今回は、「新興の ” 公立中高一貫校 ” という安易な発想の綻び」 というテーマで少しだけ考えてみます。
嘗ては「中高一貫校」というと、私立がほとんどでしたが、現在は ” 公立 ” の学校も数多くできています。
恐らく ” 発想 ” としては、超有名進学校のように〇×大学に何人合格、、とかいう結果を出したかったのでしょうが、今一つ当初の思惑通りにはなっていないというのが現状かと思います。
勿論、都会では昔から有名公立中高一貫校もありましたし、そういった学校は私立の学校と同じように難関大学に多くの生徒を送り込んでいます。
今回取り上げているのは、新興の公立中高一貫校の話です。
（中高一貫校のメリットとデメリット）
（メリット）
・一貫した教育
中学から高校までの6年間を通じて一貫した教育を受けることができ、計画的かつ継続的な学習が可能。
・高校受験が不要
中高一貫校では高校受験がないため、その分のストレスや時間を他の学習や活動に充てることができる。
・学力向上
難関大学への進学を目指す学校が多く、レベルの高い授業が提供されることが多い。
・友人関係の継続
同じ仲間と6年間を過ごすため、深い友人関係を築くことができる。
（デメリット）
・入学の難しさ
公立の中高一貫校は入学試験があり、合格するのが難しい場合がある。
・環境の変化が少ない
6年間同じ環境で過ごすため、新しい刺激が少なく、マンネリ化する可能性がある。
・宿題や課題の多さ
私立の中高一貫校では宿題や課題が多く、寝る時間が少なくなることもある。
・学費の高さ
私立の中高一貫校は学費が高く、公立校に比べて経済的な負担が大きい。
といった感じですね。
高校受験に向かうことなく、つまりは中学に入った時から大学受験だけを目標として教育（？）を行うということです。
殆どの中高一貫校はハイペースでカリキュラムを進め、多くは１年前倒しで、高校３年の時点では、完全に大学受験対策だけを行える、、、といった方式を採用しています。
これは、私立医歯学部の教育と同じ ” 発想 ” です。入学した途端に国家試験対策を第一目的にしたカリキュラムを実施する私立医歯学部と、国家試験対策など行わない国公立大医歯学部、、、
中高一貫校の教育の ” モデル ” は、私立医歯学部なのです（どちらが先ということではありませんが）。
それでも、旧来の私立国公立中高一貫校の場合は、実績をベースにしたブランド力＆アピール力で、自己学習のできる生徒が入ってきて、学校での ” 教育 ” など関係なく、自分自身で学習し、希望の難関大学に多く進みます。
正直なことを言うと、
「大学受験」が最終目標である学校構造で、私立国公立中高一貫校の「教育」が特別優れているようなことは無いと思います。
生徒個人が自分で学び、対策をし、受験するから成果がでるだけのことです（そういった意識を意図的に植え付けている学校があるのかどうかはわかりませんが、、）。
新興の公立中高一貫校 ＝ 私立医歯学部
旧来の私立国公立中高一貫校 ＝ 国公立大医歯学部
といった構図です。
私立医歯学部の国家試験合格率が、国公立大医歯学部に全く及ばないのを見ればわかりますね？
新興の公立中高一貫校の場合は、その学校を選択する理由の第一に「高校受験をしなくていい」という安易さがあります。
中学受験をして合格したのだから、高校受験はしなくていい、、、と、確かにそう考える生徒がでてきますますよね？
それに加えて、
” 私立ではないので、大学受験対策だけを行うということはありません、探究学習やアクティブラーニング、部活動などで、創造性のある人材育成を、、”
と、” 世間体とシガラミ ” の中で、学校側が余計なカリキュラムを追加したりします。
６年間という長く、受験もない生活のなかで、自ら学ぶということが疎かになっても仕方が無いように思います。
しかも、「日本の教育（教育擬き）」自体のレベルがあまりにも低すぎるという実態。
「学習」にとって、環境は確かに重要ですが、単純に環境を整えるだけで誰もが自ら学ぶようになるということはありません。
中学受験をさせて、そのまま難関大学に進学できるなどという安易な連想をさせる現在の新興の公立中高一貫校は、その方針を変えないと、今後もどんどん右肩下がりになっていくような気がします。
もし ” 進学実績だけを本当に上げたい ” と思うのなら、
週の４日はすべて「自習」にすればいいと思います（ハイスピードでカリキュラムをご講演座学でこなすような意味のないことはやめて）。
勿論、足場架けやアドバイスを行うサポーターとしての教師が常に対応、モニタリングする必要はありますが、、、
