louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「デジタルバッジ」の行く末は、「SCORM」や「Tin Can」?

「デジタルバッジ」もしくは「オープンバッジ」を一部の企業やアカデミアが推奨しだして、それなりの年月が経ちました。

 

周りで「デジタルバッジ」について見聞きした経験があるでしょうか?

 

ほとんどの人がないのではないでしょうか?


私は、その昔、熊大のID公開講座を受講した際にもらったくらいです。
(厳密に言えば、これはデジタルバッジのようなもの、、ですが)

デジタルバッジ?

(デジタルバッジ)

資格主催団体からオンライン上で発行されるデジタルの合格証明。 バッジは世界共通の技術標準規格で発行され、取得者がバッジをSNSやメールの署名にバッジを埋め込むことで、オンライン上でスキルをアピールすることができる。


まぁ、証明書をデジタル化して、、、というもので一見流行りそうにも思えますよね?

 

<メリット>

・証明内容を簡単にいつでも検証することができる。

ブロックチェーン型のオープンバッジであれば、改ざんされることのない信頼度の高い証明書となる。

・発行団体は証明内容の問い合わせに対応したり、証明書の再発行や管理といった煩雑な作業を大幅に軽減することができる。


<デメリット>

・認知度と価値の課題: 

デジタルバッジの認知度はまだそれほど高くないため、所持していてもそれが評価されない場合がある。また、バッジの発行元や基準が不明確な場合、その価値が疑問視されることもある。

・バッジの信頼性:

デジタルバッジは誰でも発行することができるので、その信頼性は発行元に大きく依存する。信頼性の低い発行元からのバッジは、その価値が疑問視される可能性がある。

デジタルデバイド

デジタルバッジを利用するにはインターネット接続とデジタルデバイスが必要。これらのアクセスが限られている地域や集団では、デジタルバッジの利用が困難になる。

・プライバシーの問題: 

デジタルバッジは個人の学習成果やスキルを示すため、これらの情報が第三者に公開される。この情報が適切に保護されない場合、プライバシーの侵害につながる可能性がある。

・統一性の欠如: 

デジタルバッジの基準や評価方法は発行元によって異なるため、その比較や評価が難しいという問題がある。

・偽造の可能性: 

デジタルバッジはオンラインで共有されるため、悪意のある個人が偽造しやすい場合がある。信頼性の確認が必要。

・技術の進化: 

デジタルバッジは技術に依存しており、新しい技術の登場によって古いバッジが利用できなくなる可能性がある。


正直な感想で言えば、普及はそう難しくないと思います。

 

ただし、

 

一番の問題は、「ビジョン」「内容」「普及に係わる団体」です。


単純に証明書をデジタル化したものであるということなら、「マイナンバーカード」と同じでまったく意味がないので、「デジタルバッジ」にすれば何が便利になり、どういった不都合が解消されるかのビジョンがない状態では誰も関心をしめすことはないでしょう?


また、「デジタルバッジ」はまだ一部のIT関連企業の資格や能力の証明に限られており、国家資格や誰もが知っているような(必要とするような)証明などが加わらない限り進展はないように思います。

 

それと、普及を促している団体が一部のアカデミアとIT関連企業だけというのも、いつもの消えていく「トレンド」と似ていて、、、、悲しいものがあります。

 

デジタルの証明書なので、特に e-Learningと親和性が高いため、「LMS業者」なども盛んに宣伝したりしていましたが、彼らがいいとアピールするだけで、私なんかは”懐疑的”になってしまいます。

 


それで思い出されるのが、「SCORM」「Tin Can」です!

 

一時、「LMS業者」が普及団体など作って(今もあるかも?)、必死に宣伝をしてまわった規格ですが、今や、

 

完全に「化石化」しています。


簡単に紹介しますが、


(SCORM(Sharable Content Object Reference Model))

eラーニングコンテンツの相互運用性を確保するための国際標準モデル。これにより、異なるシステム間でも学習コンテンツを共有し、再利用することが可能となる。

SCORMは主に次の2つの要素から構成されています。

・コンテンツパッケージング - SCORM互換コンテンツは特定のファイル構造(通常はZIPファイル)にパッケージ化。これにより、コンテンツを簡単に転送、インストール、使用することができる。

・ランタイム環境 - SCORM互換システムは、コンテンツと学習者の間で情報を交換するためのランタイム環境を提供。これにより、学習者のパフォーマンスデータや進行状況を追跡することができる。


(Tin Can API(またはExperience API、xAPI))

学習者がどのような学習活動を行ったかを記録し、そのデータを学習管理システム(LMS)などに送信するための仕様。これにより、オンラインとオフラインの両方で学習者の経験を追跡し、記録することが可能になる。例えば、ビデオを見る、記事を読む、シミュレーションを行う、ゲームをする、実世界のタスクを完了するなどの活動が記録できる。


LMSを扱っている人でも、割と昔からやっていないと「SCORM」は言葉くらい知っているかもしれませんが、「Tin Can」なんて知らないでしょうね?


この2つも「デジタルバッジ」と同じで、一見流行りそうに思えたのですが、あっさりと消滅しました。


結局、ともに普及する「意味」が見つけられなかったのです。

 

「SCORM」の規格で作れば、どのLMSにも持っていける、、、、いやいや、通常コンテンツを他のLMSにもっていかないですから、、、、需要なし。

 

「Tin Can」だと、受講情報を別のLMSでも確認できる、、、、必要ないです、、。


なんとなく、「デジタルバッジ」も「SCORM」や「Tin Can」のようになってしまうような気がしています。

 

moocsの単位証明とかではなく、卒業証明書、医師免許、弁護士資格、、なんかが「デジタルバッジ」になれば普及するのでしょうが、、、、あまり「意味」はないですね?