louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「記憶・応用が得意な人」「記憶・応用が苦手な人」の考察

今回は、”「記憶・応用が得意な人」「記憶・応用が苦手な人」の考察 ” というテーマで少し考えてみます。

「記憶・応用が得意な人」「記憶・応用が苦手な人」

これまで、「学習」 ” 成果 ” には、


”まずは、「記憶(言語情報)」があり、次に、その「記憶」をベースに「応用できる(知的技能)」こと ”


と何度も記してきました。


「記憶」「応用」の考え方は、「ガニェの5つの学習成果分類」「ブルームのタキソノミー」などを例にとるまでもなく、「知識」という「記憶」が無ければ「行動」という「応用」はなかなかできないことを考えると明確です。


そのため、まずは「記憶」、そして次に「応用」となっているわけです。


ところが、実際の人間の特性(?)では、


「記憶が得意な人」

と、

「応用が得意な人」


がいます。

そして、


「記憶が苦手な人」「応用が苦手な人」


もいます。

つまり、


1.「記憶が得意」「応用が得意」

2.「記憶が得意」「応用が苦手」

3.「記憶が苦手」「応用が得意」

4.「記憶が苦手」「応用が苦手」


という4種類のパターンがあるわけです。


「学習」の分野では「記憶」が無いと「応用」ができませんが、日常の生活においては、「記憶(経験)」が無くても「応用(行動・選択)」ができる、、、哲学でいうところのアプリオリ(使い方を間違ってるかもしれませんが)なことが多々あります。


一般的(ステレオタイプ)にいわれる、「記憶」「応用」の得意な人の特徴は、


(記憶が得意な人の特徴)


・集中力が高い

一つのことに集中する能力が高く、情報を効率的に覚えることができる。


・規則的な生活習慣

規則正しい生活を送ることで、脳の働きを最適化している。


・視覚的・聴覚的記憶力が強い

ビジュアルや音声を使った記憶法が得意。


・反復練習

繰り返し同じ情報を学ぶことで、記憶を強化する習慣がある。


・良い睡眠習慣

十分な睡眠を取ることで、記憶の定着を助けている。


(応用が得意な人の特徴)


・創造力が豊か

新しいアイデアを生み出す能力が高く、既存の知識を新しい状況に適用するのが得意。


・問題解決能力が高い

複雑な問題を解決するために、柔軟に考えることができる。


・批判的思考

情報を批判的に評価し、適切に選別する能力がある。


・広範な知識

多岐にわたる知識を持ち、それを組み合わせて新しい応用方法を見つけることができる。


・好奇心が強い

新しいことに興味を持ち、それを探求することで応用力を高めている。


のようなモノがあるようです(ほとんど眉唾ものですが)。


さて、再度、上記のパターンを「学習」という観点で見てみると、


A1.「記憶が得意」「応用が得意」
A2.「記憶が得意」「応用が苦手」

B3.「記憶が苦手」「応用が得意」
B4.「記憶が苦手」「応用が苦手」


のように2つのグループに分けられます。


人間の特性(?)についてはなかなか変えられるモノでもありませんが、「教育・学習」はそれぞれに対応しなけれないけません。

Aグループについては、インストラクショナルデザインやこれまで紹介してきたような教育理論、モデル、方略で「学習の支援」を行うことが可能だと思います。


しかし、問題はBグループです。

よくとられる方略には、


(視覚的サポート)


マインドマップ

キーワードや概念を視覚的に整理し、関連性を図解する。


・フラッシュカード

短い情報を視覚的に提示し、反復練習を行う。


・イラストや図表

テキスト情報を視覚的に補完するためのイラストや図表を使う。


(聴覚的サポート)


・音声記録

講義や重要なポイントを録音し、繰り返し聴くことで記憶を強化する。


・リズムや音楽

情報をリズムやメロディに乗せて覚える(例えば、九九の歌など)。


(実践的な活動)


・ハンズオン学習

実際に手を動かして学ぶことで、体験を通じて記憶に残りやすくする。


・シミュレーション

現実に近い状況をシミュレーションし、実際に使う場面を想定して学ぶ。


(反復と分散学習)


・スケジュールを組む

一度に大量の情報を覚えようとせず、時間をかけて少しずつ学ぶ。


・復習のタイミングを工夫する

エビングハウス忘却曲線を参考に、適切なタイミングで復習する。


メタ認知


・学習の進捗を自己評価

自分の記憶力や理解度を定期的に評価し、改善点を見つける。


・自己質問

学んだ内容に対して自分自身に質問を投げかけ、理解を深める。


(環境)


・適切な学習環境

静かで集中できる環境を整える。


・休憩を取る

適度に休憩を取り、脳をリフレッシュさせる。


(他者との協力)


・グループ学習

他の人と一緒に学ぶことで、異なる視点からの理解が深まる。


ティーチング

他の人に教えることで、自分自身の理解と記憶が強化される。


などがあります。

しかし、上記のような方略がうまくいった(学習成果が上がった)という明確な事例をあまり聞きません”ビジネス書擬き”や ”極限られた実験 ”での成果などは山ほどありますが、、、)。


勿論、結論などありませんが、学校教育、企業内教育ともに「記憶が苦手」ということについてもっと考えていく必要があると思います。