今回は、「SEL(Social and Emotional Learning)が本当に必要なのは・・・」 というテーマで少しだけ考えてみます。

EQ(Emotional Quotient:感情知能)が話題になった頃、「SEL(Social and Emotional Learning)」が注目されました。
自分自身や他者の感情を理解し、管理するスキルを習得するとEQが向上するなどいうようなことが語られました、
(SEL:Social and Emotional Learning)
欧米諸国で広く実践され重要性が認識されている数多くの心理教育プログラムの総称。
1. 自己認識(Self-Awareness)
自己認識は、自分の感情、考え、価値観、強み、弱みを理解し、それが自分の行動や他者との関係にどう影響するかを認識する能力。
・感情認識: 自分の感情を正確に特定し、名前を付ける能力。
・自己評価: 自分の強みと弱みを理解し、現実的に評価する能力。
・自尊心: 健全な自己イメージを持ち、自分を価値ある存在と認識する能力。
2. 自己管理(Self-Management)
自己管理は、自分の感情や行動を効果的にコントロールし、目標を達成するために必要なスキル。
・感情調整: 強い感情やストレスを管理し、冷静に対処する能力。
・自己動機付け: 持続的に努力し、困難な状況でも前向きに取り組む能力。
・目標設定と達成: 明確な目標を設定し、それを達成するための計画を立て、実行する能力。
3. 社会的認識(Social Awareness)
社会的認識は、他者の感情、視点、ニーズを理解し、共感する能力。
・共感: 他者の感情や視点を理解し、共感する能力。
・多様性の理解: 異なる文化や背景を持つ人々の視点を尊重し、理解する能力。
・社会的規範の認識: 社会のルールや期待を理解し、それに従う能力。
4. 対人関係スキル(Relationship Skills)
対人関係スキルは、効果的なコミュニケーションを行い、健全な人間関係を築く能力。
・コミュニケーション: 明確で効果的な方法で自分の考えや感情を伝える能力。
・協力とチームワーク: 他者と協力し、チームとして効果的に働く能力。
・対立解決: 対立や紛争を建設的に解決する能力。
・関係構築: 信頼と尊敬に基づく健全な関係を築き、維持する能力。
5. 責任ある意思決定(Responsible Decision-Making)
責任ある意思決定は、倫理的かつ建設的な選択を行い、その結果に対して責任を持つ能力。
・問題解決: 複雑な問題を分析し、効果的な解決策を見つける能力。
・倫理的判断: 倫理的な基準に基づいて行動を選択する能力。
・結果の予測: 自分の行動が自分や他者にどのような影響を及ぼすかを予測する能力。
・子どもの問題行動と人間関係能力
子どもの問題行動や学校不適応(不登校,いじめ,非行,薬物乱用,携帯電話やインターネットに関わる問題)の根底には,周囲の人との人間関係の持ち方の不適切さがある。
・SELへの期待
人間関係の基礎をなす社会的能力は従来生活の中で育まれるものであったが,生活環境の変化からそれらを身につける機会が減少し,学校で育むことが期待されている。
・欧米諸国での実践効果
アメリカのコネチカット州ニューヘブン市では,市全体での取組によって問題行動の減少や学力向上,さらには高校中退者の減少などの顕著な効果が報告されている。
とのことです。日本では、このトレンドに乗った人たちが小中学校生向けに、「SEL-8学習プログラム(Social and Emotional Learning of 8 Abilities at School)」というモノが提唱されました。
(SEL-8学習プログラム:Social and Emotional Learning of 8 Abilities at School)
SELで共通して注目されている社会的能力を日本の教育事情に合わせて効果的に育成できるように工夫した学習プログラム。
「学校における8つの社会的能力育成のための社会性と情動の学習」
・8つの社会的能力を育てる
①自己への気づき
②他者への気づき
③自己のコントロール
④対人関係
⑤責任ある意思決定
⑥生活上の問題防止のスキル
⑦人生の重要事態に対処する能力
⑧積極的・貢献的な奉仕活動
・他の心理教育プログラムとの違い
特定あるいは一部の能力に注目したプログラムが多いなか,本プログラムは子どもの社会的能力を総合的に育てることができる。
(メリット)
・情動管理スキルの向上
生徒が自分の感情を理解し、適切に表現するスキルを学ぶことで、ストレス管理や対人関係が円滑になる。
・社会的スキルの発展
コミュニケーション能力や協力する力が向上し、チームワークやリーダーシップの資質が育まれる。
・学業成績の向上
情動管理能力が高まることで、集中力や学習意欲が向上し、結果的に学業成績が向上することが多い。
・心理的健康の促進
生徒が自己肯定感を高め、ストレスや不安を軽減する方法を学ぶことで、精神的な健康が促進される。
・行動問題の減少
社会的情動スキルを学ぶことで、いじめや暴力などの行動問題が減少する傾向がある。
(デメリット)
・実施の難しさ
SELプログラムを効果的に実施するためには、教師や教育スタッフのトレーニングが必要であり、それには時間とコストがかかる。
・カリキュラムへの負担
既存の学業カリキュラムにSELプログラムを追加することで、時間的な余裕が減少し、他の学習活動に影響が出る可能性がある。
・評価の難しさ
SELの成果を定量的に評価するのが難しく、その効果を測定するための基準や指標が明確ではない。
・文化的・地域的な違い
SELプログラムは文化や地域によって適応が必要であり、普遍的なアプローチが難しい。
・親やコミュニティの理解不足
一部の親やコミュニティメンバーがSELの重要性を理解していない場合、プログラムの導入や実施に対する抵抗が生じる。
「社会的能力育成のための社会性と情動の学習」というのは、確かに重要な事柄であると思います。
良い世界、良い社会、良い環境、、、、良い人
を ” 子供たちに望む ” ことは間違いではありませんね?
しかし、SEL を実施している側の大人たち作った現実はどうでしょう?
世界では戦争やジェノサイドが今も行われ、嘘でも何でもSNSで流せば簡単に多くの人たちが信じる、、、国は教育費を削っても軍事費を増大させる、、、
IQやEQはどうでもいいのですが、子供たちにSELを実施する前に、今の大人たち全員に義務化して、もしも成果があったなら、、、という順番ではないかと思うのです。