ブルーナーの「発見学習(discovery learning)」について考えてみます。
(発見学習)
・学習者中心の学習
学習者が自分自身で情報を探し、問題解決の過程を通じて新しい知識や技術を発見し、理解していくことを重視する。
・自己学習の促進
学習者が自分で問題を解決する能力を養うことを目指す。自己学習のスキルを強化することができる。
・深い理解の促進
自分で問題を解決し、知識を発見することで、学習者は知識を深く理解し、その知識を他の状況に適用する能力を養う。
・探究心の育成
学習者が自分で新しい情報を見つけ出すことを奨励。学習者の好奇心や探究心を養うことができる。
ということです。
要は、「学習内容」「課題」や「テーマ」について、教師が直接知識を教えるのではなく、学習者自身で「学び方」を学び、「テーマ」を見出し、「答え」を発見するという手法です。
「発見学習」は,学習者が能動的にその知識の ”生成過程” をたどることにより,知識を発見し学習するということです。
「仮説」を立てて、それを検証しながら法則や概念を発見していくという、まぁ、理想的と言えば、、、理想的な「教育手法(?)」です。
この「概念」や「構造」は、後の「TCI(Task-Centered Instruction):課題中心型インストラクション」の原型(?)みたいなものですね?
「TCI」が、知識やスキルを習得できるようにデザインされ、足場架けやJiTでのサポートがあるのに反して、「発見学習」は、基本的に、
”自分でどうにかしろ!”
というようなスタンスかと思います。
ブルーナー自身は「認知心理学の生みの親」みたいな人なので、デザインや方略については???、です。
また、ジョン・デューイをかなり意識していたらしく、デューイが学習者が自分自身の ”経験” を通じて学ぶことを重視していたことに対して、ブルーナーは学習者が ”新たな知識” を「発見」することを重視したとされているようです。
デューイは学習者の ”社会環境” 自体を学びの場としていたことを、批判したとか、しなかったとか、、、、(どっちでもいいですね?)。
「発見学習」の ”弱点” は、
・時間と労力
学習者が自分で情報を探し出し、問題を解決するために時間と労力が必要。教師から直接知識を教える従来の学習方法と比べて時間がかかる。
・一貫性の欠如
各学習者が自分のペースで学び、自分なりの理解を形成するため、全体としての一貫性が欠ける可能性がある。
・ガイダンスの必要性
学習者が自主的に学ぶことを奨励するが、全くの自由放任では学習者が混乱する可能性がある。
まぁ、それはそうですが、「学習」の結果がよければいいようには思います。
また、ブルーナーは、
「科目・単元の細かい知識ではなく、その科目・単元に通底する基本的な考え方・観念を教えるべきだ」
と考え、このような「構造」を考えることが重要とのことです。
「教科の背景にある学問の基本的観念」、、、、難しいですね?
「社会・生活」を重視するデューイに対して
学問をもとにした「教科の構造」を学習者自身の「内的な知識の構造」にしようとした
、、、とのことです。
「構造」がわかれば、どのような分野の内容であっても、自ら学ぶことができる、、、と思ったのでしょうね、、、。
ブルーナーの著書は「意味の復権」しか読んだことはないのですが、なかなか読みにくい本でした、、、(自分自身が「認知心理学」「認知科学」を広めておいて、、現状は行き過ぎだ! みたいな内容だったような記憶が微かにあります、、、)。
しかし、ブルーナーにしろ、デューイ、ケラー、、、ガニェ、ブルーム、、ライゲルースに至るまで、「能動的」な学習しかない、と数多くの人々が説き、訴え、発表してきたにも関わらず、、、、
「教育・学習」の状況は、大昔から何も変わっていないということが悲しいですね?
「学校教育」は「受験構造」があるので、簡単には変えられませんが、「企業内教育」は、、、少しだけ”脳”のある人が何人か集まれば変えられるように思うのですが、、、、、