今回は、マーク・プレンスキー(Marc Prensky)が発案したとされる ”「デジタルネイティブ」と「デジタルイミグラント」” ということについて少し再考してみます。
「デジタルネイティブ」と「デジタルイミグラント」でどちらが優れているかとか、どちらがいいか? みたいなことがよく語られますが、そんなことは時代の話なのでどちらでもよくて、優劣を決めても仕方がないことです。
学習のスタイル、分野や、その傾向などについて考えてみます。
因みに、「デジタルイミグラント」は古い時代の人たちだから、、みたいなイメージがありますが、一概にそうではありません(と、自己肯定?)としておきます。
生まれたときからデジタル技術に囲まれて育った世代のことで、インターネットやスマートフォン、タブレット、パソコンなどのデジタルデバイスを自在に操る能力を持つとされている。
(デジタルイミグラント)
IT普及以前のアナログ環境に生まれ、学習によって後天的にデジタル環境に合わせてきた世代。 「デジタル移民」や「デジタル入植者」と呼ばれる場合もある。人生の途中からインターネットのある世界に移り住んだイメージ。
まず、学習のスタイルについて考えてると、
「デジタルネイティブの学習スタイル」は、
・自由度
自分の興味のある分野を自由に学ぶことができ、自己啓発のための多くのリソースにアクセスすることができる。
・柔軟性
時間や場所に縛られずに学習が可能で、自分のペースで学ぶことができる。
・広範囲の情報
インターネット上には膨大な量の情報があり、その全てが学習リソースとなり得る。
・インタラクティブな学習
オンラインでは対話形式の学習やゲーム形式の学習が可能で、学習体験をより楽しみながら行うことができる。
・情報過多
情報が溢れているため、どの情報が信頼できるのかを見極めるスキルが必要。
・自己管理能力
自分のペースで学習するため、自己管理能力が求められる。これが不足していると学習が進まないこともある。
・社会的スキルの欠如
全てをデジタルで行うため、対人スキルやコミュニケーション能力が育たない可能性がある。
・デジタルデバイスへの依存
デジタルデバイスに過度に依存すると、健康問題や生活習慣の乱れなどの問題が生じる可能性がある。
といった特徴があるといわれています。
では、「デジタルイミグラント」は?
というと、
生まれた頃にはネット環境も、中学生レベルのAI(ChatGPT)もなく、対面の学校・塾の授業、紙の書籍、参考書、、、などで学び、次第にパソコンやインターネットを使用するようになった、、
という感じです。
「デジタルイミグラント」は、デジタル以前の人たちということではありませんし、デジタルの発展、進化とともに生きてきた人たちです。
勿論、中にはデジタルに興味が無い、ついていけなかったという人もいるでしょう?
そういう人のことは何と言うのかわかりませんが、「デジタルフュージティブ(digital fugitive)」とでも、、、言っておきましょう ???
因みに、その前の世代は「デジタル・エイリアン(digital alian)」だそうです・・・(ひどい話ですね?)
「デジタルフュージティブ(?)」は置いておいて、「デジタルネイティブ」と「デジタルイミグラント」の学習スタイルには差があり、学習内容や習得となるとそれぞれ一長一短もあり、どちらがどうと簡単には言えない状況です。
また、ここで、最も顕著なデジタルと学習の関係で言えば、
「デジタルイミグラント」=「パソコン&紙」がメインツール
ということです。
「デジタルネイティブ」=「パソコン」と考える人もいるでしょうが、これは大きな誤解です。
「パソコン」をツールとして学習、情報検索使用する頻度は、圧倒的に「デジタルイミグラント」の方が多いですね?
「デジタルネイティブ」は殆ど「スマートフォン」で完結させようとしますし、実際に完結することも多いです。
スマホで何でも、、、というのは「デジタルイミグラント」には難しいものがあります。
パソコンの電源を入れて、コーヒーでも飲んで、、でとなり、それさえ面倒な人は、紙のテキストを探す方がということも多いでしょう。
ということで、” 情報” へのアクセススピードは、明らかに「デジタルネイティブ」の人たちに分があります。
しかし、アクセススピードが速いと言っても、そのネットの情報はすべてが ”真” ではないため、というより、”偽” の方が明らかに多い中で、情報を精査するというロスが発生してしまいます。
紙の専門書、教科書、参考書にも誤った情報が含まれることもありますが、ネットの情報に比べれば、ほぼ ”真” といってもいいくらいのレベルでしょう?
紙の情報とネットの情報をミックスして使用する「デジタルイミグラント」の方が先にゴールにたどり着く、、という場合もあるでしょう。
また、
「デジタルネイティブ」=「プログラミング」
という概念も違います。
国の方針によって学校で「プログラミング教育」が行われるようになって、「デジタルネイティブ」は誰もが「プログラミング」できるように思うのでしょうが、強制的にやられていることや、目標のない教育であるため、「プログラミング」ができる割合は実は多くありません。また、スマホで「プログラミング」をやるのは面倒だという要因もありますね?
一方、「デジタルイミグラント」は、パソコンが普及し、そういった関連の企業や仕事が多くなった世代ですから、あくまで仕事においてですが、実は「プログラミング」ができる人は多いです。とはいっても、仕事で「プログラミング」をやるわけですから、クリエイティブなことや新たな発想ができる人は少ないです? 技術はあるが、それは業務のためということです。
「学習の分野」もかなり違ってきているように思います。
「デジタルネイティブ」=「範囲の広い分野、最新分野の学習」が得意
「デジタルイミグラント」=「確実(古典的)な知識の学習」が得意
のような傾向があるのではないでしょうか?
日々、新しい情報が垂れ流されるので、その中で興味を持つという人も多いでしょうからね、、、
ということで、「デジタルネイティブ」と「デジタルイミグラント」の学習スタイルや傾向、分野について考えてきましたが、特に結論ということはありません。こういったことになっているのではないでしょうか? というだけのことです。
最後に、”最強の学習” についての ”提言” です。
これだけデジタルが一般的、というよりベースになった世界も、ある程度旧来の紙のテキストを併用することが「デジタルネイティブ」にできれば、”最強” になるかもしれません(実際にできる人は既にいますね)。
前にも記しましたが、”専門的な分野” になると容易にネットでは見つからないこともまだまだ多く、高価な専門書を購入しないといけない、、、なんていう ” 中途半端な時代” です。
確実な”真””偽”を AI が判別して、限りなく”真”が残り、専門的な内容もすべてネットに載るような世界になれば、、、と思います。