかな、、とりあえずは、


” 学習は「レディネス(Readiness)」がすべてといっても過言ではない  ”


ということを推奨してもいい段階なのだと思うのです。