「学習ポートフォリオ」というコトバがあります。10年位前に初めて聞いた時は、「株?」とか思いましたが、、、、
勿論そういうことではなく、
「学習過程の記録や、成果データ」
のことですね。
(学習ポートフォリオ)
『学習,スキル,実績を実証するための成果(work)を,ある目的のもと,組織化/構造化しまとめた収集物』
最近では、デジタル版ということで「eポートフォリオ」などという変なコトバもありますが、今の時代に「e」とか、、、昭和感満載なので今回は「学習ポートフォリオ」とします。
学習ポートフォリオ作成の大きな目的は、
・リフレクション(自分)
・証明(成績、資格、活動、教授者、アピール)
の2つになります。
普通に考えれば、
「それはイイ!」
と思いますよね?
ということで、ほんの少しの間だけ「トレンド」になりました。
しかし、この学習ポートフォリオは大抵が結構なカオスになる場合が多いですね?
それはそうです、「目的」が違う2つのモノを1つの概念として捉えようとするのですから、、、作成難度は相当に高いというか、ほとんどムリに思います。
そのため、通常は、
・リフレクションの為の学習ポートフォリオ
・証明の為の学習ポートフォリオ
に分けて考えないと上手く機能しません。
(リフレクションの為の学習ポートフォリオ)
・学習活動の記録
自分がどのような学習活動を行ったのか、その結果何が得られたのかを記録。
・学習成果の整理
学習成果を整理し、それを自己の学びの一部として認識する。
・学習過程と成果の自己評価
自己の学習過程と成果を自分自身で評価し、その結果をポートフォリオに記録。
・学習の振り返り
自己の学習過程と成果を振り返り、その中から自己の成長や改善点を見つけ出す。
・ノート、プリント、メモ、ファイル、発表資料、レポート等
(証明の為の学習ポートフォリオ)
・学習結果の具体的な記録
自分が習得したスキルや知識、経験を具体的に記録。資格取得の証明書やプロジェクトの成果物、論文やエッセイなど、形となるものも含む。
・自己評価と他者からの評価
自分自身で学習結果を評価し、それを記録。また、教師や指導者、同僚などからの評価やフィードバックも収集し、それを証明材料として使用。
・公開と共有
自分の学習ポートフォリオを他者と共有し、自分自身のスキルや知識、経験を公開。これにより、他者からの評価やフィードバックを得るとともに、自分自身の学習結果を広く認識してもらうことが可能。
・テスト成績、レポート評価、資格等
学習ポートフォリオの一般的なデメリットは、
(デメリット)
・プライバシーの問題
公開する情報によっては、プライバシーを侵害する可能性がある。適切な情報管理とプライバシー保護が必要。
コンピュータやインターネットの操作に不慣れな人にとっては、ポートフォリオの作成や管理が難しい場合がある。
・時間と労力
作成や更新には時間と労力が必要。自己管理能力や組織力が求められる。
・評価の難しさ
学習者一人ひとりの独自の学習過程や成果を評価するための基準を設けることが難しい場合がある。
といったところです。
2つの学習ポートフォリオにそれぞれ何か名前をつけて拡散すれば、もう少し世の中に広まっていたのではないか、、とも思うのですが、「eポートフォリオ」などという意味不明のコトバで1つにして多くの人たちが語りだしたものですから、、、、、。
ポートフォリオと聞いて誰もが思い浮かぶのは、
・株取引きの記録(自分)
・会社資産のデータ(アピール、共有)
ですよね?
もうこの時点で、別物なわけです。
自分の株取引きの記録を他人と共有する人はいませんし、会社資産を隠して(悪いことを考えなければ)もメリットはないですよね?
しかし、学校、企業においてそういったことを考えられるような人は少ないので、一緒にまとめてしまいました。
そして更に「デジタルバッジ(オープンバッジ)」などというモノも一緒にしてしまおう、、、などということになったものですから、収拾がつかなくなってしまったというわけです。
もう今更かもしれませんが、学習ポートフォリオ(eポートフォリオ)は、
「リフレクションの為”だけ”の学習ポートフォリオ」
とすべきですね?
勿論、それは「証明の為の学習成果、成績、資格」とは傾向も違ってくるでしょうが、それはそれでいいと思います。
あくまで、「学習を進めるため」に自分の学習過程を認知することが目的としたモノであるべきだと考えます。
「成績」は「成績」、「成果」は「成果」、「資格」は「資格」で、よくないでしょうか?