今年から、” 全ての小中学校等を対象に、小学校5年生から中学校3年生に対して英語のデジタル教科書を提供 ” されるということです。
ということで、今回は、”「デジタル教科書」の導入”についての考察をしてみます。
「GIGAスクール構想」により、ほぼ一人一台のPCやタブレットが割り当てられたことにより、文部科学省としては、徐々に「紙の教科書」から「デジタル教科書」に移行させようということなのでしょう。
しかし、そうなったら、現在はほとんどの学校で持ち帰ることが許されないPCやタブレットを持ち帰ることが許されるのでしょうか、、、、? そこはかなり問題になるでしょうね?
とりあえず、「デジタル教科書」の「機能的」な、メリットとデメリットについては、
(メリット)
・携帯性
物理的な重さがないため、多くの教科書や参考書を持ち運ぶことができる。
・検索機能
特定の単語やフレーズをすぐに見つけることができる。
・リンクやマルチメディア
動画や音声、インタラクティブな学習要素など、多様なリソースを組み込むことができる。
・更新性
最新の情報に容易に更新することができる。
・環境負荷の軽減
紙の使用を減らし、エコフレンドリーな選択となる。
(デメリット)
・電子デバイスの必要性
デジタル教科書を使用するためには、タブレットやPCなどのデバイスが必要。
・電力供給
デバイスの電池が切れてしまうと教科書を利用できなくなる。
・目への負担
長時間の画面使用は視力への負担となる。
・操作の難易度
一部のユーザーにとっては、デジタルデバイスの操作が難しい場合がある。
全ての学生が同じようにデジタルデバイスへのアクセスができないと、教育の機会均等が損なわれる可能性がある。
「機能」として考えると、紙もデジタルもそれぞれ一長一短はあって、重いランドセルやカバンを毎日持って行かなくてもいいということだけでも、「デジタル教科書」に変えてもいいようにも思います。
「機能」だけを考えれば、、、、です。
では、肝心の「学習的効果」はどうでしょう?
文部科学省や教育関連業者は、「デジタル教科書」の導入によって期待されることのひとつとして、
・「個別最適な学び」が進み、
・「主体的な学び」へつながっていく
なんてことを言っているようですが、
完全に的を外していますね?
何で「紙の教科書」を「デジタル教科書」に変えたからといって、
「個別最適」「主体的」
となるのでしょう? 意味が分かりません。
リンクから関連事項に飛んだり、映像や画像を豊富に盛り込め、最新の情報がアップデートされる、、、、ということが、それにつながると考えているのでしょうか?
そんなことは、既にスマホを持っている学習者にとっては、当たり前のことです。
それに「デジタル教科書」や PC や タブレット の ” 管理運用 ” を考えると、残念ですが、現在のこの国のICTレベルでは難しいように思います。
マイナンバーカードのカオスの二の舞になるのではないでしょうか?
もしそうなれば、被害を受けるのは「学習者」です。
それと、Web感覚で「教科書」を見るという懸念もありますね?
「UX・UI and Cognitive Psychology Part.2」でも記しましたが、
・オンラインではテキストの60%(最大) しか読まれない!
(10%の人は全く読まない!)
どれだけ普及しているかわかりませんが、「Kindle」で読書をするときに集中できないということもよく聞かれます。
結論として、
・「機能」としては〇
・「管理運用」面は×(この国では)
・「学習的効果」は△もしくは×
といった感じで、時期尚早な感が否めないですね?