今回は、e-Learning を行う際に、「インタラクティブ(双方向性)」は必要なのか? ということと、その周辺情報について考えてみます。
まず、前提として、
・e-Learning には LMS(Learning Management System)が必須ではない。
・どのメーカーのLMSも似たり寄ったりで、大した違いはない
と以前にも記しました。
しかし、LMS業者は、
「e-Learning」 = 「LMS」
ということを拡散し、洗脳してきました。
そして、何も考えない(&何の知識もない)教育担当者はそれを簡単に受け入れました。
しかし、ただ導入しただけで、何の効果もなかったことが徐々にバレ始め、次の商売につなげるために各メーカー&LMS業者は、競合他社製品との差別化を掲げ「AI機能搭載」とか、「対話型」のような宣伝で製品を売り込もうとします。
幸いなことに「ChatGPT」が流行ったことで、「生成」とか「対話してる風」な回答や、フィードバックをLMSの機能として希望する人たちが結構でてきました。
そこで、次なる宣伝文句が、「インタラクティブ(双方向性)」です。
昔は、、いや今でも、業者やコンソーシアム等の口車にのって、「SCORM」でコンテンツを作成して、「インタラクティブ」なんて言ってる人たちもいますね?
そう、「SCORM」の資格なんていうのもまだあったりして、、、驚きます。
今ではほとんど耳にすることもない「SCORM」とは、
・「Sharable Content Object Reference Model」の略で、e-Learning における国際的な標準規格。
・LMSと教材(コンテンツ)を組み合わせるための仕様。
何十年も前の規格で、、、、当時は、
「コンテンツを他のLMSに持っていくこと」や、一時停止したり、間違った答えをした場合のアドバイスや、再受講の設定などが可能というようにアクションの「作りこみ」ができることがウリでした。
しかし、月にいくつものコンテンツをつくるような状況がくるとは考えてもいなかったのでしょうが、とにかく「SCORM」コンテンツをつくるには時間がかかり、専用ソフトが必要であり、、、、、
結局、一部の騙された(?)ユーザー以外には普及しませんでした(年に数本のコンテンツを業者に発注して作らせるようなユーザー)。
第一、最大のウリであった「コンテンツを他のLMSに持っていくこと」、なんて変換プログラムを組めばSCORMでなくてもいいですものね、、、?
当時は ”「インタラクティブ」なコンテンツ”を作るには「SCORM」だ ”、、、なんて言われていました。
あるトリガーで、元から用意してあるコンテンツを出すだけのことが「インタラクティブ」と誤解されている現状の大元です。
それを今度は、「ChatGPT」のような「生成AI」の機能を組み込んで、「インタラクティブ」と言い出しているわけです。
確かに、「SCORM」に比べれば、「生成AI」は少しはマシな気もしますし、何の疑問を持たない人にとっては「インタラクティブ」に近づいてきているようにも感じられるでしょう?
しかし、これも何度も記しましたが、「ChatGPT」に代表される現在の「生成AI」は、
「専門的な分野」については、まだまだ使い物になるような代物ではありません(コンプラとか、SDGs、ハラスメント教育、、、のようなごく一般的な内容には使えるでしょうが、、、、)。
例えば、LMSで、” 最も使いたいけれど、実際にはほとんど使えない機能 ” である、
”「記述方式」の問いに対する答え”
を「生成AI」に回答させてみればわかります、、、、めちゃくちゃです。
それはそうです、今の「生成AI」だって、単なるプログラムなんですから、、、。
「チューリングテスト」に合格していようがしていまいが、情報が無い限りは正しい回答はできませんし、人が持っている感情や状況判断を含めた知識、ネットに上がっていない専門書や論文の内容を網羅できるはずはありません。
これをもって、「インタラクティブ」なんて、、、、違うよな? と思うのです。
なぜなら、
「インタラクティブ」には意思疎通が必要ですから、、、
「インタラクティブ」自体は、効果があるのであれば問題はないと思います。
例えば、私的にはあまり好きではない行為、
”メールですむことなのにわざわざ電話してくる人”
っていますよね?
実は、あの行為は「インタラクティブ」の極致、、、のように思います。
メールで情報を正確に伝えることが苦手な人(多いですね?)とは、電話で話して詳細をこちらから訊ねて、やっと理解できるということもあります(相手も自分が言いたいことがわかっている、、、というサイキックのような人のメールには、、、ほんとに困ってしましますが)。
今の「生成AI」を搭載したLMSでできる「インタラクティブ擬き」は、そういったサイキックのような人たちの頭脳と同等だと感じます。
さて次に、LMS以外の e-Learning での「インタラクティブ」だと、メール、掲示板、チャット、ZOOM、、みたいなものですが、長くなってしまったので、それについてはまたの機会に(あるのか?)。
テーマの「e-Learning を行う際に、「インタラクティブ(双方向性)」は必要なのか?」ということですが、
「インタラクティブ」な e-Learning コンテンツは、一般的に「学習体験」を向上させると言われています。
しかし、必ずしもポジティブな”結果”をもたらすわけではないですね。
特定の状況や要素によっては、学習の低下を引き起こす可能性だってあります。
・技術的な問題
インタラクティブなコンテンツはしばしば特定の技術を必要とする。全ての学習者がその技術にアクセスできるわけではなく、またアクセスできてもそれを使いこなすのが難しい場合がある。これが学習の障壁となり、学習の低下を引き起こす可能性がある。
・インタラクティブ性の過剰
インタラクティブな要素が多すぎると、学習者は本来の学習目標から逸れてしまう可能性がある。ゲームやアニメーションなどの要素が多すぎると、学習者はそれらに夢中になってしまい、本来学ぶべき内容から注意がそがれてしまうことがある。
・自己学習への適応
インタラクティブな e-Learning は自己主導的な学習を促すが、全ての学習者が自己主導的な学習に適応できるわけではない。学習の進行が遅くなったり、学習が中断したりする可能性がある。
・デザインの問題
適切なデザインと実装が必要。デザインが不適切であったり、インタラクティブな要素が無理に組み込まれていたりすると、学習者の混乱を招き、学習効果を低下させる可能性がある。
といった感じでしょうか。
ちゃんとした「学習目標」も作れない人にかぎって「インタラクティブ」なコンテンツは必要、、、とか言います。
e-Learning を行う際に、「インタラクティブ」がほんとうに必要でしょうか?
私的には、
どうも違うのではないか?
大して必要ではないのではないか?
と、思うのです。
まぁ、少なくとも、今の時点で ”「AI搭載」したLMS” のようなモノはあまり採用されない方がいいように、、、、
勿論、「SCORM」なんて、、、、論外ですよ、、、