今回は、「学習における ” スコトーマ(Scotoma)” 」というテーマで考えてみます。
心理学においてよく用いられるコトバに ” スコトーマ(Scotoma)” があります。
(スコトーマ)
・ギリシャ語で「暗闇」を意味し、心理学や教育学の分野で使用される概念。
・視覚障害の一つを指す眼科学の用語から派生している。眼科学では、視野の一部が見えない状態を「スコトーマ」という。眼の構造上、どうしても見えなくなってしまうポイントのこと。
・教育や学習の文脈では、知識や理解のブラインドスポット、自覚していない認識の欠如や理解のギャップを指す。
・心理学においては、「心理的盲点」。
元々は医学的な内容ですが、現在は心理学や教育・学習、コーチングなどの分野で使用されることのほうが多いですね?
「教育・学習」においても、
”知識や理解のブラインドスポット、自覚していない認識の欠如や理解のギャップ”
を克服しよう、、、などという意見が結構あります。
そして、「学習」の分野における
(スコトーマ”の発生要因)としては、
・知識が足りていない
・興味がない(重要度を感じていない)
となどといわれます。
まぁ、心理としては ” たしかに ” 、、、とは思います。
・知識が足りていない
>感覚器官が捉えていても、知識体系ではその情報の必要性がわからないので、その情報を見逃してしまう。
>問題が解けなかったり、パフォーマンスが速くならなかったりなどの原因はスコトーマにあるかもしれない。
・興味がない(重要度を感じていない)
>その情報に興味がなかったり、重要だと思っていなかったりすると、容易にその情報を逃してしまう。
>全ての情報を処理するのは認知的に好ましくないと認識する。
(スコトーマを無くす、克服する方略)
・自己認識の強化
学習者自身が自分の理解度や弱点を認識することが重要。自己評価やフィードバックの受け入れが含まれる。
・個別化された指導
教師が個々の学習者のニーズに合わせて教育戦略を調整することが有効。個々の学習者の理解度に合わせて教材を調整する、または一対一の指導を提供する。
・フィードバックと指導
定期的なフィードバックと指導は、学習者が自身のスコトーマを認識し、それを克服するのに役立つ。
・ピアラーニング
同級生との協力学習は、新しい視点を提供し、理解のブラインドスポットを明らかにするのに役立つ。
・メタ認知的なスキルの強化
メタ認知的なスキルを強化することは、自身のスコトーマを認識し、それを克服するのに役立つ。
・固定観念や先入観を捨てる
固定観念や先入観を捨てることができれば、自分が持っていなかった価値観や考え方を手に入れられるため、スコトーマを外すきっかけとなる。
となるようです。
また、脳科学の世界では ” RAS:Reticular Activating System ” との関連で ” スコトーマ ” を語ることも多々あります。
(RAS)
全ての情報を入力しているわけではなく「無意識に重要なものだけ」を入力しているという機能。
「重要なもの以外は積極的に入力しない」というシャッター機能。
RASによって入力する世界以外が「スコトーマ」。
RASはコンフォートゾーンに対して働くので、「コンフォートゾーン以外の部分はスコトーマ」である。
です。
興味のある学習内容と、そうではない学習内容についての取り組みの意識が違ってくることはありえます。
そこで、上記のような「克服の方略」等がとられるわけですね?
しかし、「学習」において ” スコトーマに陥る ” ということは、
” 本来はあり得ない ”
はずなのです。
なぜなら、「学習目標」があるからです。
”「学習」というのは「学習目標を達成する」こと ”
です。
それができているということは、” スコトーマに陥っていない ” ということだといえます。
しかし、殆どの「教育」においては、
” 真正な「学習目標」を立てる ”
ということができない。
つまり、「真正な「学習目標」を作ることが ” 教育 ” において最も重要なことである」ということが理解できない、見えない、、、
” スコトーマに陥っている ”
わけです。