21世紀になっても、まだたまに「ブレーンストーミング」だとか「KJ法」なんていうコトバを聞く機会があります。
今回は、”「KJ法」の普及が残した爪痕 ” というテーマで考えてみます。
(KJ法)
思いついたキーワードや情報をカードなどに挙げていき、関連性のあるものをグルーピングすることで、解決方法やアイデアを発想する手法。
川喜田二郎氏が考案したメソッドで、同氏の名字のKと名前のJからとってKJ法と名付けた。
(一般的な手順)
課題やテーマに対して、頭に浮かんだことを何でも書き出す。大きめの付箋一枚一枚に書いていき、ホワイトボードなど利用。
<ブレインストーミングのルール>
他の参加者の意見を批判しない
思いついたことを自由に発言する
質を意識するよりも、できるだけ多くのアイデアを出す
他の参加者の意見からアイデアを参考に新たなアイデアを出す
・小さくグルーピング
情報のグルーピングを行う。すべてのアイデアを見渡せるようホワイトボードにまんべんなく貼る。その中から、関連した内容のものを小さくグルーピングする。小グループごとに別の付箋でタイトルをつける。
・大きくグルーピング
小さなグループを、さらに大きなくくりでグルーピングする。10グループ未満になるまでグルーピングを続ける。大きく分けたものにもタイトルをつける。
・空間配置・因果関係の整理
各グループの関連性がわかるように、関連あるものを近づけて配置。大グループのカードでつながりをことばにして説明できるか確認しながら配置。
大グループタイトル下に、小グループのタイトルまで分解。
各大・小グループ同士の因果関係を明確にする。
大グループ内の小グループ同士および大グループ同士の関係性を→などの記号で明示。
・評価
各グループに点数をつけ点数の高いグループを複数ピックアップして、最終的な結論やアイデアとして採用する。また、各グループで気になる箇所を文章化してみることで、内容が明確になったり新たなアイデアが創出されたりする。
(メリット)
・情報を整理整頓できる
・新たな課題やアイデアが出やすい
・ブレインストーミングを効果的に活用できる
(デメリット)
・情報量が必要
・時間がかかる
・既存のアイデア以上のものが出にくい
こういった「KJ法」や「ブレーンストーミング」は、大学のゼミや企業の会議などで、おそらく殆どの人が一度は経験したのではないでしょうか?
さて、それで、、、です。
果たして、” 驚くようなアイディア ” が出てきたでしょうか?
私も何度もこの手のモノに参加させられましたし、自分で主催して教育デザインのアイディア出しをしようとしたこともあります。
それで思ったのです。
・アイディアなど急にはでない
・誰もがいいアイディアを出せるわけではない
・集団になったからといってアイディアは洗練されない
のではないかと。
普段から「教育・学習」のことばかり考えているので、特に集団、グループワーク、協働、学びあい、、、などとにモノに懐疑的だということもありますが、
「KJ法」自体の考え方は、関連性と纏める方法なので、合理的といえば合理的です。
しかし、主観性の問題や、他人の意見に引きずられる等の弱点は多々あります。
その中でも、決定的な問題は、、、、、、
「データがゴミ」
であるということです。
一般的な「KJ法」は、まず「ブレインストーミング」を行って各自がアイディアを出しますが、そのアイディアというデータの殆どが「ゴミ」である場合が多いということです。
「はい、ではブレインストーミングです!」
「アイディアを出しましょう!」
なんて風にやりますよね?
普通に考えればわかりますが、そんなので出てくるアイディアなんてアイディアでも何でもないと思います。
バラエティ番組で政治等に関して聞かれる芸能人の意見とほとんど同じで、「ゴミ」以外の何物でもありません。
以前も記しましたが、”統計” において、
「ゴミの山からはゴミしか出てこない」
ということです。
”ビッグデータ” というトレンドのおかげで、どんなデータでも数を揃えれば、きっとその中から ” 宝 ” が出てくるという発想自体が間違っています。
「KJ法」は、日本の著名な学者さんが考案したため、特に日本においては今でもよく使われているのだとは思いますが、
「KJ法で出したアイディアだから!」
「それで行ってみよう!」
で、大変なコトになってしまった場合が非常に多い気がします。
”「KJ法」の普及が残した爪痕” は、非常に深く、いまだに膿んでいるように思われるのです、、、、。