いまだにトレンドを保ちつつある「ChatGPT」のおかげで、教育関連業者、特に「e-Learning業者」はいつものように”一時的に”潤いつつあるようです。
「ChatGPTを活用した対話型のLMS!」
とか、
「ChatGPTを組み込んだLMS!」
とか、、、
そういった宣伝がやたら目につく今日この頃です。
以前、「「AI」 と 「教育」は別物です ~ 今の時点では ~」にも記してるので「AI」との関連性ではなく、今日は「対話型学習支援システム」についてです。
「対話型学習支援システム」
>DBTS:Dialogue-Based Tutoring Systems
LMSの利点を活かした、仮想の先生といかにも「対話」しているようにみせたシステムのことです。
こういった考えや仕組みは、ずっと昔からありました。
(CIRCSIM)
イリノイ工科大やラッシュ医科大などで使われた、自然言語処理と自然言語生成による1対1の個別指導対話(Tutorial Dialogue)
(AutoTutor)
メンフィス大で使われた、ステップバイステップで学習を進める際の、家庭教師との対話をオンライン課題上でシミュレート。潜在意味解析(LSA:Latent Semantic Analysis)
を使用し、対話と教科書からの概念の多次元マトリクスと比較。ソクラテス問答法の指導原理(説明を与えるのではなく、質問で考えさせる)と、指導実践(対話を分析)で構成。
(alta)
1対1の指導者のように機能し、パーソナライズされたステップバイステップの指導、評価、フィードバック、修正指導。項目応答理論(合計得点の問題点を解決するために,項目の難易度などの項目特性と,各受検者の能力を分離して考え,共通尺度上でのテストの構築と実施を支えるテスト理論)、
(Watson Tutor)
IBM,ピアソン社。自然言語を使った対話型学習支援。既存の知識をより深く理解することを目的。モニタリングの解析により対話を調整。
(AWE)
自然言語処理と意味処理。学習者の文章にフィードバック。
IBMのWatsonくらいは聞いたことがあるかもしれませんが、私も調べるまでほとんど知りませんでしたが、上記のようなシステムが今の「ChatGPTを使った・・・」以前に存在していました。
人間は強くないので、、、常に他人に頼りたい、、、人がダメならコンピュータでもいい、、といった心理を逆手にとった、、、感じですね?
勿論、PSI(Personalized Sysrem of Instruction)や、CAI(Computer Aided Instruction)の時代から、学習のツールとしてコンピュータシステムを使用することは当たり前のことですし、私自身もメインツールとして長く使ってきていますから全否定する気はありません。
「楽に学習できればいいじゃない!」
それはそうです!
「立っている者は親でも使え」
でいいと思います。
さて、それで、、、、やはりいつものように問題は、そういった「対話型学習支援システム」が「学習成果」を提示できているか? ということです。
非常に残念なことに(当たり前ですが)、「対話型学習支援システム」を使ったからといって、確実に「学習」できるようになったかというと、そうではありませんね?
うまく使えば、非常に効果的・効率的でしょうから、実際には「成果」を上げている人もある程度はいるのでしょうが、、、
「対話」
ということに、私はどうしても違和感を抱かずにいられません。
「学習」って、基本的に一人で行うものですよね?
そこに、何でもかんでも「対話」をしなければならない、、というのは違う気がするのです。
しかし、それでは「教育」にならないので、、、”仕方なく「対話」する”ことは必要だとは思います。
あくまで、
学習者がこれ以上思考できず、前に進めないとき、間違った理解をしそうな時、、、、、サポートは必要です(足場かけ(Scaffolding)、ジャストインタイム(JIT))。
「対話型学習支援システム」の多くは、「教育・学習」の理論というより、「ICT」、「システム」先行で、
「お節介が過ぎる・・・」
ように感じるのですが、、、どうでしょう?