louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「効果的な学習のための3つの秘訣(3 tips on how to study effectively)」考察

今回は、「効果的な学習のための3つの秘訣(3 tips on how to study effectively)」について少し考えてみます。


以前、「望ましい困難(desirable difficulties)」で取り上げた Robert Bjork「TED-Ed」で発表した内容です。

効果的な学習のための3つの秘訣(3 tips on how to study effectively)

(効果的な学習のための3つの秘訣(3 tips on how to study effectively))


・脳を念頭に考えられた学習法。

・脳の働きを補完し強化する。

・膨大な情報が整理され保存される。


<最初の学習法>

暗記カードや練習問題で復習すると、知識を呼び起こそうとするので記憶が更新され強化される。学習者は他の学習法を好むことが多く、教科書を再読したりマーカーを引いたりするが、これでは「理解した気分」になっているだけという場合が多い。間違えることが、実はその後の習得の助けになる。答えを思い出そうとすることで関連知識が活性化されて、正解がわかると脳は既に知っていた情報とよりうまく紐づけられる。


<次の学習法>

暗記カードで勉強するときは、複数の科目を混ぜる。学びたい科目を複数混ぜて学習すると、1つのスキルやトピックを個々に学ぶよりもしっかり定着する。異なる内容を交互に追うことで、脳は一時的に情報を忘れて、また思い出すので記憶がさらに強化される。


<最後の学習法「いつ勉強するか」>

数日間空けて復習することで、次の復習までに休息したり睡眠をとることができる。「オフライン」の間に脳は活発に働き、新皮質で知識を保存し統合する。試験前夜の詰め込み勉強は、理にかなっているようで、結局その内容は新しい記憶であり、その記憶が長く残ることはない。


ということです。


一見したところ、至極当たり前、、、という感想です。


<最初の学習法> = テスト効果、想起学習、試行錯誤


<次の学習法> = インターリーブ学習


<最後の学習法「いつ勉強するか」> = 間隔学習


といったところでしょうか?

しかし、この3つの秘訣(?)とやらの、2つ目<次の学習法>は、彼の提唱していた「インターリーブ学習」の内容と少し矛盾していますね?


「インターリーブ学習」について、ビョークは、


「ある情報を他の事柄と関連付ける形で習得すると、はるかに大きな学習効果がある。ただし、”関係のない技能を混ぜることは意味がない。”


と言っています。

 

2つ目<次の学習法>は、「単純に複数の科目を混ぜる」という学習方法です。

関係のない内容を、混ぜるだけは効果は無いですね。

「TED-Ed」の後で、本人が気づいたのかどうかはわかりませんが、、、

 

まぁ、この辺りが、「意図的な忘却」なんていうわけのわからないモノを提唱したビョークのいい加減さ、、、かもしれません。


ビョーク「脳」の機能、その中でも「記憶」をメインに考えているのですが、本職(?)の教育研究の人たちとは少し違うというか、物足りない点ですね?

 

ビョークのこの内容は、基本的に”「自己学習」では ”、という切り口であるので、そこに他者は介入しません。

勿論、何度も言いますが、

 

基本的に学習は学習者個人の問題です。

 

この「効果的な学習のための3つの秘訣」で解決するのであれば、それはそれでいいことです。

しかし、それだけでは成果の出ない人もいますから、「教育」「教授デザイン」といったモノがあるわけです。


現在の「教育・学習」関連の研究・実践は、「IT関連」とは結構連携はあると思うのですが、認知科学(心理学)」「脳科学との融合は昔に比べると、かなり弱いように感じられます。


認知科学(心理学)」「脳科学は関係性や要因が明確にはわからないという部分も多いので、ITのように簡単にはいかないと思いますが、もっと密接に連携すれば今とは違った考えや理論が生まれてくるように思うのです。