今回は、インストラクションが成功したか、それとも失敗かを測る基準について考えてみます。
「90・90(ナインティ・ナインティ)」というのがあります。
これは、5、6年程前に熊大の教授システム学研究センター(Research Center for Instructional Systems; RCiS)の発表会(?)によんでいただいた際に、鈴木克明先生が発言されていて、それを記憶したものです。
朧げな記憶を取り出してみると、
「インストラクションの成功は、よく ”90・90(ナインティ・ナインティ)” ということが言われます」
「もちろん、全員が満点合格、”完全習得” するべきですが、実際の環境や状況によっては、達成できない場合も多いと思います」
「そういった場合に、”最低限” の成功と失敗を分ける基準として、そのインストラクションを受けた9割の人が、90点以上を取る」
「という ”90・90(ナインティ・ナインティ)” があります」
とのことでした。
確かに、「完全習得学習」を毎回目標として掲げるのは ”正論” なのですが、特に企業内教育などの通常業務を行いながらの学習では、TOTEで、、最後は全員満点、、、というのは実質的に難しい場合がほとんどです。
日本の学校教育の影響で、
「80点が合格」
という慣習(?)、迷信(?)、思い込み(?)が多くて、
企業内教育においてもいまだに「80点合格伝説」が継承され続けています。
そこで、合格の基準を訊かれた時には、
「全員満点」
ではないが、
「80点合格」より ”マシ(?)” そうな、
「90・90(ナインティ・ナインティ)」
を教えています。
しかし、この ”90・90(ナインティ・ナインティ)” ですが、
どこの、誰が提唱したのかもわからないのです、、、、
鈴木先生が「よく言われる」という表現であったので、調べればすぐにヒットするだろうと、その後のパーティでも聞きそびれてしましまた。
が、、、、ネットにも様々な教育・学習関連の書籍でも、、、見つからないのです、、、。
普通にヒットするのは、
「90対90の法則(Ninety-Ninety Rule)」
コンピュータ・プログラミングとソフトウエア工学の分野において、ベル研究所のトム・カーギル氏が唱えたユーモアに富んだ法則。
「コードの最初の90%が開発時間の90%を占め、残りの10%に、さらに開発時間の90%がかかる」。
ですが、これではありません。
まぁ、アカデミアで教育・学習関連を研究されている人たちにとっては常識なのかもしれませんが、、、、今後、鈴木先生にお会いする機会も多分ないでしょうから、、、謎は謎のままで、、使い続けたいと思います。
もしかすると、これは鈴木先生が思ってること、考えたことなのかもしれないなぁ、、、なんて最近は思っていたりします。
それならそれで、いいわけです。
この国で、インストラクショナルデザインや教育・学習理論の分野において、
「この人は凄いや!」
「もの凄く頭がいい」
と思ったのは、鈴木先生と平岡先生くらいですもの、、、。