louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

「ゆとり教育」と「詰め込み教育」 ~ Fast and Slow ? ~

「学校教育」においては、定期的にゆとり教育詰め込み教育が繰り返します。


日本の戦前戦後の「学校教育」は、ある意味ゆとり教育でした。

この時期のゆとり教育身分や金銭的な構造に飲み込まれた、現代で考えるゆとり教育とは違うものです。


一般の家庭に生まれた子供は、「勉強などしなくていい」と親から言われ(もちろん、中にはどうしても勉強したいという人たちはいましたが)、手に職をつけることが最優先されました。

 

一方、名家(?)やお金持ちの子供は、旧帝大に入って、、、

 

ということで、国の教育方針などではなく

「学びたい人は学びなさい。ただしお金に余裕があれば、、、」

という感じでしたね。


それが高度成長期になると、ある程度国民の貧富の差が縮まり中流意識の下、企業においては、「学歴」がその人の価値を決めてしまうようになったわけです。

どんなに有能で仕事ができても、「学歴」が無いと上には行けない状況となりました。

 

そこで、自分の子供には、いい大学、いい会社に、、、という思考が広まり、「受験戦争」を勝ち抜くため、”詰め込み” が行われるようになりました。


ここまでは、「社会構造」の中で、自然と「ゆとり教育」が「詰め込み教育」に変わったわけです。


ところが、バブルが弾けて、今度は国の方策として強制的にゆとり教育という概念が取り入れられました。

ゆとり教育 詰め込み教育

ゆとり教育自体は、もっと前から提言されていましたが、成長を続けていた国や企業、学校などは聞く耳持たず、、でしたね?


それが突然、

「子供たちが疲弊している、、、」

というわけです。


しかし、ここには、

「だから、国が成長できない、企業が世界で躍進できない、、、」

ということが後に続きます(胆略的過ぎですが)。


まぁ、確かにそういう要因が無いとは言えませんが、

・「伝承」

・「教える」

・「ご講演座学」

といった教育方略や内容は変えていないので、全く意味がないですね?

 


しかし、依然として衰退を続ける国、企業のあり様に21世紀になって、今度はゆとり教育」は間違っていた、、、、

 

となり、国は方針を変えて様々な科目を増やし、実質的な詰め込み教育をやるようになりました。

今度の詰め込み教育は、高度成長期のように、旧帝大に入れば安泰という括りではなく、「理工系」でなければ意味がないということなりました。


「AI」「ICT」「プログラミング」、、、、、、

というわけです。

人文系(語学、文学、歴史学、哲学、心理学、社会学、行動科学、文化人類学等)は、完全に見放されました。

 

というのが、これまでのゆとり教育詰め込み教育の遷移ですね(間違っているかもしれませんが)。


国や企業の意向(安直な考えやトレンド)で、「学校教育」が決められてしまうというのは、やはりいいことではないように感じます。

 

アメリカ軍隊の教育を機に発展したインストラクショナルデザインを推奨する私が言うのも妙な話ですが、、、

 

因みに、ゆとり教育詰め込み教育に近い考えとして、

 

「スローエデュケーション」「ファストエデュケーション」という概念もあります。


(スローエデュケーション)

スローフード運動からインスパイアされた教育方法。スローフード運動が速くて便利なファーストフードに対する反動として生まれたように、スローエデュケーションもまた、急速な情報化社会や効率重視の教育に対するアンチテーゼとして誕生。


(特徴)

 

・時間をかける

学びを急がせず、各個人のペースに合わせて深く理解することを重視。一つひとつのテーマにじっくりと時間をかけ、深く掘り下げて学ぶ。


・体験重視

教科書だけでなく、実際の体験を通じて学ぶことを重視。学びはより実感を伴うものになり、理解が深まる。


・個々の成長を尊重

一律のカリキュラムに沿った学習ではなく、個々の学習者が自分自身の関心や興味に基づいて学ぶことを重視。


・コミュニティとの関わり

地域社会や自然との関わりを大切にし、学びの場を教室だけでなく、コミュニティ全体に広げる。

 

(ファストエデュケーション)

ファストエデュケーションは、効率性と速さを重視し、短期間で多くの知識や情報を身につけることを目指す教育方法。この教育方法では一般的に、標準化されたカリキュラムに沿って進められ、テストのスコアなどによって学習の成果が評価される。


(特徴)

 

・効率重視

一定の時間内に多くの知識や情報を学ぶことを目指すため、時間効率を重視。スケジュールやカリキュラムが厳しく設定され、学習の進捗が常にチェックされる。


・標準化

全ての学習者が同じカリキュラムに沿って学習を進め、同じ評価基準で評価される。学習の成果を一律に比較しやすくなる。


・知識中心

知識の習得が重視され、テストスコアなどによってその成果が評価される。具体的なスキルや専門知識を短期間で身につけることが求められる。


・コンペティティブ

学習者同士の競争が促され、上位を目指すことを推奨。高い目標を設定し、それを達成するための努力が求められる。


それぞれ長所短所がありますね?

この両者のいいところを取った(それだけではないですが)のがインストラクショナルデザインだと思っています。


”学びの「効果」「効率」「魅力」の向上を目指した技法”

 

インストラクショナルデザインですから。