さて、最後は「管理編」です。
LMSを「管理」するって何? って思われる方もいるでしょう。
あらゆるシステムは「管理」が必要なのです。
といっても大したことをするわけはありません。要は、LMSやLMSを取り巻く状況をコントロールするということです。
ということで、通常時の「運用」と被る部分は非常に多いので、前回の「運用」も参考にしてみてください。
一応分類すると、下記の7つになります。
(1)管理を行う人の必要スキル&コンピテンシー
(2)管理内容
(3)管理者(&運用者)の為のシステム
(4)コンテンツ作成者の為のシステム
(5)学習者の為のシステム
(6)開発業者との交渉テクニック
(7)社内IT部門との調整
(1)の、管理を行う人の必要スキル&コンピテンシーは、基本的に「運用を行う人の必要スキル&コンピテンシー」と同じになります。
大事なので、再度記しますね。
(IT関連)
・IT全般(ユーザより少しだけ詳しい)
*IT専門家である必要はない*
・画像、映像、音声の知識(若干)
・Excelや Access等の基礎的な知識
(人的ネットワーク)
・知識のある人を知っている(訊ける)
(教育への意識)
・教育に対しての関心 > ITに対しての関心
>システムは単なるツールという意識
(学習(教育)の成果が最重要)
(スピードと正確さのバランス感覚)
・両方あるのがベストだが、最低どちらか一方に長けている
・依頼された処理はその日のうちに対応できるスキルとしようとする意識
>教材作成者、ユーザ(学習者)からの信頼
次に、(2)の管理内容です。
・受講状況(受講率、テスト点数、受講時間)
・システム状況(サーバ、ネットワーク等)
・機能改善(追加、削除、変更)の見極め
・プライオリティの判定
・教育部門としての意見を重視(効果>効率>費用)
・個人の意見と部署の総意
・個人の意見→取り纏め→部署の意見
・影響範囲の想定
・学習者への影響を最優先
まぁ、システム管理やマネージャーをやったことのある人なら当たり前のことですね?
次は、(3)、(4)、(5)の「誰の為のシステムか?」ということを考えることです。
(3)管理者(&運用者)の為のシステム
・トラブルの少ないシステム
・管理、運用に手間のかからないシステム
・仕様変更の少ないシステム
・教育成果が明示できるシステム
・ユーザから評価されるシステム
(4)コンテンツ作成者の為のシステム
・コンテンツの作成・修正が容易なシステム
(5)学習者の為のシステム
・マニュアルレスで簡単に操作できるシステム
・短い時間でも視聴可能なシステム
・実務に添った内容を提供してくれるシステム
・受講意欲がわく内容を提供してくれるシステム
・売上に直接結びつく内容を提供してくれるシステム
こんな感じでしょうか?
次は、(6)の開発業者との交渉テクニックです。
・見積もり金額の妥当性を検証(人月、難易度等)
(通常、見積もり金額の50~60%での契約を目指す)
・見積もり依頼時
(予め作成不要な機能をもりこんでおく)
↓
(不要な機能断念する+αで値引き額を上げる)
・契約前
(直前で仕様を変更→ 値引き or 機能追加)
・業者でなくてもやれることは全てこちらでやる
・追加開発分の保守料を上乗せさせない ,,,etc..
これも「運用」のところで記した内容と同様ですが、カスタマイズ等の開発を依頼するにも上記のような駆け引きやテクニックが必要です。そうしないと、言われたままの金額で契約することになってしまいます(IT部門なんかに任せると、言い値で契約したりします)。
最後に、(7)の社内IT部門との調整ですが、実はこれが一番難しかったりする場合もよくあります。
なんせ、日本企業のほとんどはいまだに縦割りの組織で、他部署の利益は自部署の損みたいに思ってる輩がうじゃうじゃいますからね、、、、
・最小限のサポートを依頼する(役割分担の明確化)
・ハード、ソフトウェアの手配、初期セットアップ
・アプリ以外のメンテナンス
(ハード、OS,基本ソフト、ネットワーク)
・トラブル時、ユーザからIT部門へ直接連絡が行かない管理体制をとる。
・IT部門のメンテナンススケジュール等の把握
めんどくさいIT部門とはなるべく関わり合いにならないことが賢明です。
教育担当部署と同様にIT部門に優秀な人が配属されることはほとんどありませんからね、、、
以上が、「LMS 導入・運用・管理について」の主要な部分です。
そして、これがうまく回るようになったら、
(1)真正な教育サイクルの企画と提案
・IDによる真正なデータ収集
・真正なデータによるLAによる業績関与の提示
(2)サポートレスシステムの構築
なんてところを目指してみましょう!