今回は、「人材育成と即戦力 ~ 日本の「就活」と「採用」の不思議 ~」ということで考えてみます。
この国の新卒の「就活」と「採用」、そして「人材育成」と「即戦力」という思考には、あまりにも矛盾があり、そのことも影響して(それだけではありませんが)、日本企業の国際競争力は右肩下がりで落ちて行っていると考えています。
まず、その一番の原因は、
「就活の開始時期」
つまり、企業側が採用を開始する時期の問題です。
「就活ルール」の廃止がどうのこうの言っていますが、あってないようなルールなので大した影響はないですね?
「大学4年になってから、就職先は考えよう」
などという時代は、大昔の話で、現在は大学3年になるやいなや「就活」が始まります。
”大学3年” ですよ?
大学3年といえば、やっと ”専門知識” を学び始める時期です。
”専門” 分野の知識も特性も何もわからない人を ”採用” する。
これほどバカげたことがあるでしょうか?
以前、企業の「採用」については大学時代の成績を考えて、、といった内容を記しましたが、もしそれをやろうとしても、現実世界では ”一般教養” の成績データしかない状況です。
まぁ、企業側が、それが ”採用基準” で、入社してからの ”育成・教育” で優秀な社員にする(現状では全くできていないですね?)というなら、それでもいいのですが、その一方で、企業は事あるたびに、
「即戦力」
と連呼します。
「理工系の大学3年生にどのような”即戦力”があるでしょう?」
「人文系の大学3年生にどのような”即戦力”があるでしょう?」
(大企業のご意向で、この国の大学は「理工系」の学部だけになりそうですが、、、)
この国でも徐々に ”中途採用” の枠が広まってはいますが、新卒の採用に比べればまだまだですね?
また、昔から「日本は終身雇用」などと言われていましたが、実際の企業では歴然とした”定年制度”があり、”終身”雇用してくれるところなどほとんどありません。それでも、昔は50歳で定年になり無職となったとしても手厚い”年金制度”に守られて普通に暮らしていけたわけです。
ところが、年金制度の開始に問題(自分の収めた税金が自分に使われるわけではないという)があったことと、経済情勢、政治、、、いや、いや、この辺でやめておきましょう。
「即戦力が長く勤めて成果を”すぐに&永続的”に出してくれる」
ことが企業の希望なわけです。
あまりにも都合がよすぎますね?
とにかく、
「即戦力」が欲しいはずの企業が、なぜ ”専門課程になったばかりの大学3年生” を「採用」するのか?
という矛盾です。
「青田刈り」というコトバがありましたが、
早く開始すればするほど優秀な学生が採用できる、、、
みたいな ”迷信” を企業はずっと信じているようです。
”事例主義” ”横並び” をずっとやっていて成果が出たでしょうか?
”採用時期を早めて日本企業はどうなったでしょうか?”
「即戦力」を期待するのであれば、中途採用なり大学3,4年の”専門課程の成績”を最低限考慮するべきですね?
そして、”効果的・効率的”な「人材育成」「企業内教育」を行えば、アメリカや台湾の企業にも負けないような会社に戻れる(出てくる)、、、と思うのです。
これまで散々記してきたように、「人材育成」「企業内教育」にも数々の問題があります。
しかし、その前に、”迷信” に頼った採用をやめることから始めないと、今のまま右肩下がりで最後には破綻してしまうように思うのです。